●みどころは三田(だけか) (東京×鳥栖ナビスコ)
FC東京 0−0 サガン鳥栖 (ヤマザキナビスコカップ第1節 駒沢陸上競技場)
リーグ戦は2連勝の後大阪で残念な負け方をして一旦お休み。今週はナビスコカップの開幕である。桜も咲き始めた駒沢公園で、ピクニックを兼ねて家族揃って観戦した。
開始後すぐに明らかになったのはピッチ状態の悪さ。凸凹の酷さにボールは真っ直ぐ転がらず、イレギュラーバウンドが頻発しているのがはっきり見えた。またこの日は不規則な強風も吹き付ける状況。これはパスサッカーの東京には不利に働き、東や長谷川アーリアは運動量とテクニックで何とかボールを抑え込むものの、周りの選手はトラップやパスでミスを連発してなかなか前に運べない。
加えてこの日の東京は渡邉千真・ルーカス・高橋がスタメンから外れ、李・三田・田邉が先発する布陣。慣れないメンツだけにやはり連携の悪さは否めない。10分過ぎにCKから李のヘッダーがポスト左を抜け、18分にはパス交換から東が右サイドに飛び出してクロスを田邉に合わせかけるチャンスはあったものの、それ以外は四苦八苦するうちに時間が過ぎていってしまう。
対する鳥栖は悪ピッチも味方につけて(?)持ち前のソリッドなブロック守備が威力を発揮。精力的な寄せで素早く東京アタッカーを囲い込んではピンチを未然に防ぐ。ただし、こちらもエースの豊田を欠いている上に攻撃に厚みがなく、序盤にロングスローのこぼれ球をFWロニが狙った反転シュートは右に外れ、FW清武の強烈な直接FKも塩田がセーブ。0−0で前半終了となった。
後半になると初先発の緊張がとけたか、三田が躍動感あるプレーを見せるように。48分、左サイドに躍り出た三田のパスで長谷川がゴール前に突入するチャンスは、GK赤星が体を張って何とか防ぐ。しかし相変わらずの連携の悪さと疲れのせいか東京ペースは長く続かず、気がつけば前線と中盤以降の間が空いて攻撃が停滞。逆に太田の不用意なプレーなどもあって、鳥栖が何度かいい形を作った。
「お!」と思わされたのは63分。DFのギャップを突いて斜めに走り込む三田へ長谷川が自陣から矢のようなフィードを通す。三田は巧みな胸トラップでボールを収め、左足シュートでGKを抜いた。が、ボールはバーを叩いて枠外へ。決まっていればワンプレーでヒーローだったが……惜しかった。
何とか攻勢に出たい東京は田邉OUTで大竹IN、さらに三田→平山と入れ替える。しかし状況は変わらず、大竹・平山とも孤立してボールを奪われる場面が目立つ。80分にはMF水沼のFKがポスト左を抜け、終盤には清武のロングスローから東京ゴール前で混戦となってヒヤリ。87分には李に替えて千真を投入するも時既に遅し。ロスタイムの大竹のシュートも枠を外れ、あえなくスコアレスドローの決着となってしまった。
まあ、今回の東京は色々な面で悪条件に見舞われた、ということは言えるだろう。
ピッチの悪さと強風については、現地で観ていた人には一目瞭然。パスをつなぐのは難しく、攻めるより守る方に有利な状況だったのは間違いない。特にソリッドなスタイルが持ち味の鳥栖が相手となればなおさら、である。後半は風上になったみたいだし悪芝にも慣れてきたしで行けるかな、とも思えたんだけど、前半の疲労からか早々に間延びしてしまい、交代策も焼け石に水だった。
それとやっぱり攻撃陣のメンバー変更は大きかったな、と。李はボールを収められず、前半の三田は空回りの時間が長くて、草民はボールを持つ割に有効なプレーが少なかった。東と長谷川の負担はかなり大きく、となるとSBが支援しないといけないはずなんだけど、太田はミスが多く、徳永も縦のコースを切られるとほとんど何もできなかった。2人ともコンディションが悪かったのかな。
ピッチ状態悪かったし代表戦と日程がかぶるナビスコカップだし、今回はまー仕方がない、と割り切るべきなのだろう。味スタに戻ってルーコンや高橋、ネマさんが復帰すれば元通りになるのかもしれない。ただ、それにしても内容が良くなかったな、というのが正直な感想である。ホーム開幕の柏戦とは全く別のチームだった。この後しばらくは日程が詰まっているのに大丈夫なんかいな……。
努めてポジティヴな点を挙げるとすると、まずは初先発の三田が(後半は)まずまず良いプレーを見せてくれたこと。去年味スタで1度見た時もアグレッシヴさが非常に印象に残った選手だけど、今回も63分の場面など幾つか素晴らしい動きがあった。タイプ的には河野あたりとの競争になるのかな。もっと周りとの連携を向上させて単なる「飛び道具」ではない存在になれるかどうか。
大竹と平山の復帰ももちろん好材料。大竹は今回は「出るだけ」になってしまったけれど、もっと長い時間、ネマさんなんかとも一緒に出してみたい。なんだかんだで相変わらず期待は大きいのだよ。平山は、今日の李だったら1トップに彼を使ってみても面白いのではないかと思ったのだが、どうだろう。千真と2人で超ぎこちないパス交換をしていたのには思わず笑った。東京の2大超合金系。
あ、あと、心配なのは試合後の米本の様子か。膝を痛めたのか、スタッフに抱えられて退場したみたいだけど大丈夫なんだろうか。梶山の移籍と高橋の代表選出でボランチの層は薄くなってしまっているだけに、もし欠場ともなればチームとしては痛かろう。つか、それ以前に彼の場合、古傷が……。
ま、とにかく、次だ、次(という締め方が続いたりするとヤバイのだが(笑))。