●痛み分けの夏 (鹿島アントラーズ×FC東京 テレビ観戦)
鹿島アントラーズ 1−1 FC東京 (J1第18節 カシマサッカースタジアム)
スカパー!でテレビ観戦。悔しさも嬉しさもないようなあるような、何とも微妙な結果。
東京は羽生・梶山、鹿島はマルキーニョスと、双方主力を欠く中で迎えた試合は蒸し暑い中でキックオフ。前半は鹿島が快調にパスを回して攻める展開。15分、野澤のロングパスを興梠が胸で落としてジウトンが強烈なミドルシュートを撃つが、塩田が横っ跳びで弾き出した。19分、興梠がボックス内で狙った反転シュートは塩田がキャッチ。東京はやはり梶山不在は大きく、中盤で森重が奮闘するものの、組み立ての途中でプレス守備に絡みとられる場面が目立つ。
ただしこの日は鹿島も盤石ではなく、外国人2人の守備の不安定さから時折隙ができる。16分、右サイドを抜けた石川のクロスから平山の強烈なシュートが曽ヶ端の正面を突く。そうしているうちに27分、左サイドのFKで小笠原が速いボールをゴール前に入れ、興梠がバックヘッドでコースを変えてゲット。敵ながらナイスシュート。0−1。その後は鹿島優勢の流れが続き、大迫が塩田と一対一になる場面などもあったが鹿島の詰めが甘く、1点差のまま前半終了。
後半になると東京は今野をMFに上げ、さらに大竹・リカを投入して力づくの反撃。最初は鹿島もクロスに興梠が飛び込んで見せ場を作るなど、ほぼ互角の攻防が続いたものの、60分を過ぎる頃になると東京の一方的な攻勢に。鹿島は全体の足が止まった上にジウトンの守備がますますひどく、東京はパス回しで簡単にチャンスの形を作る。北斗の速いクロスがポストを直撃し、77分にはリカルジーニョが大竹とのワンツーでゴール前へ突入するも曽ヶ端がセーブ。
東京は幾度もサイドからクロスを上げるが、全く押し上げられない鹿島DFもボックス内ではよく粘ってはね返し続ける。そして鹿島は完全な逃げ切り狙いに。が、しかし。86分、右サイドから切り込む大竹がDFを背負った大黒にパスを通し、大黒がワンタッチで戻したボールをがら空きのバイタルエリアに走り込んだ今野がシュート!これが右隅に決まって土壇場で東京が同点に追いついた。最後は鹿島も佐々木投入で勝ち越しを狙うが果たせず、そのまま試合終了。
「痛み分け」と言ってよいのではなかろうか。
試合後、テレビで見る限り、どちらのチームにも喜んでいる選手はいなかった。それが全てを表していたのだと思う。試合展開は一目瞭然。前半は鹿島が主導権を握って後半は東京がペースをつかみ、1点ずつとって引き分け、というもの。リーグ戦の状況を考えればどちらも勝点3がほしかったし、実際どちらにも勝つチャンスがあった。でもどちらも果たせず不満足感だけが残った、と。スカパー!の中継は「鹿島が失敗した」というニュアンスばかり伝えてたけど。
まあ、鹿島にとっては、「やっちゃった」類の試合なのだろう。支配していた前半に2点目を奪えなかったという意味でも、終盤逃げ切ろうとして失敗したという意味でも。決定機はあったのに大迫が決めきれないあたり、マルキーニョスの穴はやはり大きい。つか、前半シュートを外した某選手が笑って頭かいてるのを見て「あ、見下してやがる」と腹が立った(笑)。結局、このチームは選手層がやや薄いのでいつも夏は鬼門なんだよな。それ見たことか、と思ったり。
東京にしてみれば、連戦で疲労が溜まっている上に梶山・羽生を欠いて迎えた鹿島とのアウェイ戦。先制されて追いついたという展開からも、普通に考えれば勝点1は上出来だろう。でも上位陣との勝点差を考えれば、(ACLを諦めないとすれば)ここは勝っておきたかった。後半半ば以降なんて、鹿島の選手棒立ちだったもんなあ……。北斗のクロスが大外れした場面など、最後の部分で雑なプレーが多い。得点シーンみたいな丁寧な崩しがもっと増えてほしい。
困ったのは、羽生・梶山の負傷離脱に加えて森重も累積警告が3枚になってリーチ(今度は2試合停止?)がかかってしまったこと。近々、この3人がいないメンツで中盤を構成しなきゃいけないかもしれないのだ。わお(笑)。てか、それでなくても、今後中盤の構成を監督がうまくやってくれるか心配なのに。徳永はこれからもボランチで使うのだろうか?使えるDFのメンツにもよるけど、徳永ではなく今野を上げた方がまだムービング(死語(笑))しそうだが。
あと、最後にもう一つ。この日は蒸し暑く、特に後半は選手間が間延びしてルーズな攻防になったのだが、そんな中で光ったのはDF個人の読みと判断だった。特に東京の森重と鹿島の伊野波は「それが通れば決定機」という場面で鋭くパスカットするなど、幾つか素晴らしいプレーがあった。彼らはもちろん身体能力でもJトップクラスだけど、それにクレバーさを上乗せしていくことで日本を代表する選手になれる。そんな可能性を感じさせてくれる2人である。と思う。