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2013年01月03日

●やっぱ負けりゃ悔しいよね (第92回天皇杯決勝)

明けましておめでとうございます。今年もよろしくおねがしいします……って、丸1年ぶりの更新だな。
 
 
ガンバ大阪 0−1 柏レイソル (第92回天皇杯全日本サッカー選手権決勝)
 
今回の天皇杯決勝は、子供をあやしながらのテレビ観戦。なので試合をつぶさに観ていたわけではないのだけれど、前半ガンバが攻勢に出ながらきわどいところで得点を奪えず、逆にセットプレーの機会をものにした柏が先制。後半はガッチリと自陣を固めた柏が45分間試合をコントロールしてそのまま終了、といういかにも一発勝負らしい流れだったようだ。

もともと今季のガンバは西野監督時代のような相手ディフェンスを解体する流暢なパスワークが鳴りを潜めていたが、この試合でもその傾向は変わらず、特に終盤は家長・レアンドロの個人技と単調なアーリークロス頼みの、創造性の全く感じられない攻撃に終始していた。ガンバの凋落を象徴するような戦いぶり、といったら意地悪な見方に過ぎるだろうか。

天皇杯準優勝は、ガンバにしてみたら微妙な結果だろうな、と思う。

おそらく、ガンバが来季J2で一発昇格を目指すためには、ここで負けてACLに「出なくて済んだ」ことはプラスの要素だ。浦和や柏、東京の例を考えれば、J1で上位進出経験のあるビッグクラブでもJ2での苦戦は免れない。それにACLの変則日程が加われば……そのリスクを避けられて、(親会社が経営不振に喘ぐ中で)賞金5千万も獲得できた。クラブ関係者の中には「丁度良い結果」と考えている人もいそうではある。

僕も、最初はそう思ったのだ。「悪くない結果じゃん」と。

しかし、サッカーは損得勘定だけで成り立つものではない。ガンバの選手やスタッフ、ファンにとって、おそらく今回の天皇杯はリーグ戦の低迷→J2降格で傷つけられたプライドを回復するための戦いだったはずだ。何しろACL優勝経験のあるチームである。「こんなはずではなかった」「俺たちの力はそんなもんじゃない」という鬱憤を吹き飛ばすために、ここでタイトル獲得という結果が是が非でもほしかったのではなかろうか。

なぜ僕がそんなことを思ったかと言えば、2010年シーズンのFC東京が同じような状況だったからだ。

あの時、J2降格が決まっていた東京は天皇杯で苦戦続きながら勝ち進み、決勝進出をかけて国立競技場でアントラーズと対戦した。スタンドで試合開始を待つ間「勝ってほしい。でもACLに出たら1年でのJ1昇格は厳しくなる。でも勝ってほしい……」とモヤモヤした気持ちを抱えていたのを覚えている。で、試合は平山の豪快なゴールなど大健闘を見せながら、120分間の死闘の末に興梠のサヨナラゴールであえなく敗退

何というか、あの試合後ほど「勝ちたかった」と悔しく感じたことはなかったんだよね。ACLとか何とかいう損得感情はどっかへ吹っ飛んじゃって、ただただ目の前の、もっと言えば(結果的に降格したとはいえ)その1年のチームの頑張りが報われてほしい、そして彼らと勝利の喜びを共有したい、という身も蓋もない欲求が勝ったというか。根拠はないけど、東京の選手やスタッフも同じように考えてくれてたのではないかな。

だから、まあ、今回のガンバの選手やスタッフ、ファンもやっぱり悔しくて仕方がないだろうな、と。「ACLに出なくて、来季のリーグ戦的にはプラスだよ」なんて(第三者としてはやはりそう思ってしまいながらも)慰めにもならないよな、と。

余計な事を書くと、あの年の天皇杯準決勝の悔しさは僕たち東京ファンにとって間違いなく翌シーズンのモチベーションにつながったし、1年と少し後、J1再昇格を決めた直後にに同じ監督・ほぼメンバーで天皇杯を制した喜びはそりゃあ大きかったもんである。ガンバが近い将来同じ歓喜を得られるかどうかはもちろん彼ら次第なんだけど、ガンバには今野も行ってることだし(笑)、そういうこともあるということで。
 
 
……と書いたところでふと我に返ったのだが、東京だって今シーズンは楽勝でJ1残留したわけでもないし、やっぱり明日は我が身なんだよな。ガンバの心配なんぞしてていいのか、という気がしないでもない(笑)。そもそもこの天皇杯、東京がとっとと初戦敗退(しかも相手はJFLのチームかよ!)なんてしちゃうから他所のことがあれこれ気になるわけで。来年は頼むぞ、おい。
 
あと、そういえば今回優勝した柏だって、J2降格から1年で這い上がってすぐにリーグ優勝までしたクチだよね。つか、ネルシーニョというのはつくづく凄い監督だし、レイソルのバランス感覚に溢れたチーム作りはある意味Jリーグにおけるお手本ではないかとも思ったりもする。必要なものを必要なだけきちっと揃えてくるチーム、という感じ。彼らが2度目となるACLでどのように戦うのか、僕はかなり興味を持っている。
 

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