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2010年05月09日

●破顔一勝 (モンテディオ山形戦×FC東京 テレビ観戦)

モンテディオ山形 0−3 FC東京 (J1第11節 NDソフトスタジアム山形)
  
 
久しぶりに、楽しく笑顔で語れる(エントリーを書ける)試合になったのう。

この日の東京は梶山控えで松下が先発し、FWは平山・重松。バランスの良い守備で山形にスペースを与えず、平山を中心に流動的に動きながら長短のパスを交えて攻め込んでいく。1分、右から細かくつないでボックス内へ運び、平山が落としたボールを長友が狙うがポスト右。一方の山形は3ラインで守りを固め、古橋・田代を長いボールで狙うカウンターサッカー。2トップの献身的な動きと意図の明確なパスは脅威ではあったが、森重・今野が堅実に防ぐ。

10分、ロングボールに走り込んだ重松がGK清水のこぼしたボールを拾ってシュートするが枠外。23分、ロングボールをボックス内で平山が落とし、走り込む石川がシュートするもバーを越えた。そして24分、羽生の縦パスを平山が左に流れながら落とし、松下がダイレクトでDF裏へ。鋭い飛び出しで抜けた重松が角度のないところから清水を抜いてゲットした。楔のスイッチからアタッカー3人の動きが連動した見事な得点!!これが見たかったのよ、という。1−0。

優位に立った東京はカウンターを警戒しつつ、落ち着いてパスを回して機会を探るように。山形はパスをつないで組み立てざるをえなくなった。攻撃参加した石川竜から2度ほど好クロスが上がるがシュートには至らず、36分に古橋が長めのFKを狙った場面も右にそれた。37分、ボックス左でキープした平山が中へ折り返し、走り込んだ羽生が右足一閃!ドライヴのかかったボールが清水の指先を抜けて右ポストに当たり、ゴールイン。ナイスシュート!!2−0。

これまでなかなかとれなかった2点目が入り、さらにムードの良くなる東京。ただし油断は禁物というか、41分にロングボールに反応した田代が今野の背後をとってボックスへ突入。しかし、これは権田が絶妙の飛び出しで体に当てて防ぎきった。2点差のままハーフタイムへ。
 
 
後半も流れは変わらず、縦につないで反撃したい山形に対し、焦らず回してここぞというところでスピードアップする東京、の構図。48分、サイドから切れ込む松下のシュートは枠外。50分、ボックス左で山形のFK、古橋が曲がり落ちるキックで直接狙うも権田がかろうじて弾き出す。その直後には山形がカウンターで古橋→田代とつないで田代が前に飛び出すが、今野がからんで強いシュートは撃たせない。やや押され始めた東京は松下に替えて梶山を投入。

梶山が入ったことで東京は中盤のキープ力が格段に上がり、ひと息つく形に。56分、平山がフェイントでDFをかわしながらボックスへ突入するもシュートできず。63分、ドリブルでDFを引きつけた梶山から右サイドの重松へラストパス、強シュートはサイドネット。64分には石川竜のクロスに権田が触れず田代の前に落ちるピンチとなるが、森重がかき出して事なきを得る。67分には重松のドリブルからフリーの平山へパスが通るも、シュートは清水が好セーブ。

ここらで山形は宮沢→増田、北村→長谷川の交代。これに対して東京は羽生・重松OUTで鈴木達・赤嶺IN。フレッシュな選手の入った山形の攻撃に一時的に勢いが出る。73分、右サイドからのクロスを田代がすらして増田が飛び込みシュート、権田が弾いたボールがまた増田の体に当たるも、ポストに当たって入らず。山形は運もないか。逆に77分、平山の強引なシュートがCKとなり、今野が清水を蹴散らしながら(笑)押し込んで決定的な追加点。3−0。

こうなると東京としてはFW陣にもとらせたいところ。84分、長友のクロスを叩いた赤嶺のヘッダーは清水がキャッチ。86分、赤嶺が今度はロングボールで飛び出すもまた清水がセーブ。87分には波状攻撃、今野のクロスに梶山が合わせるが清水がビッグセーブ、さらに今野が叩きつけるヘッダーを飛ばすがまた清水が防ぐ。ロスタイムにはボックス内で森重が田代を蟹挟みで倒す場面もあったがなぜか笛は鳴らず(笑)、東京、今季初の3得点での完勝となった。
 
 
いや、良い内容の試合だった。水曜までの凝り固まり具合は何だったのよ、という。

テレビ画面を通して見る山形の青空そのままに、特に前半は観ていて快いサッカーだった。ボールも人もよく動いて、自分たちで主導権をとって崩していく攻撃。特定の誰かがチャンスメークするのではなく、特定の誰かにフィニッシュの負担がかかるのでもなく、色々な事をテンポよく仕掛けていくイメージ。これが観たかったんだよ、これが。選手たちも気持ちよさげにプレーしていて、開始直後から先週までの重苦しい雰囲気とは一線を画しているように感じられた。

不完全燃焼の試合が続いた後ではあったけど、味スタとは空気感の違う山形への遠征がうまい具合に気分転換になったのかもしれない。また、金曜日には城福監督が「選手たちの呪縛を解いてあげたい」ということで(「呪縛に囚われていたのは監督自身もでしょ?」という意地悪なツッコミはさておき(笑))かなり遊びの要素も入った練習もやったそうだから、それが効いたのかもしれない。いずれにせよ、溜まっていたものを一度解放できて良かったというか。

今までも書いてきたように、今季はこれまでも守備は良かった。問題は攻撃。妙に試合ごとの狙いやコンセプト(特にカウンター調のサイド攻撃ね)にこだわりすぎて、肝心のバリエーションやアタッカーの連動性が失われていた。そういう意味では、今日の攻撃は良かった。様々な手を繰り出していたし、得点シーンでもきちんと崩した(2点目も松下が囮の動きで羽生のスペースを作ってたね)からこそ、思い切りのよいシュートがズバリと決まったのだと思う。

やっぱり攻撃は、精度もそりゃ大事だけど、失敗して元々でもあるから。監督も選手もそこを変に悩みすぎてたのかもしれないね(勝手な推測だけど)。きちんと考えることと悩むことってのは違うことなんじゃないかな、と思う。「賢いワーワーサッカー」で行こうぜ(笑)。

MVPは、思い入れも込めて平山。確かにまた点はとれなかったかもしれないけど、1点目も2点目も的確なプレーが得点につながった。3点目だって彼の強引なシュートがCKになったわけだし。それ以外の場面でも縦横無尽に動いて「ムービング」の渦の中心になって大いに助けてくれた。もちろん点をとってくれるに越したことはないにせよ、勝利の立役者には違いない。開幕戦以降、妙に本人も周りもゴールゲッターとしての役割にこだわりすぎてたのかもね。

あと、もちろん先制ゴールを挙げた重松も良かった。「怖い者知らず」のプレーぶりが膠着したチーム状態を打開してくれたというか。羽生も素晴らしい出来。今季初得点のドライヴシュートももちろん、ボランチとしてうまくボールを散らしてくれたのがナイス。石川は悪くないけど、ちとパスミスが目立ったかな。DFでは森重と今野が(後半ロスタイムを除けば(笑))粘り強くもちこたえてくれた。権田は好セーブはあったのだが、クロスの目測がイマイチだったかも。

いや、ホント、個人的には、今日は結果以上にサッカーの内容が嬉しかったのである。正直なところ、今年これまでの内容と試合後の思い詰めた(つーか辛気くさい)コメントを見ていたら「監督替えた方がいいんじゃないか」くらいに思っていたのだが、こういうサッカーをやってくれるのならこのまま頑張ってほしいな、と。気が早いけど、次の清水戦でも同じサッカーで互角に渡り合えるようであれば、中断以降の上位進出にも期待が持てるのかもしれない、ね。
 
 
ちょっと興奮して書きすぎたかな。でも、僕もちょっと溜まってたもんで、すいません(笑)。
 

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