●難局は続く (FC東京×ガンバ大阪)
昨日の午後は、味の素スタジアムでJ1第29節。FC東京 1−1 ガンバ大阪。前節はアウェイで清水に快勝しながら追いすがる神戸を引き離せなかった東京、今回は3位ガンバとの対戦である。試合は、前半に主導権を握った東京が1点を先取するものの、後半は一転ガンバの猛攻に耐える形に。残り10分を切るところまで粘りながらセットプレーで同点にされてしまい、終盤の再攻勢も実らず引き分けの結果となった。
序盤から東京ペースで試合が進む。3分に石川が、5分に大黒が挨拶代わりのミドルシュート。東京はポゼッションにこだわらず、パスを回してくるガンバを前に置き、中盤〜後方でボールを奪うや平山と石川の突進を中心に手数をかけず切り返す。9分、右サイドのパスワークから森重のミドルシュートをGK藤ヶ谷がキャッチ。10分、平山の巧みな反転パスで石川がDFの間を抜けてボックスへ突入するが、シュートは藤ヶ谷が横っ跳びで弾き出す。惜しい!
16分、安田を振り切って切れ込む石川が強烈なミドルシュートを撃ち、藤ヶ谷が跳び上がってセーブ。平山と石川のキレは目を見張るほどで、平山がタッチ際の鋭いターンでDF2人を置き去りにするシーンもあった。一方ガンバの攻撃は、米本・森重・今野が鋭い読みで2トップへのパスを遮断してチャンスを作らせない。そして19分、左サイドから羽生が早いタイミングで入れたクロスを、ニアに入った大黒がきれいに合わせて右隅にゲット。さすがの決定力。1−0。
その後もしばらくは東京ペース。26分の右CK、大黒のボレーシュートは藤ヶ谷がかろうじて防ぐ。33分、アーリークロスを平山が落として大黒がシュートするも枠外。残り10分を切る頃になると東京もやや息切れしガンバのパス回しが活発になるが、東京は慌てない。35分、ボックス手前のFKで遠藤が撃ったシュートはバーの上。42分、左サイドのFKから遠藤がアーリークロスを入れるも権田が出足良く弾き出す。まずは満足の1点リードでハーフタイム。
後半、ガンバは平井に替えて宇佐美を投入。この交代で戦況が一変した。縦横の動きに加えて足下と視野に優れる宇佐美が入ったことで、前半はFWと分断されていたガンバのMF陣が前線に接続。東京は加速するパス回しへの対応に追われるように。立ち上がりこそ東京の速い攻撃も見られたものの、すぐガンバペースに。48分、中央のパス交換から右でフリーの遠藤へ展開、イへのクロスを森重がきわどくカット。その直後、安田のクロスがバーをかすめる。
東京は前線で平山が縦パスをよく収めて奮闘するも、フォローが続かず孤立することが多い。56分、細かいパス交換から遠藤のクロスをイが叩いたボレーは権田が横っ跳びでキャッチ。東京DFは余裕を失い、あわやのラストパスを米本や北斗らが必死のスライディングで防ぐ。60分、中盤でのハイボール処理を今野・北斗がしくじり森重とイ・宇佐美の一対二になる大ピンチ、宇佐美のシュートはカバーの米本に当たってサイドネット。冷や汗ものの場面が続く。
徳永は攻守に機能せず米本もキツそうなこの時間、できれば中盤の守備を強化したいところ。しかし、控えには守備の選手が平出しかいない。64分、左からのクロスをイが落とし、橋本がシュートするがポスト左を抜けた。65分、東京はカウンターで左→右へと展開し、椋原がシュートするも追いついた安田がブロック。ここで東京は羽生→松下、続いて大黒→リカルジーニョの交代。1人で攻めきれる選手を入れて一息つく意図だろう。ガンバはルーカスを投入。
76分、ルーカスのミドルシュートを権田がキャッチ。気がつけば残り10分。「これは何とかなるかも」と思えたが……81分、ガンバの波状攻撃の中で宇佐美がドリブルでゴール前へ抜けるも、ニアへのシュートを権田がビッグセーブ。よし!だが、助かったと思った刹那、次のCKで中澤が豪快なヘッダーを突き刺して同点にされてしまう。3人飛び込むガンバの選手に対して東京の選手は森重1人しか競りかけておらず、「何やってんねん」という失点だった。
ところが、ここから東京が反発力を見せる。83分、リカが左サイドを突破、ボックス内で折り返しを収めた石川が右へ流れながらシュートするもまた安田がブロック。87分には平山から開いて松下がクロス、DFがクリアし損ねたボールが平山の足下に落ちる絶好機。しかし平山のシュートはDFに当たって枠外へ……。ロスタイムにはリカが長いドリブルで魅せ、ガンバも森重のハンドで良い位置のFKを得たが佐々木のシュートは枠外。結局、1−1のまま終了となった。
決して悪くない。悪くない結果だとは思うのだけど……できれば勝っておきたかったな。
試合の流れを大ざっぱに括るならば、前半は東京で後半はガンバ、ということになるだろう。大熊監督になってからの東京は「先行逃げ切り」型のサッカーになっているし、元々ガンバはスロースターターだから、考えてみれば自然な展開ではある。加えて、宇佐美の投入と東京に守備固めの駒がないことが後半の一方的展開に拍車をかけた。ガンバの高速パス攻撃でDFが棒立ちになる場面が幾度かあったことを考えれば、引き分けでも満足すべきなのかもしれない。
ただ、せっかく危ない場面を懸命のカバーリングとスーパーセーブで耐え続けて残り10分まで来たのに、セットプレー一発でやられてしまったのは残念だった。既に書いたが、失点場面はマークが全然つけておらず、またいつもの「フッと集中が切れた瞬間に」だからなおさらである。また、同点になってからの再攻勢はある意味驚きだったし嬉しかったけれども、2つの決定機のうち1つでも決まってればなあ、という思いは拭いきれない。特に平山のシュートが……。
まあ、過ぎたことをグジグジ言ってても仕方がない。次だ、次。
東京が引き分ける一方で大宮・神戸は勝利したため、東京は大宮に抜かれて15位となり、勝点で神戸と並ぶことになった。いや、いよいよお尻の火がボーボー燃えさかってきたというか。そこの君、「タヌキだけに、これがホントのかちかち山だな」などというギャグを飛ばしている場合ではないぞ。次は好調のマリノスが相手だ。梶山が戻ってくるのは嬉しいのだが、森重が累積警告で出られなくなってしまったのが非常に痛いのである。
キム不在のため、ボランチは米本・梶山で組むとして、おそらく徳永がCBに下がるのだろう。徳永はその方が生きるだろうが、しかしDFからのフィードにはあまり期待できないし(森重は昨日も好フィードが何本かあった)、もちろん守備の控えはいなくなる。今野の警告が累積3枚なのも不安材料だ。米本・平松が怪我した後にDFを補強しなかったツケが今になって出ているのだ。元々ベテランもいないところに、若い攻撃の選手ばっかりとってからに……。
あ、いかん、またグジグジとネガティブ調になってしまった(笑)。とにかく、もはや星勘定をしていても仕方がない。監督交代以降内容も成績も上向きにはなってきている、と自分たちに言い聞かせて一戦必勝を目指していくしかないのだろう。頑張れ、頑張ってくれ、俺の東京。
[付記]
この日は三菱商事提供「テディベア・デー」ということで、入場者には黒いクマ(なぜ黒?)のストラップとともに背番号を模した抽選カードが配られたのだった。僕が受け取ったのは「22番」のカード。「お、羽生だ」と思っていたら、ハーフタイムの抽選で見事特製ベアくんが当たったのであった。いやー、これは率直に嬉しい。この手の抽選で当選したのなんて、1999年11月のJ2仙台戦@駒沢で、小峯隆幸の3rdユニフォームをもらって以来だね。