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2010年06月25日

●本田△もってんなあ

デンマーク 1−3 日本 (FIFAW杯南ア大会 グループE第3節)
 
 
厳しい時間帯ながら、サッカーファンの端くれとして根性で早起きして観た。

試合は大方の予想通り、序盤からデンマークが攻めたてる展開。だが日本DFは堅実なブロック守備で決定機を許さず、松井・長谷部の飛び出しで反撃。そして17分、ボックス右手前30mの距離でFKを獲得。本田が左足で叩いたボールは凄まじいスピードで曲がり落ち、ゴール左隅に突き刺さった。1−0。これでデンマークはやや勢いが削がれた形に。30分には今度はガチャさんがボックス正面から美しい弾道の直接FKを決めて2−0。理想的な流れである。

後半に入ると再びデンマークの一方的な攻勢に。押し込まれる日本だが、GK川島を中心に高い集中力で粘り強く守っていく。ボウルセンの強烈なミドルシュートも川島が横っ飛びでセーブ。ところが81分、長谷部がアッガーを後ろから倒してPK、これをトマソンが決めて1点差。しかしこれで火のついた日本は反攻に転じ、87分、切り返しでDFをぶち抜いて突破した本田がゴール前の岡崎にラストパスを通して決定的な3点目。そのまま日本が勝利を収めた。

 
堂々たる勝利、堂々たる決勝ラウンド進出である。素晴らしい。

グループ3試合を2勝1敗、勝点6の得失点差+2。大会前に、いったい誰がこれほどまでの好成績を予想しただろうか。いや、W杯において「下馬評」があてにならない事は経験的にわかっていたことだし、事前の親善試合の内容があまりに酷かったため、調子の波を考えれば「かえって本番は意外と悪くないのではないか」と思った人はけっこういたかもしれない。しかし、それにしてもここまでうまく事が運ぶとは……選手・スタッフには素直に脱帽しなければ、ね。

特にこの試合については、会心の内容ではなかったろうか。ブロック守備はこれまでの2戦と同様の粘り強さ。それに加えて今回は攻撃にも(全体は逆襲基調でも)バリエーションがあった。デンマークDFの背後を突いて反撃の口火を切った松井や長谷部の飛び出し、そして鮮やかに決まったセットプレー。新布陣に適応してタスクをやりきっている選手も偉いし、これまでも書いてきたように、岡ちゃんは本当に短期間でサクッと仕込むのは上手いんだなあ、という。

本田はこの試合でも凄かった。なんぞあのFKは。C・ロナウド級というか、今大会観てきた中で一番のシュートと言っても過言ではない。でかいDFにも当たり負けないし視野は広いし(3点目のあのパス!)コメントも浮ついてないし……惚れた(笑)。あともう一人、川島についても触れないわけにはいくまい。プレーの安定感に加えて鬼の形相で味方を叱咤激励する姿、完全に一皮むけた印象である。この2人、つい先日までは完全に控え扱いだったのだが……。

ジョホールバルにおける「カズOUT」から13年、またしても岡田監督の土壇場での大きな決断が奏功した形である。岡田さんこそ勝負運という意味では「もってんなあ」ということになるのかもしれない。まあ、これで2年半の迷走ぶりがチャラになるのもいかがなものかと思わないでもないのだけれど、それはW杯が終わってから考えるべきなんだろうかね。

いや、冗談抜きで、これであと2勝すれば何とベスト4である。岡田さんが本気でそこに目標を設定していたとは未だに思えないのだが、嘘から出た真というか、長友(売れちゃうね)や松井が好調を維持していること、遠藤や闘莉王の調子が上がってきたことなどを考えれば、次の相手が強豪パラグアイといえども勝利の可能性は十分にあるように思える。今回の快挙でフランス・ドイツ大会の落とし物を取り戻したとすれば、次は日韓大会の忘れ物を取りに行く番かな。


あ、あと、忘れちゃいけないのは、今回の日本代表におけるいわゆる「アテネ組」の活躍ぶりだ。闘莉王、松井、大久保、駒野、阿部……世代的に言うと川島や岩政もそうなるのかな。アンダーの世界大会で小野・稲本・高原ら「黄金世代」の活躍にかなわず「谷間の世代」などと呼ばれた彼らが今、こうして代表の中心に位置して前人未踏の境地に踏み出しつつあるかと思うと感慨深いものがある。ホント、よかったよな。彼らが喜んでいる姿を見るのが何より嬉しいよ。
 

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コメント

アテネ組みの活躍・・・、一人大事な人を忘れてるよ! 次からは今ちゃん大活躍だな!!!!!!!!!!!

あ、ホントだ(笑)。一番大事な選手を抜かしてましたね。

今野は、ベスト8のスペイン戦で「ベスト4を決める大活躍」ということで。皆の体力がきつくなってくる頃こそ彼の出番。

ご無沙汰です。
いつから本田△になってしまったのよ?あの子は(笑)。
変わっている様に見えて、名古屋時代から変わっていない彼を見ました。FKも当たり前のように蹴って当たり前のように入る気がしましたから。

岡田武史と大西鐵之祐の御二方が重なって重なって(笑)。

岡ちゃんが就任早々に発した「展開・接近・連続」が発端ですよ。
それを額面でしか捉えなかった、サッカーマスコミとのボタン掛け違えが始まったと思います。 フリーランスのサッカーライターで大西鐵之祐をキーワードに追求した人は1人も居なかったような(苦笑)。
普段から見ている人は内容も吟味してくれるが、逆の人たちは、勝ち負けでしか判断してくれませんからね(苦笑)。その人たちを振り向かせることに成功した今回の途中結果は、大いに評価するべき。

このままいけば、壮絶な最期が期待できますよ!

>クロゴマさん
どうも、ご無沙汰してます。

本田については、まあ元々色々な意味で「規格外」ということだったんでしょうね。ただ、僕は名古屋時代より今の方が勇敢にプレーできているように思ってます。
(↑オシム爺ちゃんの受け売りw)

>岡田武史と大西鐵之祐の御二方が重なって重なって
出た、藤島大に突撃した人(笑)。まあ、ここ一番でとてつもない結果を出したという意味ではそうなのかな……コンセプトの実現度でやや差があるような気が(笑)。

「展開・接近・連続」は、いつの間にかどっか行っちゃってますけど、どうなんでしょうね。単なるキャッチフレーズだったのかそれとも真剣にコンセプトとしてあったのか、岡田さんに30年後くらいに聞いてみたいっす。

[参考]
http://bit.ly/bq4K9n

たしかに昔から岡田さんはありもので何とかするのは得意な訳ですよ。札幌のときも横浜FMのときも。

今更ながらの指摘になりますが、今やっている
サッカー自体は別に世界を驚かすサッカーでも
何でもなく、個人能力で劣る集団がどうやったら
勝負に持ち込めるのかを追求した結果でしかない
わけです。

そして岡田さんが凄いのは、にっちもさっちも
行かなくなった状況で、恥も外聞もなく最善の
選択ができるところにあると思います。

そして2010年現在の日本が世界の強豪と対戦
する際に目指すべきサッカーの到達点を、偶然と
は言え、提示してみせたことも評価すべきこと
なのではないでしょうか。

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