●青空の下でビールを飲もうと思ったら…… (西武×楽天観戦記 後編)
(前編から続く)
で、7回裏。先頭の片岡がヒットで出塁し、しつこい牽制にもめげず盗塁を決める。栗山がバントで送って一死三塁。ブラウン監督はピッチャーを小山に替え、中島を敬遠して中村勝負の策に出た。これがズバリ的中。中村は変化球で三振に倒れ、その間に中島が進塁して二死二・三塁。楽天はさらにブラウンを敬遠。6番片岡のバットは小山の速球で空を切り、見事楽天がピンチを脱した。おそらく、ここがこの試合2つ目の(そして最大の)キーポイントであった。
8回表、西武は野上→藤田にスイッチ。藤田は先頭の内村を簡単に2ストライクへ追い込む。しかしそこから内村はファールの連続で粘り、ついに13球目で四球を選んだ。3番の鉄平は今季本塁打0。むしろ盗塁やエンドランに警戒すべき場面に思えたが……鉄平が引っ張った打球はグーンと伸びて右翼へスタンドイン。楽天ファンも驚くホームラン!!4−5。再逆転した楽天は守護神・川岸が9回の西武上位打線を見事封じ、そのまま逃げ切りに成功した。
いやー楽しめた。ホームランもたくさん出たし、絵に描いたようなシーソーゲームだったし。
野球についてはそんなに数を観ているわけではないので思い込みかもしれないのだが、既述のように勝敗を分けるべきキーポイントがはっきりしている試合であったように思う。まずは野上の好救援。まだ2年目のピッチャーらしいがそれに似つかわしくない丁寧さで、それでいてテンポも良く、味方の攻撃にとても良い雰囲気でつないでいた。こういう投手は防御率はさほど良くなくても(いや十分良いんだけど)味方の援護に恵まれるんじゃないかな、と思った。
その野上を(おそらくは投球数の関係で)7回までしか引っ張れない事を考えれば、なおさら西武は7回裏の攻撃で得点しなければならなかった。渡辺監督もそれはわかっていて、だからこその栗山の送りバントだったのだろう。ただ、この試合に関してはブラウン監督の徹底した敬遠作戦が功を奏した形となった。まさかブラウンまで敬遠とは思わなかったろうなあ(ブラウンより高山の方が打率はずっと高い)。でも、満塁の方が守りやすいということだったんだろうね。
まあ、この日クリーンアップが3人とも本塁打を放ったように、今季これまで本調子とは言い難い西武打線もやはり地力はそれなりにある様子。元々投手は涌井・帆足・岸の先発三本柱に抑えのシコースキーと揃っているし、野上もこの日のピッチングを見ると活躍しそうな気配である。2位に落ちてしまったとはいえ、今後も優勝争いには絡んで来るのではなかろうか。一方の楽天は4連勝か。こちらは打線が小粒っぽいので、岩隈とマー君でどれだけ稼げるか、かな。
しかし、プロ野球は年間140試合以上もあるから、負けてもファンは「次だ、次」って気持ちを切り替えやすそうでいいね。僕の周りの西武ファンもけっこうサバサバしていたような気がするし。まあ、負けが込んでくると違うのかもしれないけど、Jリーグなんて基本的に1週間おきだから、ダメージがより尾を引いてしまうのだよ……。
西武ドームには試合自体の他にも色々と楽しいことがあった。まず、既に書いたけど食べ物の売店。スタンドやスタジアム周りをズラッと取り囲んでいてよりどりみどり。個人的には、ビールを色んな銘柄から選べるのが素晴らしい。あと、攻守交代の度ごとに「レオ」や「ライナ」の他にも色々なマスコットが出てきて芸を披露してくれるので、飽きっぽい僕でもツィッターへの書き込みと合わせれば(笑)何とか3時間余りの時間を何とか乗り切ることができた。
つか、野球ってそういう風に色々ともてなしを用意しないとやっぱり間がもたないんだろうな。攻守交代を迅速に済ませるなど試合時間短縮の試みはあれこれやっているようだが、それでも投手戦でもなければ3時間は越えてしまう。少なくとも1人ジッと観るには辛いし、友達やカノジョと飲み食いしながらワイワイ観るのがちょうど良いのだろう。Jリーグの球場で同じようにやれったって、おそらく無理なんだと思う。どこぞの田舎のスタジアムなら話は別だが。
あと面白かったのは、ライオンズの選手の登場時のテーマ。選手が自ら好きな曲を選んでいるそうだが、キャッチャーの細川亨がなぜか『きよしのズンドコ節』だった。別に名前が「きよし」でもないのにね。ライトの高山なんて『所沢音頭』。満塁のチャンスの緊迫感と曲調のギャップに大笑い。こちらはWikipediaによれば「所沢市のガソリンスタンドの店長に薦められた」そうである。どうも、スマートな球団イメージと違って妙な感性をもったチームなのかも(笑)。
あ、松崎しげるさんの『地平を駈ける獅子を見た』も健在だった。これが一番感動したかな。「うぉぅうぉぅうぉぅラーイオーンズ!!」ってね!