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2013年04月29日

●次は万全のフロンターレに勝ちたい (東京×川崎)

FC東京 2−0 川崎フロンターレ (J1第8節 味の素スタジアム)
 
 
ともに、どん底の勝てない状況から前節の白星で持ち直しかけて迎えた「第21回多摩川クラシコ」。夕方からぐっと冷え込んだ味スタで生観戦した。

序盤から東京がボールを支配し、川崎は守りを固めて逆襲速攻を狙うわかりやすい構図となった。東京は左右に回しながら機会をうかがうが、コンパクトにまとまった川崎の守備網をなかなかほどけず、パスや連携のミスからボールを失って川崎のカウンターとなる場面が多い。もっとも、東京も森重や加賀、米本が素早いカバーリングを見せて川崎にも決定機は作らせない。縦20mくらいの範囲での攻防が延々続いていく。

試合が動いたのは21分。右展開で突如スピードアップした東京は徳永→千真→中央の東とつなぎ、東が意表を突く反転パスをゴール前の長谷川アーリアへ。アーリアがワンタッチでボールを落とすと、フリーで走り込むルーカスがゴール左へ突き刺してゲットした。それまでの焦れったさが嘘のような鮮やかなパス攻撃。1−0。ルーカス・千真・東・アーリアは26分にもワンタッチパスの連続で攻め込んであわやの場面を作る。

その後は東京が前に急がなくなって再び落ち着いた展開に。東京がポカした時だけ川崎のチャンスになりかけるも、結局は素速いDF陣の戻りで事無きを得る、という繰り返し。41分、カウンターから大久保がミドルシュートを狙うがわずかにバーを越えた。44分にも矢島がボックス内に切り込んでシュートを撃つが、これは権田の正面。東京の1点リードで前半終了となった。

後半に入っても東京のボール支配は変わらない。が、よくパスをつなぐも途中でDFに引っかけてボールを奪われてしまい、しかし早い攻→守の切り替えで大事に至らず、というパターンも変わらず。50分、GK西部の長いスローに太田がかぶってしまい小林悠が右サイドを独走するピンチも、逆サイドの加賀がマッハ2級の高速カバーを見せてラストパスをブロック。60分に差しかかる頃には早くも両チームの足が止まり始める。

次に試合が動いたのは64分だった。自陣深くで米本のボール奪取から始まった東京のカウンター。前線でスタートを切る東へアーリアが足の長いスルーパスを送り、スライディングするジェシと入れ替わって東がゴール前へ飛び出す。前へ出る西部の股を抜くシュートが左隅に転がり込んでゴールイン。技ありナイスシュート!双方息切れして「事故」の起こりやすい時間帯に入りかけていただけに、大きな追加点だった。2−0。

終盤はともに守備が緩くなってカウンター合戦の様相。69分、ルーコンのミドルシュートはバーの上。75分、實藤のクロスに合わせた小林のヘッダーもバーを越えた。83分、右サイド攻撃から徳永のクロスが東に通るか……という場面はハンドで逸機。86分、CKから千真のシュートがポスト右を抜ける。ロスタイムには稲本の浮き球をパトリックが落として小林がシュートするもサイドネット。結局2点差で終了。東京、4連敗の後で連勝である。
 
 
相手が満身創痍の状態ということもあり、快勝というにはほど遠い印象だが、まあ進歩も見えたし結果には満足、という感じだろうか。

この日の川崎フロンターレは大黒柱の憲剛も前線の核のレナトもいない「飛車角落ち」のメンバー。前節で成功を収めたカウンター調のサッカーを引き続き採用したのは妥当な判断だし、実際、急造の割には統制がとれていてなかなか手強い相手だった。正直、「これしかない」戦いぶりを徹底しているのを見て、ちょっと(だけ)風間監督のことを見直しましたよ、僕は。とはいえ、あまりやられる気もしなかったけど。

そんな川崎が相手だったので、東京としては上昇気流に乗るために是が非でも勝ちたい試合。細かいミスが多く、特に自陣でのミスでカウンターをくらいかける場面があったのはいただけなかった。が、左SBを除くDF陣とボランチが踏ん張ってリーグ戦では柏戦以来の完封。攻撃の方でも、チャンスの数こそ少なかったものの、ここぞという場面でスピードアップして美しい2得点。きっちり勝ったんだからやっぱり喜ばしいよな。

つーか、中身はどうあれフロンターレ相手の勝利はやはり格別だな、と。「クラシコ」という呼び名は気恥ずかしくて未だに慣れないんだけど(笑)、昔から死闘を繰り返してきた相手だし、去年ホームで非常に悔しい負け方をした記憶もあるし。試合後のビールは実に美味かった。

MOMは米本かな。川崎の攻撃にさほど危険を感じなかったのは、とにかくピンチになりそうな場面で必ずと言っていいほど米本がボールホルダーに絡んで潰してくれたから。ようやく怪我の前に元通り、というか、今東京にとって一番なくてはならない選手かも。他の守備陣では、太田の出来が酷かったおかげで、そのカバーに走りまくった加賀の守備を堪能できたので僕としては良かった(笑)。加賀はいい選手だよなあ。

攻撃陣では、もちろん東。DFを釘付けにして先制点を呼び込んだ反転パスも凄かったけど、2点目のシュートには痺れた。「ああ、ついに東京にもGKの逆をとって流し込める選手が現れたか」と感慨に浸ってしまったよ。あれはいいシュートだ。ルーコンも90分ほぼフル稼働で、素晴らしい貢献ぶりだった。長谷川アーリアはさりげなく2アシスト。カズマックスは、頑張ってたけど機会に恵まれなかったね。次はよろしく。

ということで、この勝利で星が五分に戻り、順位も6位まで浮上。目指すところを考えたらこれくらいのことで浮かれてはいられないわけだが、つい1週間前にはちょっとした悲壮感も漂っていたのを思えばホッとするわな。この調子で行ってほしい。
 

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