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2013年01月28日

●土肥さん、お疲れ様っす

土肥洋一選手引退ならびに育成GKコーチ就任のお知らせ(東京ヴェルディ公式)
 
 
もう何年も前にFC東京を離れた選手ではあるけれど、やっぱりクるものがあるな、土肥ちゃんの引退ともなれば。

土肥が東京に移籍してきたのは2000年のシーズン。昇格したばかりの、まだまだ小さなクラブだった東京はJ1定着を目指し、浅野や神野、内藤、喜名といった「J1上位チームではレギュラーに足りない」選手を何人か補強した。柏レイソルで前年3試合出場にとどまっていた土肥もその方針の中で、JFL時代の東京の「不動の守護神」堀池の大怪我もあって加入した選手だった。

当時の土肥は守備範囲が決して広くなく、ミスも多くて、キックは制御不能。常にハラハラしながら見なければならない選手だった。ハイボール処理は「猫パンチ」などと揶揄されたものである。しかし、不安定さの一方でシュートに対する反応の鋭さはピカイチだった。ゴールマウスに飛ぶボールをビシバシはね返すその姿は東京ファンの興奮を呼び、マリノスを、グランパスを、ジュビロを破っていくうち、僕たちの彼に対する信頼はどんどん増していったのだった。

チーム躍進の立役者となった土肥はその後もレギュラーに定着し、実に6年間に渡ってリーグ戦全試合フル出場を続けることになる。メキメキと実力を伸ばした彼は2003年に日本代表に選出、2004年にはアジアカップ優勝に貢献し、2006年にはドイツW杯代表にまで選ばれた。その間、東京も03年の優勝争いに続いて04年にはナビスコ杯を制覇。土肥はそのボス的な性格(諏訪園の頭をバリカンで刈ったり(笑))もあってすっかり「東京の顔」となったのだった。

なんというか、土肥という選手はFC東京がJ1に昇格してから数年間、チームの右肩上がりにちょうどシンクロするような形で活躍してくれたプレーヤーなんだよね。あの頃のドキドキワクワク感を忘れられない僕のようなファンにとっては、本当に思い出深い選手なのである。その土肥が引退とは、ねえ……。

土肥ちゃんのベストゲームを挙げるとすると、もちろん延長戦を含めて120分間を零封したナビスコ杯決勝になるのだろうが、同じくらい素晴らしかったのは2001年の柏戦@日立台だろう。ケリーのFKで先制したものの佐藤由紀彦が不可解な判定で退場となり、レイソルの猛攻に晒されて勝利は風前の灯火だった試合。そこに立ち塞がった土肥がミドルシュートを弾き出すたびに東京側スタンドで高まっていく熱気が印象的だった。俺たちの守護神、というあの雰囲気。

もう一つ忘れられない思い出。1-6で大敗した2002年磐田戦の帰り道。僕が浜松駅のホームで新幹線を待っていると、たまたま土肥がひどく疲れた様子で隣のベンチが腰を下ろしたのである。そっとしておくべきだったのだろう。でも、試合中の奮闘ぶりが頭をよぎり、思わず声をかけてしまった。「お疲れ様でした」。すると本当に申し訳なさそうに「ありがとう……ごめんなさい」という返事が。僕ははかすれた声で「いやとんでもない!」と返すのが精一杯だった。
(そして次の瞬間、土肥ちゃんは笑顔の喜名や福田健二にとり囲まれて「土肥さん、今夜は暴れるんでしょ!と冷やかしの輪の中心になっていた。)

いやあ、懐かしいなあ。あの手足が美しく伸びたセービング、あの鬼の形相、そして「どーい!どーい!」というゴール裏からの大コール。ほんの数年前なのにね。

まあ、2007年には出場機会を大きく減らして塩田に正GKの座を奪われる形になり、城福監督就任と同時に戦力外となって(よりによって)ヴェルディへ移籍してしまったのはファンとしては残念だったけれど、その後数年間に渡って元気で活躍してくれたのは本当に嬉しかった。これからはヴェルディの育成GKコーチとなるということで、FC東京から見ればライバルの立場なんだけど、とにかく頑張ってほしいな、と思う。だって土肥ちゃんだもんね。

ああ、それと、僕にとっては数少ない年上のJリーガーがまた1人減ったのか、という感慨もあるな。中山隊長も辞めちゃったし、ホント、あとはカズくらいしかいないのではなかろうか。うーむ。
 

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