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2010年12月30日

●来年またがんばるべ ('10-'11天皇杯準決勝)


昨日の午後は国立競技場で天皇杯準決勝。鹿島アントラーズ 2−1(延長1−0) FC東京。J2降格のショックや熊谷での大苦戦を乗り越えてたどり着いたセミファイナル。相手は奇しくも(って前回も使ったな)1997年に東京ガスが準決勝に勝ち上がった際も国立で対戦した鹿島国であった。平山のスーパーゴールで東京が先制するも鹿島がしぶとく追いつく展開となり、東京は延長でも退場者を出しながらよく粘ったが、終了直前に興梠に決められて無念の敗退。
 
 
キックオフ。いきなり1分、左から切れ込む興梠からのラストパスを野沢がシュートするピンチとなったが、権田がはね返して事なきを得た。その後は意外にというべきか、東京がボールを持つ時間が長くなる。だが、ハーフウェーまでつないでもそこで鹿島のタイトな寄せにあい、なかなかチャンスに至らない。逆に鹿島の方が効率良くシュートまで持ち込んでいく。12分、ロングボールを大迫が落として興梠がゴール前へ抜けるも、シュートは権田が横っ跳びでセーブ。

13分、大迫の強烈なミドルシュートがサイドネットに突き刺さる。4−2−3−1で臨む東京は相変わらず攻めがサイド一辺倒で、時たま達也・椋原のコンビやリカの個人技による突破はあるものの、全体的には狭い場所に追い詰められることが多い。ただし、東京にとって幸いだったのはMFガブリエルが機能せず、鹿島の攻めがやや薄かったこと。18分、野沢のミドルシュートは左に外れ。27分、興梠の折り返しに宮崎が走り込む場面も森重のタックルが決まった。

状況を打開したのは、平山の頑張りだった。組み立てに苦しむ東京はロングボールを多用するようになるが、平山は左右に流れながら巧みなトラップでよくそれらを収め、鹿島DFを引き延ばすことでようやくチャンスが作れるように。32分、平山のパスで梶山がゴール前左に進入、折り返しを叩いたリカの一撃はきわどくポスト右を抜けた。34分、リカのアーリークロスを斜めにゴール前へ入った達也が落とし、平山が走り込むもDFが体を張ってシュートを防ぐ。

そして39分。左サイドからリカが直線的なクロス、これに対してDFの間に入り込んだ平山が何とオーバーヘッドキック!強烈なシュートは曽ヶ端の頭上を抜けてバーに当たり、ゴールラインを越えていった。大柄な平山が跳び上がって頭上のボールを叩く様はすごい迫力で、まさにスーパーシュートである。1−0。平山は42分にも森重のフィードで左サイドを抜け、角度のないところからシュートを撃つなどキレキレの動きを見せる。前半はそのまま終了した。
 
 

後半に入ってもそのまま東京ペースが続く。途中で達也をFWに上げて4−4−2調にしたのも功を奏したか、前半はリカに蓋をされていたヨングンも攻撃参加するなど攻撃のリズムの良さが目立った。一方の鹿島は曽ヶ端がキックミスするなどイライラムード。49分、FKのはね返りを叩いたヨングンのロングシュートを曽ヶ端がキャッチ。58分、右へ展開して椋原がクロス、平山が強烈なヘッダーを飛ばすが曽ヶ端が弾き出した。ここで仕留めたいところだったが……。

流れが再び変わったのは61分。いつも以上に早く動くオリヴェイラ監督はガブリエル→本山の交代策に出る。本山は突っかける動きとパス出しをバランスよく織り交ぜ、一気に鹿島の攻撃を活性化した。東京はDFラインで耐える形に。64分、野沢がボックスに突入して撃ったシュートはわずか右に外れ。そして66分、鹿島は野沢のヒールパスで左サイドを抜けた宮崎がクロスを上げ、大迫の叩きつけるヘッダーがゴール右に決まってしまう。完全にやられた。1−1。

追いつかれた東京は72分、達也OUTで石川IN。が、鹿島の攻勢は続き、自陣でボールを回されてしのぐ時間が続く。76分、ボックス手前で野沢がフェイントからシュート、権田が横っ跳びで弾き出す。東京が再び攻めの形が作れるようになったのは残り10分を切ってからで、83分、石川が右サイドを突破し、クロスを逆サイドのリカが折り返してヨングンがシュートするもDFがブロック。86分には波状攻撃からリカのクロスに平山が合わせるもポスト左。

88分、東京は椋原に替えて大黒を投入し、攻めの人数を増やして勝ち越しを狙う。ただ、残り時間を考えれば「遅いな」という感想を抱く交代であった。逆にロスタイム、鹿島がボックス正面で直接FKを獲得。小笠原の左へ曲がり落ちるシュートは権田が何とか弾き出し、詰めた大迫のシュートも枠外へ。結局延長戦へ突入することになった。
 
 
延長開始から4分で、勝敗を左右する決定的なアクシデント。ボックス手前で米本が野沢からボールを奪ったプレーに対して笛が鳴り、なんと米本が2度目の警告で退場となってしまった。仮にファウルだとしても、軽度のものに見えたが……。その後はさすがに鹿島の一方的な攻勢となった。98分、波状攻撃から宮崎の撃ったシュートはバーを越えた。101分、自陣左コーナー付近でリカが新井場にボールを奪われるピンチは、速いクロスを権田が押さえて命拾い。

緊急避難的に平山が中盤に入る形になった東京の選手たちは疲労の色が濃く、鹿島のパス回しについて行くのがやっとの様子。104分、今度はボックス右手前で鹿島のFK、野沢の曲がるシュートはポストの左を抜けた。108分、伊野波の弾丸ロングシュートも左上に外れ。110分、足の攣ったリカに替わって大竹投入。これまたもっと早く行ってほしい交代であった。大竹は鋭いドリブルで何度か鹿島陣に突入して期待を抱かせるが、如何せん味方の消耗も激しい。

116分、森重のフィードで大黒がボックス内へ突入、反転シュートを狙うがDFに防がれた。117分、新井場のシュートは枠外。鹿島の波状攻撃が続くものの、東京も必死の頑張りでこらえ続ける。ところがPK戦も見えたロスタイム、裏を狙う大迫の動きに東京DFが反応できず、本山からのパスが通ってしまう。大迫のシュートは権田が弾いたものの、こぼれ球を興梠が押し込んでジ・エンド。スタンドにピッチに赤黒の歓喜が弾け、そして終了の笛が鳴った。



悔しいなあ。本当に悔しい。勝つチャンスはあると思えただけに、相手が鹿島だけに、そして選手たちが最後の最後まで頑張っていただけに。

試合のモメンタムはわかりやすく推移し、最初の30分は鹿島、次の30分は東京、そしてその後はずっと鹿島、という流れだったと思う。ただ、東京も2点目をとるチャンスは(特に後半の早い時間帯には)十分にあったように見えたし、加えて88分に大黒を投入して勝ち越しを狙う形にした後、延長に入って早々に米本が退場したのはとてつもなく痛かった。この大一番でついていないというか、微妙に相性の悪いレフェリーに当たってしまったのかもしれない。

もう一つ不満だったのは、選手交代のタイミングであった。石川投入は既定路線だったのだろう。その後に大黒・大竹の順で入れていったのも悪くない。ただ、それぞれの交代がいずれも遅すぎるように僕には思えた。おそらく同点になった時点で(もしくは最初から)120分を見据えてプランを立てていたのだろうが、鹿島側が全般的に慎重な戦いぶりだったことを考えれば、機先を制す策があっても良かったかもしれない。11人のうちに大竹投入が見たかった……。

ただ、そういう悔しさや不満はどうしても残ってしまうし、あと鹿島がマルキーニョスを欠く布陣だったことを割り引く必要はあるけれど、選手たちはよく戦ってくれたと思う。J2降格が決まったばかりの、こうした舞台の経験はもちろん鹿島の足下にも及ばないチームが、少なくとも90分間は互角に渡り合って「優勝も夢ではないのでは」と思わせてくれたのだ。みんな本当によく頑張ったよ。まあ、だからこそ「勝たせてあげたい」という気持ちも強かったのだけれど。

東京で最も賞賛に値したのは平山だろう。先制ゴールになったオーバーヘッドシュートはもちろん、序盤の苦境を脱することができたのは彼のボールを収める力のおかけだし、前線で、米本が退場してからは中盤に下がって攻守に奮闘し続けた。今や東京にとってなくてはならない選手だと思う。来年は思いっきり爆発してほしい。DF陣は皆概ね良かったかな。特にヨングンは攻守にフル稼働で、リーグ戦終盤に彼がいなかったことの大きさを改めて痛感させられた。

残念だったのはリカルジーニョである。大熊さんのチーム作りについて言いたいことは色々あるけど、一番不満なのは彼を重用していることだ。確かにボールの預けどころとしては平山と共に確かなものがあるし、派手なドリブル突破もできる。でも、その先が……如何せん周りを全く使えないのはあまりにも大きな欠点だろう。つーか、そもそもサイド突破にこだわりすぎてチームバランスを崩してる状態って、それじゃ完全に城福監督以前に逆戻りしてるだろう、と。

ともあれ、これで今季も終了。選手・監督・スタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。来年は色々とリベンジする年にしないとね。J2で3位以内に入ってJ1復帰を決めること。天皇杯で勝ち上がって元日の国立競技場に「戻ってくる」こと。鹿島(いや浦和でもいいぞ)に今度こそギャフンと言わせてやること。etc。負け戦続きだった2010年、その終わりに巡り会ったこの日の敗戦が、FC東京にとって次の時代へのステップになってくれればいいな、と思う。

いやホント、強がりでなく、3月にまた青赤のユニフォームに会えるのが僕は楽しみでならない。
 
 
 
[追記]
試合の翌日に公式HPで様々な移籍の発表があった。ホベルトの獲得、大黒・リカルジーニョ・前田のレンタル終了、松下のレンタル移籍、そして赤嶺の完全移籍。トーチュウの報道によれば重松ら若手のレンタル移籍の話も進んでいるようだ。大黒・松下・赤嶺に関しては残念な一方で仕方がないと思うし、ホベルトは大分時代の力を取り戻しているとすれば大変大きな補強になるだろう。ようやくベテランのボランチをとったあたり、東京も学習しているのだろうか?
 

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