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2010年12月27日

●石川サンタのXmasプレゼント(笑) ('10-'11天皇杯準々決勝)


土曜日の夕方は、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で天皇杯準々決勝。アビスパ福岡 2−3(延長1−2) FC東京。辛いJ2降格が決まってから最初の公式戦は、奇しくも来季J1に昇格するアビスパとの「行き違いマッチ」。東京としてはリスタートに弾みをつけるためにも勝ちたい試合であったが、早々に先制されて延々攻めあぐみ続ける悪いパターンに陥る。しかし、途中出場した石川の劇的な同点弾がチームを救い、延長戦に持ち込んで何とか勝利を収めた。
 
 
立ち上がりは福岡のキレのある動きが目立つ。0分、右サイドに飛び出した永里のシュートを塩田がキャッチ。福岡はさほど人数をかけないものの、大久保のポストプレーを軸に前線へ出し入れの速い攻め。対する東京は梶山を中心にパス交換しながら押し上げていく。7分、大黒・平山とのパスワークで飛び出した梶山がGK神山と一対一になるも、シュートは神山がセーブした。8分にも平山のシュートを神山が弾いたところ、大黒が詰めるが惜しくも押し込めず。

ポゼッションで上回って攻勢に出るかに見えた東京。だが、その矢先にあっけない失点を喫してしまう。12分、末吉の右からのアーリークロスを永里が頭で逆サイドへ流し、中村北斗に競り勝った大久保が胸で収める。北斗が転倒した刹那、大久保の反転シュートが塩田の脇を抜いて決まった。「いやに簡単にやられたな……」と思わずため息。0−1。しかもこのプレー前後に負傷した北斗はヨングンと交代することになり、早くも交代枠が減ってしまった。

先制した福岡は完全に守備重視のサッカーとなり、東京はよく訓練され、かつ当たりの激しい福岡DFにパス回しを寸断されて攻めあぐむ。滑るピッチも攻撃陣の連携の拙さに拍車をかけ、サイドアタッカーが強引に持ち上がってもすぐDF2人に追い詰められてしまう。それでもいくつかチャンスは作り、30分、ボックス手前から大竹が狙った直接FKは神山がキャッチ。34分には右スローインから深い位置で平山が落とし、大竹が左足アウトで狙うも神山が弾き出した。
 
 

後半になっても、東京がボールを支配する展開。48分、ショートコーナーから中へ切り込んだ徳永の左足シュートがゴール左隅に決まるが、ゴール前で大黒が関与したとの判定でオフサイド。ぬか喜びの東京はその後もリズムに乗りきれない。59分、ボックス内の平山にパスが入り、右の徳永に開いてクロス、ニアの大黒がヒールで狙うもサイドネットへ。ここで東京は大黒OUTで鈴木達也IN。だが流れは変わらず、むしろ焦りのせいかパスミスが増えてしまう。

67分、ミスから自陣深くで一対二の大ピンチとなるが、福岡の拙攻に救われた。東京は前半同様にサイドで詰まる形が多く、右の徳永は内に入るなど工夫が見られるものの、リカは孤立して「消えた」状態。と、73分に米本に替えて石川を投入。リカを外すべきだと思えたが……しかしこの交代は功を奏し、石川の鋭い前への仕掛けが攻撃を活性化する。74分、その石川が右サイドを突破、徳永→平山→逆サイドのリカへとつながるが、リカのシュートは右に外れた。

77分、ロングボールに反応した平山が左サイドを抜け、折り返しを達也が戻してリカがシュートするも、また枠外。83分、リカがスルスルスルッと左サイドを突破して撃ったシュートは神山がセーブ。残り数分になると東京は今野を前に上げておなじみのパワープレーを開始する。が、これまたおなじみの光景だが、平山はハイボールにほとんど競り勝てず、はね返されてはセカンドボールを拾われ、の繰り返し。気がつけば時計は90分を過ぎ、万事休すに思えたが……。

ところが、である。ロスタイムも2分を過ぎた頃、何度目からのロングボールを福岡DFがはね返し、中央で拾った梶山が間髪入れず前線へフィード。今野とDFが競ってボールが落ちたところ、反応よく走り込む石川が空中でボレーシュート!!矢のような勢いで飛ぶボールはあっという間にゴール左に吸い込まれていった。まさに起死回生の一撃。それまで「意地見せろ!」コールと共に苛立ちと諦めが充満していたスタンドも、総立ちになって沸き返る。延長戦突入。
 
 
こうなると勢いは東京である。延長が始まると福岡も前に出て攻め合いとなったが、94分、大竹のフィードパスで平山がDFを引き連れつつ右サイドを突破。平山は迷わず右足を振り抜き、速いグラウンダーのシュートが神山の指先を抜けて左隅に決まった。よし!2−1。続いて97分、またも大竹のパスで石川がDFの背後に抜ける大チャンス。石川は前に出る神山をヒラリとかわしてから落ち着いて左足でゴールへ突き刺した。ナオらしい華麗なゴール!!3−1。

ノックアウト方式であることを考えれば、2点は十分なリードにも思えた。しかし90分間のストレスが大きかっただけに、選手もサポーターもイケイケになるのは仕方のないところだったかもしれない。98分、リカのドリブルから右へ展開、石川のクロスに合わせた平山のヘッダーは神山がかろうじて弾き出す。11分には大竹のスルーパスで達也が左サイドを突破、シュートは惜しくもポスト右を抜けた。とりあえず延長後半の半ばまでは危なげなく試合が進んだ。

再び雲行きが怪しくなったのは残り5分を切ってから。攻めるか守るかはっきりしないムードの中、115分、岡本がゴール前へ抜けたピンチはヨングンがカットしたものの、次のCKで丹羽にヘッダーを決められてしまう。3−2。さらに117分、波状攻撃から岡本のシュートに塩田が反応できず、右隅にゴールイン……という場面は今度はオフサイドに救われた。あぶねー。そこからはさすがにコーナーなどで時間を使って逃げ切りに成功し、準決勝進出を決めた。
 
 

なんつーか、こういうこともあるのね。寒い中で思わずニンマリの試合だった。

3週間空いた試合間隔、滑るピッチ、降格による失望感と昇格を決めて意気上がる対戦相手。苦戦の要因が揃っていたのは確かだが、それにしても苦しい戦いだった。エンジンがかかってきたところでのあっけない失点、その後の連携不足とサイド一辺倒の拙い攻撃、後半の焦り丸出しのプレーと運任せに近い放り込み。石川の一撃がなかったら、もしくは延長後半に追いつかれていたら、きっと「悪い意味で今季の集大成」と書くことになっていただろう。

だが、石川の素晴らしいプレーが全てを変えてくれた。終了間際の劇的な同点ゴールはもちろん、延長に入ってからの大竹を中心とした活き活きとした攻撃にはワクワクさせられたし、平山のゴールゲッターとしての本領発揮ぶりも嬉しく、石川の3点目には目を見張らされた。2点目をとられるまでの間は今季でも1・2を争う楽しさだったのではなかろうか。結果的には、寒い中はるばるアクセスの悪い熊谷スポーツ文化公園まで足を運んだ甲斐があった……のかな。

まあ、シーズンも大詰めになってようやく意地悪なサッカーの神様も少しは微笑んでくれる気になったのかな、と。ホント0−1のまま終わってたらさすがに「こりゃ来年もヤバイよ!」と騒ぎたくなったかもしれない。つーか、冷静に考えれば「このままだとヤバイ」のは確かなんだけどね(笑)。とりあえずサイド偏重の攻め(中を梶山1人に任せちゃダメだ)とリカルジーニョの使い方、あと平山の「高さ」に期待しすぎるパワープレイは何とかしてほしいと思うぞ。

MVPは石川。断固として石川。もしかしたら、彼がこんなに頼りになると痛感したのは初めてかもしれない、というくらいに存在感が際立っていた。サイドで空回りするんじゃなくて、どんどん中で絡んでくれたのが良かった。プレゼントありがとう!攻撃陣では、大竹も2アシストになるのか?ナイスな活躍ぶり。中でボールさえもらえればこれくらいの仕事はできる選手なんだよね。あとは、勝ち越しゴールを挙げた平山か。彼の武器はやっぱり両足のキャノン砲である。

一方、良くなかったのはまず米本。変に体を投げ出すプレーが多く、いつもの粘り強さがなかった。今野もイマイチだったかな。怪我上がりや代表の選手はコンディションの調整が特に難しいのかもしれない。リカルジーニョは相変わらず周りを見ない、使わない。時たまビッグプレーを見せるけれど、相手にしてみれば対策は立てやすそうだ。徳永は頑張っていたけど、SBとしての勘がまだまだ戻っていないように見える。梶山は……時間帯によるムラも激しいんだね。

さて。というわけで、ともかくも準決勝進出である。舞台は国立競技場、相手は鹿島アントラーズ。正直勝つのはなかなか難しいと思う。が、同じく霞ヶ丘で行われた1999年のナビスコカップ準決勝に比べれば、勝ち目があるような気がしないでもない。まあ、ACLだなんだと難しい事はさておき、ファンとしてはリーグ戦の失敗で失われた誇りと自信を取り戻すため、頂点目指して全力を尽くしてほしいものだと思う。自分を信じていれば、勝利は付いてくる、さ。
 
 
[付記]
しかし熊谷スポーツ文化公園は遠かった……開始1時間半前に熊谷駅についたのだが、その時点で路線バス(一応増発されてた)は超行列で、諦めてタクシーを拾うも渋滞でなかなか着かない。駅からの道が細くてすぐ渋滞するんだね。で、帰りはもう最初から徒歩で駅に向かって40分弱で到着。寒かったけど、バス待ちは何十分もかかったそうだからこちらが正解だったみたい。03年の丸亀とかが典型だけど、天皇杯の地方開催はアクセスの悪さとの戦いだ。
 

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コメント

当日朝まで迷ったけど、今回はクルマで行って正解でした。
(16:50頃は、帰路の車中の雰囲気をちょっと想像してやや暗いキモチになりかかってた、のはここだけの話ですが)

そうですね。車を運転しない私にとっては「バス」「タクシー」「徒歩」の三択だったんですけど、車だったら細い道を通って駅に向かわなくてもいいし、それが一番の正解だったでしょうね。

>帰路の車中の雰囲気
私はスタジアムに車で乗りつけたことって今までで1回(06年の最終戦)しかないのでホントに想像するしかないですが、確かにあのまま終わってたら、ねえ。無言の時が延々と……(笑)。

同点になるまでは大熊東京になってからの試合内容としてもワーストに近い内容でした。

オーバーラップが少ないSB、絶不調のダブルボランチ、周りを見ず一人でやっているリカ。


達也投入でライン裏への飛び出しが増え、少しましになりましたが、サイドに片寄った攻撃でCBを引き出すことが出来ず、手詰まり感が漂うばかり。

ほぼ偶然のこぼれ球に頼っていては、鹿島には勝てません。

実質明日一日しかありませんが、大熊監督がどう立て直してくれるか、期待半分不安半分です。


追記
帰路のバス、私は90分待ちでした。歩いた方が正解でした。

良くなかったですねえ。特にヨングンとリカは連携ゼロでしたもんね。大竹が中に入ってからは全然違いましたが。

まあ、多分そう簡単にはチームは変わらないとは思いますけど、インチキくさい勝ち方で鹿島をうっちゃったりしたらそれはそれで気持ちいいだろうな、と(笑)。私は気楽な心持ちで国立に行くつもりです。

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