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2010年07月26日

●本職のストライカーと、本職になりうるボランチ (湘南ベルマーレ×FC東京)


昨晩は、平塚競技場でJ1第14節。湘南ベルマーレ 1ー3 FC東京。リーグ再開後2戦目は、お久しぶりのベルマーレとJリーグでは初の対戦。前節ホームで悔しいドローに終わった東京としては、降格圏に低迷する相手だけにきっちり勝っておきたいところであった(みたいな事を毎回書いているような気がする(笑))。試合は暑い季節にも関わらず激しい攻め合いとなり、大半の時間帯でボールを支配した東京が3点を先取、湘南の反撃を1点に抑えて完勝を収めた。
 
 
むっとする暑さの中でキックオフ。この日の東京は全体的には神戸戦を継承しながら、負傷の徳永に代わって森重がMFに上がり、キム・ヨングンがCBに入る布陣。森重は守備の場面ではややぎこちなさを見せながらも、着実なパスさばきと機を見た上がりで攻撃を加速させていく。立ち上がりは中盤で優位に立つ東京ペースで試合が進んだ。5分、中央を持ち上がる大竹から右の梶山にはたき、戻したボールを叩いた森重のミドルシュートはポストのわずか右。

10分、波状攻撃から森重がシュートするがGK都筑がセーブ。14分には中村北斗から狙いすましたクロスが入り、ジャーンの前に出た大黒がボレーで叩くも、これも都筑が横っ跳びで弾き出す。ここら辺は個人能力の差が出ている印象だった。しかし16分、左ゴールライン際を強引にえぐった小澤から中へ折り返し、塩田を抜くエメルソンのシュートを松下がゴール寸前でクリアする危ない場面。これを機に、それまでほとんどつなげなかった湘南の攻撃に勢いが出る。

18分、ボックス手前で鋭いターンから阿部がミドルシュート、ポストわずか右を抜ける。22分、東京は梶山のドリブルでいい位置のFKを得るが、リカのシュートは壁を直撃。ボール支配は相変わらず東京、だが湘南の逆襲にも鋭さがあり、東京DFが後追いになるなど予断を許さない展開が続く。34分、阿部の思いきったミドルシュートを塩田がキャッチ。そのうち暑さが効いてきたか、両チームとも攻守の切り替えが遅くなり、膠着ムードが漂い始めたかに思えた。

ところが、そんな時にこそ点が入ったりするからサッカーはわからない。

39分、梶山から左の羽生→リカと展開してクロス、DFに競り勝った森重がダイビングヘッド!都筑は一歩も動けず、ゴールネットに突き刺さった。まあやっぱり一対一の差か、という感じ。1−0。続いて43分には左から仕掛けるリカがDFを揺さぶって中へ入れ、梶山がワンタッチでゴール前へ送ったところで大黒がDFを引きつけながらつぶれる。あとはフリーの羽生が冷静に蹴り込むだけ。大黒の存在感が生んだ得点だった。2−0。まず満足な状況で前半が終了。
 
 
遠くに雷の音など聞こえつつ後半開始。東京はリカに替えて赤嶺を、湘南は小澤に替えて島村を投入。46分、左から羽生がドリブルで仕掛けてクロス、赤嶺が空振りしたボールを大竹が拾って狙うがDFがブロック。大黒・赤嶺の2枚ポストとダブルボランチのパス交換に羽生が絡んでいき、パスの回りはより軽快に。梶山の動きやタッチも上々。51分には北斗がDFを振り切って右サイドをえぐり、都筑の脇を抜くクロスに赤嶺が飛び込むが、臼井がギリギリでクリア。

東京は守備もまずまず安定しており、湘南は次第に後方でパスを回して攻めあぐむ姿が目立つように。そして58分、カウンターで左サイドを赤嶺が抜け、右サイドをフリーで上がる大黒へラストパス。この絶好のチャンス、大黒はきっちりゴール左隅へ撃ち抜いてゲットした。なんと頼もしいことか!3−0。ところが、その直後、湘南は縦パス一発でDFの背後に抜けた阿部がシュート、塩田が弾いたボールを直前に投入されていた中村が押し込む。あらら。3−1。

勝負あったかに思えた直後の嫌な失点。だが東京が先週と違ったのは、30分ほど残り時間がある中で変に下がりすぎなかったこと。63分には梶山が、66分には赤嶺がそれぞれバイタルエリアのパス交換からミドルシュートを撃つ。一方で湘南のフォアチェックに対してはいなすようなパス回しも見せ、バランスの良い戦いぶりだった。湘南は田原を投入し、これに対して東京は椋原を投入。71分には永木がボックスすぐ外でFKを獲得するも、シュートはバーの上。

終盤も東京優位は動かない。80分、椋原のパスでボックスに突入した羽生のクロスに、大黒が飛び込む惜しいシーン。83分、攻撃参加した臼井のクロスに阿部がダイビングヘッドで合わせるも枠外。森重→高橋の交代後はやや守備ががたついた感じもあったが、ロスタイムに寺川のアーリークロスを坂本がオーバーヘッドで叩き込んだ場面は幸いオフサイド。最後カウンターで作った絶好機は赤嶺が外してしまったものの、そのまま2点差を守った東京が勝利した。
 
 

前節の悔しさを払拭する勝利だった。

まず大きいのは、中断明けから採用した新布陣できっちり結果を出せたこと。攻撃陣に大黒・大竹、SBに松下・北斗が入るスタメンは神戸戦で可能性を感じさせてくれたものの、結果は2点差を追いつかれての悔しい引き分け。また、今回の試合前には徳永の負傷というアクシデントもあった。しかし城福監督は浮足立つことなく(駒がないだけかもしれんけど(笑))マイナーチェンジにとどめて乗り切った。「反攻のための足場固め」という意味で、これは大きかろう。

そして先週と同じように前半の連続得点で2−0とリードする展開ながら、後半も攻める姿勢とテンポ良いパス回しによるボール支配を失わず、最後まで東京らしいサッカーを貫くことができたこと。神戸戦ではまだ試合時間がかなり残っていたにも関わらず3点目をとりに行くのか2点差を守りきるのかがはっきりせず、結局どちらも果たせず残念な結果になってしまったから。安定した成績を残していくためにも、試合運びで自分たちのペースを作っておくのは大事だろう。

加えて、森重のボランチ起用という「発見」。視野が広くて判断が速くて足技もある。この試合を見る限りはほとんど問題がなかった。というか、普通に徳永より良かった(笑)。「ヨコの梶山、タテの徳永」という組合せもわからないではないんだけど、森重みたいな選手が梶山と組んだ方がチームの幅は確実に広がる。このまま順調に行ったとして、徳永の負傷明けにどうするのかが興味深い。器用なのに(だからこそ?)変に遠回りするのが城福さんの悪い癖だが……。

他の選手では、やはり大黒は凄かった。「ここに撃てば入る!」と思えたコースにスコーンと決まったあの感動!いや、ストライカーって本当にいるんですな。羽生は運動量その他文句なし。大竹はやや地味だったか。梶山は先週よりぐっと良くなってた。ヨングンはDFならどこでも安心の選手だね。個人的に讃えたいのは松下。あの上下動の運動量は加地を思い出すというか、敢闘賞の赤ゼッケンをあげたいくらい(走りすぎてクロスの精度は落ちてたけど)。
 
 
湘南ベルマーレは、予想していたとおり、よく鍛えられて意思統一している好チームだった。この試合もエメルソンのシュートが決まっていたらもっといい勝負になっていたとは思う。ただ、やっぱり選手の能力としては「J1とJ2の間」くらいのチームなんだな、とも思う。反町監督も認めているように一対一の局面では明らかに東京が優位だった。まあ、阿部吉朗を初めとして面白い選手は多いし、僕は反町監督を高く買っているので、何とか残留してほしいのだけれど。

……と、偉そうに言えるほど東京も上位にいるわけではないか(笑)。早くさいたまレッズあたりを追い抜いて、気楽に「湘南ガンバレ!」と言える立場に上がりたいものである。
 
 
[付記]

この試合、いつも通りメモをとりながら観戦していたのだが、前の席に座っている女の子(小学校低学年くらいかな?)が気にしたらしく、時折振り向いてはメモ帳を眺めていた。カミさんによると、隣に座っていたお父さんに何度も「あの人、何しているの〜?」って聞いていたらしい。

「あのね、オジサンはね、メモでもとらないと90分間集中して試合が観られないんだよ〜」って教えてあげればよかったかな。でも、メモの字がものすご〜い汚い(本人以外には解読不能。時々、本人でも読めない(笑))ので、メモ帳についてはあまり見られたくないのであった。
 

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