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2014年03月09日

●天気晴朗なれども波高し、かな

FC東京 1−1 ヴァンフォーレ甲府 (J1第2節 味の素スタジアム)
 
 
新体制になって初めての味スタでの試合。期待と不安に胸を膨らませるファンが見守る中、抜けるような青空の下で行われたホーム開幕戦は、消化不良のドローに終わった。
 
 
東京は前節と同じ先発メンバーの4-3-3。対する甲府は守る時は5-4-1に見えるような守備的なフォーメーションでスタートした。開始直後の4分、いきなり試合が動く。渡邉千真の落としを高橋がダイレクトで前へ送り、ボックス手前で巧みに収めたエドゥーが左に流れながら左足を振り抜くと、DFに当たったボールはGK岡の動きの逆を突く形となり、岡の体に当たりながらゴールへ転がり込んだ。あっけない先制点。1-0。

先手をとった東京は慌てずボールを回し、あるいはしっかり守備組織を固めながら次の機会をうかがう。願ってもない展開……のはずだが、しかし試合は膠着してしまう。東京は早い帰陣から相手のパス攻撃が滞った瞬間を狙って切り返しを狙うも、千真や武藤は孤立してボールを失う場面が多く、ならばと太田や徳永が攻撃参加を見せても、単調なクロスはゴール前に3人が並ぶ甲府DFにはね返されてシュートに至らない。

一方の甲府も狭い間隔を保ちながら詰めてアタックしてくる東京の守備になかなかチャンスを作れず、双方目立った見せ場もないまま時計が進んでいった。45分、武藤のヒールパスで左サイドを抜けた太田宏介がゴールライン際をえぐってマイナスのクロスを入れる。久々のチャンスだったが、千真がダイレクトで合わせたシュートはDFにブロックされ、GK岡が難なくキャッチした。1点差のまま前半終了。

後半立ち上がり、前節同様ねじを巻き直したか東京が攻勢に出る。46分、三田のDF頭越しのパスで武藤が左サイドを抜け、一気にペナルティボックスへ突入。だが、右へ切り返して狙ったシュートは空振りとなった。その直後、こぼれ球を拾った高橋が右足を一閃して糸を引くようなミドルシュートを撃つも、ボールはポストを直撃して決まらず。その後も東京はエドゥーのキープと武藤のドリブルを軸に攻めたてる。

61分、千真OUTで石川IN。この日は柏戦と違って4-3-3の並びを保ったまま追加点を狙う。62分、左サイドの細かいつなぎから太田が突破し、逆に抜けたクロスを東が拾って左足でシュート!ゴール左隅に飛んだボールは岡が弾き出して惜しくも決まらず。67分には東のパスで右サイドを抜けた石川が追い越す東を囮に使いながらシュートするが、わずか左に外れ。この一連の攻撃で点を奪えなかったのは痛かった。

そして71分。東京陣深く攻め込んだ甲府は途中出場の水野がロングスロー。走り込むマルキーニョス・バラナのシュートはポストを叩いたものの、そのこぼれ球に対して東京DFが反応できないところをクリスティアーノが頭越しのボレーで右隅にゲット。この場面、ベンチ前で米本投入の準備をしていたのが影響したのか、東京の選手たちの集中力が一瞬途切れたようにも見えた。何にせよ痛恨の失点である。1-1。

終盤、東京は平山を投入して2トップにするも攻撃陣の息が合わない場面が多く、さらに疲れが出て全体的に間延びしてしまい甲府ペースに。80分、森重の背後をとった水野が右サイドを突破して決定的なクロスを入れるが、クリスティアーノのシュートは枠外。87分にはやはり右サイドを駆け上がった福田のシュートを権田が弾き出す。結局、東京が最後の力を振り絞ったロスタイムの攻撃も実らず、そのまま試合終了となった。
 
 
なんというか、天気晴朗なれども波高し、だなあ、と。

東京にしてみれば、前節の柏戦と似たような展開ではあった。前半は守備のタスクを懸命にこなす一方攻撃が迫力不足で、ハーフタイムを挟んで攻勢に出るものの追加点は奪えず。で、終盤ガス欠になったところで相手に攻めたてられながらも何とか勝点1をゲット、という。ただ、アウェイの柏とホームの甲府では(甲府には失礼だが)訳が違うわけで、東京ファンにとってはストレスフルな内容と結果になってしまった。

東京のやりたいサッカー、目指しているスタイルは選手にも見ている我々にも明確なんだよな、おそらくは。だから視界自体は悪くない(天気晴朗)んだけど、完成度はまだまだ低く、昨年までのやり方からガラリ変わった違和感は大きいし、今の方針が正しいのかどうかは確信が持てていない状態ではある。よって早く初勝利を挙げて勢いをつけたいところだったのだが……そう簡単には上手く行かない(波高し)んだね。

具体的に気になるのは、攻撃のバリエーションの少なさ。特に前半は縦パスを受けたFWが単騎で仕掛ける場面が多く、あとはSBが単調なクロスを上げるくらいで、崩す形はほとんどなかった。逆に、柏戦でもそうだったように、三田や東が攻撃に絡んでくると途端にいい形が作れたりするので、バランスの取り方と連携次第で改善するのかな、とは思うのだが。あと、終盤のガス欠ぶりもやはり気がかり。多分、慣れないサッカーでペース配分がつかめていないということなんだろうけど。

いずれにせよ、まだ2試合とはいえ、早く初勝利が欲しいのは確かである。今のところ試合後のコメントを見る限り監督や選手は落ち着いて試合を振り返っているように見えるけれど、なかなか結果が出ないとスタジアムの雰囲気がおかしくなるだろう(この試合の前半だってヤバかった)し、そんな空気に選手も感化されてまた2006年みたいなことになりかねないと思うので……あれはもう勘弁してほしいよなあ。
 
個々の選手では、まずエドゥーの頑張りには心を打たれるものがあった。武藤はドリブルで見せ場があったけど、最終局面の判断があと一歩。千真は苦労してるなあ。MF陣はクサビの入れ方など、FWとの連携がもう少し深まらないと厳しいかも。途中出場の3人は揃って試合の流れから浮いてたような。徳永と太田は柏戦に比べるといい攻撃参加が出来ていた。CBの2人は及第点。権田は……足技どこ行っちゃったんだろう。

と、まあ、何だか暗めのトーンで偉そうなことを書いてしまったけど、僕個人としてはまだまだ全然悲観はしてないし(楽観もしてないけど(笑))、今のメンツでこのスタイルがどう熟成していくのか(あるいは熟成していかないのか)楽しみにして行きたいと思っている。まずは1勝だ。頑張ろう。
 

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