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2010年05月06日

●絶賛膠着中なり (FC東京×ベガルタ仙台)


昨日の午後は、味の素スタジアムでJ1第10節。FC東京 0−0 ベガルタ仙台。得点力不足に悩んでリーグ戦ではここ5試合勝ち星のない東京、ゴールデンウィーク唯一のホームゲームの相手はJ2から昇格したて「お久しぶり」の仙台。大観衆の前でスカッと勝ってモヤモヤした空気を吹き飛ばしたいところであった。試合は、序盤の大チャンスを逃した東京がその後ほぼ終始ペースを握って攻めるもなかなか得点機まで至らず、何とも残念なスコアレスドロー。
 
 
この日はまさに五月晴れの天気。メインスタンドは気持ちよかったが、バックスタンドや、ましてやピッチ上の選手たちにしてみれば暑すぎるくらいだったろう。

東京は徳永を右SBに戻し、前方にはリカルジーニョ・石川・達也とドリブラーを多く並べた布陣。前節ショッキングな交代を命ぜられた平山も先発した。序盤はショートパスをつないで攻めようとする仙台に対し、東京は守りを固めて逆襲速攻主体の組み立て。いきなり5分、SB朴を置き去りにして石川が右サイドを突破、速い折り返しがフリーの平山の足下に入る決定機。しかし、シュートは力なくポスト左に外れ。枠に飛ばすだけで入りそうな場面だったが……。

その後は東京優勢で試合が進む。東京アタッカーの縦の速さに押される形で仙台の3ラインは次第に後退し、攻撃時もパスの出しどころを失って単純なロングボールを蹴り込む形が多い。森重・今野が着実にはね返し、攻撃に転じていく。8分、CKを叩いた森重のヘッダーは左に外れ。10分、森重のカット→攻撃参加からリカのドリブルシュートをGK林がキャッチ。18分には仙台が攻め込んでクロスのはね返りを朴がシュートするも、権田が横っ跳びでナイスセーブ。

もっとも、仙台も攻撃にさほど人数をかけない「安全運転」。東京はボールを支配しながらもチャンスの数は意外と少なく、リカ・森重・徳永のミドルシュートも枠をとらえられず。終盤には暑さが効いたかルーズな攻防となり、間隙をぬって仙台が何本かクロスを上げるも権田の体を張ったプレーなどで防ぐ。43分には仙台DFが重なった隙を突いて梶山が右サイドを突破、ゴール前へ走り込む鈴木目がけて折り返すも、林がきわどく押さえる。0−0で前半終了。
 
 
後半立ち上がりの48分、右サイドを駆け上がる徳永の速いクロスがDFとGKの間を抜けたが、飛び込む鈴木はわずかに触れず。危なかったのは49分の場面で、自陣深くで梶山がキープしたところを仙台が3人がかりで囲い込み、ボックス内へのこぼれ球を中原がシュート。しかしボールは右ポストに当たって入らず。完全に命拾いした。53分にはしつこいパス回しから梶山がボックスへ突入、DFに倒されたかに見えたが逆にダイビングの判定でイエローカード。

やはり選手たちも暑さがこたえている様子で、東京は時々妙なパスミスをしでかし、仙台もDFのカバーリングが少し遅れ気味。ただ全体的には東京の攻勢のまま、前半よりもボックス周りでパスを回して好機をうかがう場面が増えた。58分、鈴木が撃ったミドルシュートは林がキャッチ。先制したい東京は61分にリカOUTで松下IN。直後、平山のポストプレーから左の松下へ展開し、低く速いクロスが走り込む長友に合うが、トラップが大きく逸機。天を仰ぐ長友。

65分、縦パスに鋭く反応した石川が右サイドで飛び出し、一気にえぐってGKの前にクロスを通すも、逆サイドに走り込んだ松下はシュートできず。68分、仙台は中島→太田の、東京は梶山→中村北斗の交代。北斗は右SBに入って徳永がボランチへシフトした。石川と北斗の揃った右サイドはかなり強力で、北斗の突進からクロスが上がる場面が何回か。が、仙台DFのマークもしつこく、なかなかシュートまで持ち込めない。73分には鈴木に替えて赤嶺投入。

74分、北斗の低いクロスをボックス内で平山が落とし、石川がシュート!必殺パターンにも思えたがこれは林がキャッチ。その後も北斗は何度も右サイドで突進を見せるが、クロスの精度がイマイチなこともあって決定機に至らない。終盤になると松下が左SBの位置に下がり、長友が前に出てドリブルを仕掛け続ける形に。84分には左サイドからDFをかわしながら切れ込んだ長友が石川へマイナスの折り返しを合わせるも、シュートはバーを越えてしまった。

東京が一方的に攻めたてるのに対し、仙台は自陣で我慢しつつ冨田・平瀬を投入して逆襲を狙う形。そして89分、カウンターから平瀬→関口とつないで左サイドでフリーになっていた梁へ。梁はゴール右上を狙って巻くシュートを撃ち、「やられたか」と観念しかけたところでボールはポストの右を抜けた。助かった……。ロスタイムにはスクランブル状態の東京がロングボールを入れてははね返され、逆に仙台のカウンターも実らないまま、0−0で試合終了となった。
 
 
なんか変わらないというか、膠着しちゃってるというか。

東京は暑い中で前目からのプレス守備を採用せず、前半は自陣を固めて仙台のパス攻撃を遮断し、攻撃では速いドリブラーを並べて仙台DFを幾度か背走させることに成功。梶山が「時間切れ」になった後半途中からはサイドからのクロス攻撃に転じ、仙台DFをボックス内に釘付けにした。いずれも監督の意図は当たったと思えるし、その結果がシュート数15本対4本のスタッツである。どれが1本(特に5分の平山のアレ)が入っていればなあ……というところか。

ただ、だからといって、「内容が良かった」と言い切るのには躊躇していしまう(別に悪くもないけども)。確かにシュートは15本撃った。が、5分の場面を除けば決定機がどれほどあったか。前半途中からはカウンターが失速し、後半はサイド一辺倒。いずれも好機は意外と少なかった。これはこの試合だけではなく、今季(いや昨季もか)はずっとそんな感じである。守備戦術が成熟度とバリエーションを高めているのに比べると、攻撃の方は進歩していない印象だ。

そういう意味では、ガンバ戦以来やたら「精度」と「シュート(の決定力)」にこだわる城福監督のコメントも気がかり。どんな形であれ、シュートが入ればそりゃ勝てるだろう。でも今いる選手の決定力は一朝一夕には上がらない。強力なFWをとるのが難しいのであれば、「崩す」ことでチャンスの質を上げるしかないんじゃないの、というのが素人なりの感想。念頭にあるのはナビスコ名古屋戦での重松・大竹のワンツーね。クロス一辺倒じゃあ相手も守りやすかろうよ。

なんつーか、城福さんや選手たちの深刻な表情とコメントを見ていると、質実剛健を越えて「針の穴でも通せ!」的な精神論に傾いてしまわないか、心配になってくるのだ。特に平山は悲壮な顔つきになっちゃってて……原さんの「お前はニコニコやれ」じゃないけど、アタッカーなんてどうせ失敗プレーの方が多いんだから、楽天的に気分よくプレーさせてあげるのが基本なんじゃないかな。守備でサボったとか規律を破ったとかなら懲罰もいいのかもしれんけどさ。

つか、「選手をリスペクトしている」を繰り返しているあたり、城福さんも前節の平山交代が選手へのリスペクトを欠くものと受け取られかねない、という事は認識しているらしい(笑)。城福さん自身ももっとリラックスしてやればいいのに。悪い流れがずっと続くわけでもあるまいよ。

この試合、個々の選手ではまず森重。守備が安定していたし、流れの中でパスカットから持ち上がって展開したりするあたりもそろそろ持ち味が出てきたかな。徳永は右SBで活き活きとプレーできてたね。梶山はやはり攻撃にアクセントをつけられる貴重な存在。彼が上がった時だけ「崩し」の可能性を感じる。羽生はやはり前で使いたい。松下は悪くなかったけど、セットプレーがあれば……。平山は、5分のシュートミスは痛いがポストプレーはきちんとこなしてたぞ。

ま、次の山形戦こそは、平山あたりのゴールでスカッと勝ってほしいものである。勝って監督や選手たちに余裕ができてほしい。とにかく。
 
 
試合直後、コンコースでベガルタファンの後輩とちょっと会話。「梁はこのオフに強奪されるものと覚悟してました」とのこと。確かに彼くらいの選手なら色々なチームから引き合いがあったのだろう。彼と関口が負傷でもしなければ、とりあえず仙台は残留は大丈夫ではないかと思っているのだけど、どうだろう。何となく負け試合の気分だったので(仙台サポ気持ちよさげに歌ってたなあ)、「来年は東京が強奪するから、再来年はまた2部で頑張れ!」と言ってみた(笑)。
 
 
試合の後は、飛田給駅近くのぎょうざ屋でペーニャMEDIANAの飲み会。ゲストに武藤文雄さんらベガサポ数人を迎えてワイワイと。が、そこは1時間半ほどで失礼し(1Lジョッキ飲みたかったなあ)、新宿経由で三鷹に出て、PISTEで先約のあったペーニャ田中組の飲み会。こちらはハートランドをチビチビやりながらしつこく飲んだ。いずれも楽しい会だったけど、小生少々心が荒んでたので(笑)、周りをどん引きさせるような発言があったかも。失礼しますたー。
 

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