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2011年05月01日

●崖っぷちは案外近いか (FC東京×コンサドーレ札幌)


昨日の昼過ぎは、味の素スタジアムでJ2第9節。FC東京 0−0 コンサドーレ札幌。中断明けの前節は千葉に大敗を喫してしまった我らが東京、約2ヶ月ぶりのホームゲームとなる今回は石崎監督率いる札幌との対戦であった。勝利で勢いをつけたいところだったが、序盤こそ東京が押し気味に進めるもなかなか決定機を作れず膠着した展開となり、後半共に前がかりになるも最後まで得点を挙げることはできず。何とも不満の残る内容でドローに終わってしまった。
 
 
この日は「チカラをひとつに」横断幕こそなかったものの、やはり震災犠牲者に捧げる黙祷を行った後でのキックオフ。

平山・米本が長期離脱した東京はセザーが初先発で高松と2トップを組み、梶山がボランチに戻って4−4−2の布陣。対する札幌は三上を1トップに置くノブリン得意の4−2−3−1で、引いて守りを固めるというより攻守にバランスの良いサッカーを指向している様子であった。札幌の中盤守備が千葉ほどタイトでなかったこと、位置を下げて余裕の出た梶山がよくボールを捌いたことなどから、前半途中まではサイドで速いパスをつなぐ東京のペースで試合が進む。

8分、谷澤の展開パスから阿部が速いクロスを入れ、セザーがニアで合わせるも惜しくもバーの上。10分、高松がDFに絡まれながら狙ったループシュートはポスト右。13分、カウンターから左の阿部へ展開、DFが戻りきったところで入れた折り返しを走り込む梶山が狙うが、またバーを越えてしまう。ここら辺は決定機には至らないものの悪くない雰囲気で好機が連鎖した。ただし、セザーが攻撃の環に入りきれず、判定に苛つく姿が多いのは気がかりであった。

17分、左タッチ際に札幌が縦のボールを入れ、飛び出した権田がアンドラジーニョにかわされるも、クロスがそれて命拾い。そして前半半ばを過ぎると東京の攻勢が途切れて札幌もチャンスを作るようになる。22分、近藤の強烈なミドルがバーをかすめた。直後のCKから河合が撃ったヘッダーはサイドネット。東京も攻撃姿勢を失わずボックス前までは攻め込むのだが、単調なクロスを入れては待ちかまえるDFにはね返され、攻撃陣の連携ミスも増えていった。

26分、梶山のパスミスから札幌の逆襲速攻となり、アンドラジーニョが飛び出した場面は権田が出足よくカット。31分、古田が右サイドを突破、クロスを権田が弾いたこぼれを近藤がシュートするが枠外。42分、セザーが敵陣で猛然とボールを奪って突進、しかしシュートはポスト左を抜けた。ロスタイムには東京のカウンターとなるも、手数をかけているうちに札幌DFが戻ってしまい逸機。ゴール裏から「シュート撃て!」コールが飛ぶ中で前半終了となった。
 
 
後半に入ると双方ネジを巻き直して前がかりになり、目まぐるしい攻め合いとなった。46分、谷澤が左から切れ込んで強烈なミドルシュートを撃ち、GK李が弾き出す。48分、札幌は三上が楔のパスをはたき、走り込むアンドラジーニョがシュートするが権田がナイスセーブ。惜しかったのは53分で、梶山のスルーパスに鋭く反応したセザーがDF裏に抜けるも、シュートは李がストップ。さらに鈴木のクロスに高松が合わせたシュートも李に当たってしまった。

54分、均衡を破りたい東京は高松OUTで初登場ペドロ・ジュニオールIN。セザー・鈴木に加えてドリブルで突っかける駒が1つ増えたことで、札幌のDFラインが下がって東京が押し込む形になる。だが、怪我明けのPJは体が重そうで、周りとの連携もほとんどなきに等しい状態。札幌がすぐ砂川を投入してサイドで押し返したこともあり、東京ペースは長続きしない。66分、札幌の左CK、ファーにいた河合が頭で合わせたが枠外へ。膠着気味の攻防が続く。

70分、東京は鈴木→中村北斗、すぐに札幌は近藤→横野と交代。北斗はフィジカルにものを言わせた突進でCKをとるものの、そのCKが決定機につながらない。PJやセザーも中途半端なドリブルで奪われたり、スルーパスに反応できなかったりと良いところなし。78分、左サイドをえぐった古田のクロスに宮澤が合わせるがバーを越えてくれた。81分、谷澤に替えて大竹投入。その直後、セザーとのパス交換で梶山がボックスへ突入するも、シュートはできず。

86分、札幌は高木→チアゴ→古田とつなき、古田がシュートするピンチは権田が横っ跳びで防ぐ。88分、徳永がドリブルで右サイドをえぐり込んでクロスを入れるが、アタッカーには届かない。大竹が幾度か遠目から撃ったシュートは体勢が悪く、いずれもDFにブロックされた。ロスタイム、CKに森重が合わせたヘッダーも枠をとらえられず。結局、両チームともゴールを割れないまま試合終了の笛が鳴った。東京側スタンドから沸き起こる大ブーイング……。
 
 

内容のまんまの結果というか、早くも苦行の様相を呈してきたというか(笑)。

ゲームの入りは悪くなかったと思う。パスはある程度回せていたし、前節に比べれば周囲の味方を使う意識もあった。米本・ホベルトがいなくなって突如層の薄くなったボランチも梶山・徳永で何とか手当て。前半半ばまでは確かに東京ペースだった。ただ、今に始まった話じゃないけど、サイド速攻一辺倒の攻撃では、一旦相手DFが慣れてしまうとどうしても行き詰まってしまう。強力なストロングヘッダーがいない現在の東京は、普通にクロスを上げるだけでは難しい。

前線に平山がいれば変化をつけられるのかもしれないけど、彼は中断期間に大怪我をしてしまった。大熊監督もおそらくこの問題は認識していて、前回の梶山トップ下起用や今回のセザー先発は攻撃にアクセントをつけることを期待してなのだろう。でも、梶山は千葉DFの圧力に耐えられず、セザーは空回り。それではと、今日の後半はペドロ・ジュニオールを投入して外国人2トップに状況打破を託してみた。が、残念なことに、やはり体調や連携の問題で機能せず。

PJ、平山、石川、米本、ホベルトと、主力に故障者続出で台所事情は確かに苦しい。しかし、それでも監督が続投していること、オフの「大補強」で少なくとも故障者と同じポジションを「穴埋め」できるだけの駒が揃っていることを考えれば、ちょっとこれはないよな、というのが正直な感想だ。1勝1分1敗はともかく、3試合で1得点、しかも内容が全然良くないという。昨季も1年我慢が続いたことを考えれば、なおさら試合後のブーイングはごもっとも、である。

まあ、少なくとも当分の間は、創造的な攻撃の組み立てや豊富なバリエーションなんて望むのは無理なのだろう。現実的には、ボランチをDFからやり繰りして中盤を持ち堪えさせつつ、攻撃は外国人2人のコンディション向上と石川の復帰を待って個の力でゴリ押ししていく、と。第一期大熊政権になぞらえれば、トップ下にケリーのいた2001年型ではなく、アマ+ツゥットでガタガタ言わせまくった2000年型かな。逆に潤滑油役になる選手が大事になってくるのかも。

しかし3試合で1得点かあ……オフシーズンに「PJで15点、平山で10点、セザーで10点、石川で……」などと皮算用しまくっていた頃が懐かしい。

で、次は東京ダービーっすか。面倒くさいっつか、ヴェルディが3連敗しているのがイヤな感じなんだけど。万一惨敗なんてことにでもなれば、その時点で監督解任が決まってもおかしくない(いくら生え抜きの監督とはいえ、心中しちゃいかん)。それは向こうも同じ状況だろう。そう考えると、ちょっとテンションが上がって来るような気がしなくもない。いっそプロレス風に「監督解任デスマッチ」とか称して盛り上げたりしてな(笑)。頑張れ、熊さん!!
 
 
[付記]

上にも写真を載っけたけれど、試合前、練習が終わってからキックオフまでの間にスプリンクラーでピッチに水がまかれていた。あれって前からやってたっけ?ヨーロッパだと(特にバルセロナみたいにパスサッカーを指向するチームのホームでは)ボールの走りを良くするために直前に水をまく、というのはよく聞く話だし、日本でも前日のガンバ×山形戦@万博の試合前には水をまいた(そもそも芝自体も抵抗を少なくするために短めに刈り揃えてあった)らしい。

今までやっていなかったとすると、どうせやるならパスサッカー指向だった城福監督時代にやってくれれば良かったのにな、という気がちょっとしてしまった。この日はロングボールに追いつかず、ボールの走りの良さが東京に不利に働いているような場面が多いように見えたし……。

ちなみに、このスプリンクラーは一昨年の6月に行われた芝の改良工事の時に新しく設置されたもの。それ以前はピッチの外側から放水する方式だったから、どうしても芝に均一に水が行き渡らなかったんだよね……という話は味スタのブログに載ってます(笑)。客が入っている状態で動作するのは僕も初めて見たかもしれない。放水銃は自動で上下・首振りする方式なんだろうけど、出てくる穴が必要なわけで、プレーの邪魔にならないのかな、とかちょっと思ったり。
 

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コメント

昨季途中から発足した第二期大熊体制ですが、どうも上手くいっていないようです。


第一期大熊サッカーも見てますが、アマラオにボールを預けてから展開する、もっとシンプルなサッカーをしていた記憶があります。

現在の選手は、当時の選手より遥かに上手い選手が揃ってます。しかし上手いが故にパスは繋がるのですが、ゴールへの突進力に欠けているように思えます。これが得点力不足に繋がっているように思えます。

では、どうやって点を取るのか、の解決策が見つからず、手探り状態。前線の平山を欠いてしまったことで、更に迷走しているよう思えます。


今季の目標は、最低でも昇格。

ならば、攻撃はブラジル人2トップに任せて、残り8人は守りに徹する、あるいは得点はセットプレーで狙い、リスクは負わないサッカーに徹するなど、早々に割り切るのも必要かと。

スマートなサッカーを追求して勝てないより、泥臭くても勝つサッカーをしてくれることを、私は望みます。

「内容は悪くないが、勝てない。」、昨季のような中途半端な状態が一番悪いと感じてます。

そうですねー。

昔はとにかく一対一で相手を凌駕する選手の絶対量が少なかったですから、もっと「〜を生かす」サッカーに絞りやすかった、というのもあるんでしょうね。で、逆に今は(怪我人続出とはいえまだまだ)「個の力」で勝負になるパーツが各所にあるわけで、焦点の合わせ方が散漫になっている、と。

しかしながら、(自分で書いておいてなんですが)ブラジル2トップに点を取らせるサッカーに徹するべきかどうかは、まだ彼らがあてになるかどうかがわからないので保留したい気もします。思い返せば一昨年、「スーパーナオ」の時期は何とやりやすかったことか……。

>スマートなサッカーを追求して勝てないより、泥臭くても勝つサッカーをしてくれることを、私は望みます。

大熊さんは理想にこだわりすぎるタイプではないとは思いますよ。ただ、「理想より泥臭さだ」という物言いはよく見かけますけど、泥臭くやったからといって、勝てる確率が上がるとは限らないから難しいわけで。

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