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2014年03月24日

●ぶちこわし、だぜ

FC東京 0ー4 川崎フロンターレ (J1第4節 味の素スタジアム)
 
 
いやー、ひどい試合だった。鹿島戦の喜びなんてどこかへ消え失せて、というか、3連休の最後の日、楽しみにしていた多摩川クラシコなのに全てがぶち壊しですよ(笑)。
 
 
この日の東京はほぼベストメンバーで、鹿島戦と同様にトップ下を置く布陣。2トップはエドゥーと千真で、その後ろに三田。対する川崎は4-4-2で大久保と小林悠が前線に並ぶパスサッカー。序盤は東京のDFシステムがそれなりに機能して、いずれもセットプレーの流れから大久保に際どいシュートを撃たれたり、千真がボックス内でシュートしたりしながらも、どっちがどっちとも言えないような形勢だったように思う。

しかし、次第に試合は川崎ペースとなっていく。川崎は東京側の間隔の狭さを逆手にとってボールサイドに寄ったMF3人の反対側のスペースを使いながら広くパスを回し、釣られて東京の選手たちがばらけたところをその間に縦パスを通していく。18分に憲剛のスルーパスで大久保が抜けた場面、21分に小林がやはり縦パス一発で裏に抜けた場面のいずれも得点には至らなかったものの、川崎がボールを支配する時間が続いた。

そして30分。攻撃の形を作れず苦しむ東京が自陣から回しながら押し上げようとしたところ、米本が横パスをよりによって大久保に渡してしまい川崎のカウンター。ラストパスを受けた小林悠がシュートして右隅に決まった。頭を抱える米本。0-1。あまりにもイヤな形の失点に、東京は前がかりになって早く取り返そうとするも、2トップに当ててからなかなか展開できず、川崎ペースは変わらない。

逆にロスタイム、東京はCKからつなごうとしたところ、三田が奪われてまたも川崎のカウンター。レナト→小林→左サイドの谷口とつなぎ、クロスに対して飛び込んだ大久保が頭で豪快に押し込んで追加点。ショートコーナー失敗からの格好悪い失点だった。0-2。これ以上ない悪い形で前半終了、というか、試合後にフィッカデンティ監督もコメントしていた通り、ここでほぼ勝敗は決したと言っても過言ではない。

後半、東京はエドゥー→平山、米本→河野と交代して反撃に出ようとする。立ち上がりは押し込んで川崎ゴールに迫る場面も。が、中途半端に前がかりになったチームは、中村憲剛とその配下にとって大好物と言ってもいい相手。すぐに憲剛が効果的な縦パスを繰り出して東京DFラインの背後を突き、気がつけば前半と同じく川崎ペースに。58分、小林悠のスルーパスで抜け出した大久保が権田との一対一を制して3点目。

東京は幾度かサイドからクロスを放り込むも、平山のヘッダーが西部の正面に飛んだくらいで決定機はなし。そのうち、前と後ろが間延びしてしまい、攻撃の形を作るのも難しい状況に。逆に78分、川崎がCKから押し込んで東京がクリアし損ねた場面、ジェシのアーリークロスを巧みに叩いた小林のヘッダーが決まって0-4。4点差で試合終了となり、多摩川クラシコの歴史では2007年の0-7以来の大敗となってしまった。
 
 
水曜日の「Bチーム」で臨んだ方がマシだったのではないか(笑)。いやマジで。

監督のコメント通り、鹿島戦とは全く別のゲームになってしまった。あの試合では河野をトップ下に入れた布陣が攻守(特に守備)ではまったんだけど、今回は裏目に出た感じ。前半から散々使われたMF脇SB前のスペースは、4-3-3だったらウイングも下りてきてケアするから穴にならないんだけど、2トップが前に張りっぱなしだと3人のMFでピッチの横幅を埋めるのはキツい。明らかに「届かない場所」ができていた。

で、一方で、トップ下が相手のボランチを抑えられたかかと言えば、そんなこともなかった。千真を活かしたかったのかもしれないけど、むしろ守備の歪みが大きくなってメリットも打ち消されちゃったな、と。川崎対策は何を置いてもまず憲剛対策だと思うんだが、三田は前戦で小笠原を抑えた河野ほど守備で働けてなかったよね。三田と河野の差なのか、それとも戦術的にケアできていなかったということなのか。

結局、憲剛指揮の下、サイドのスペースを糸口にパスを回され揺さぶられているうち、東京の守備は全体としてボールへのアタックポイントを見失い、グズグズになってしまった印象。元々個人守備には不安が大きいんだし、今季は組織を強調した守備のコンセプトでやっているはずなのに、それができなくなったらそりゃあおしまいだよね。

うーむ。鹿島戦(の前半)でビシビシ守備が決まってるのを見て「やるな、マッシモ」と思ったんだけど、あれはたまたまだったのだろうか(笑)。まあ、三田(と2トップ)の守備が届きづらい辺りに巧みに位置どりながらキラーパスを繰り出す憲剛が凄かったのも確かなんだけど。
 
 
しかし、リーグ戦4戦未勝利、しかもここに来てミス連発の惨敗と来ては、雰囲気が悪くならないはずはないわな。そりゃ試合後にブーイングも飛ぶだろう。チームも、個々の選手も、未熟なところをさらけ出してしまった感じ。

個人的には、フィッカデンティ監督のやろうとしているサッカーは興味深く、やりきってみれば面白くなるんじゃないかなと思うんだけど、今のところ選手が何とかこなすことに追われてチームとしてのポテンシャルを発揮しきれてないように見えるんだよね。で、監督もアジャストしようとして、水曜日は上手く行ったんだけど、この試合では大コケした、と。となるとこの後はどういう方針をとって行くのだろうか。

このまま、というより、最初の3試合でやったような繊細な4-3-3を熟成させることを優先する、という手はあるだろう。ただ、その場合、精力的に戦術を「やりきる」という意味では、メンバーを入れ替える必要があるかもしれない。あと、そもそも今の顔ぶれがそういう戦術をやるのに適しているかという問題があるが……そっちに話が行くと「なんで今シーズンこういう体制にしたのか」という問題になるな。

方針転換して、ある意味もう少しルーズな、昨年までのパスサッカー的な要素や、個々の選手の個性に合わせたサッカーにしていくという考え方もあるかもしれない。ただ、結局昨シーズンに比べて大した補強がなされていない(よね?)という状況を考えれば、こちらも難しいのではなかろうか。つーか、そういう考え方に改めるのであれば、当然監督を変える必要があるのではないかな。それも拙速なような……。

もちろんチームのとる道は二者択一ではないし、これからも紆余曲折は経なければならないのだろう。ただ、多摩川クラシコというファン・サポーターの注目度の高い試合でこれほどガッカリ(選手にも監督にも)な試合をやらかしてしまったからには、色んな意味で信頼を取り戻すのは大変だな、とは思う。後半の戦いぶりなんかを見てると、選手たちに迷いが出てるように見えたのがイヤだったんだよなー。

まあ、まだ4試合。中位辺りとは勝点でそれほど離れているわけではない。勝負はこれからだ!……と言いつつ、残留争いも覚悟しとこうかな、と(笑)。
 

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