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2010年05月03日

●君は、阿部吉朗のスーパーボレーシュートを見たか? (川崎フロンターレ×湘南ベルマーレ)


一昨日の午後は、等々力陸上競技場でJ1第9節のうち「神奈川ダービー」(といっても組み合わせが3つあるわな)を観戦。川崎フロンターレ 4−2 湘南ベルマーレ
 
 
序盤は地力に勝る川崎がペースをつかんだ。鄭(出場停止)・稲本(負傷)の2人を欠くものの、ヴィトール・ジュニオールが復帰。厳しい寄せでボールを奪っては中村憲剛の高精度のフィードから攻め上がっていく。惜しいミドルシュート何本か、そして黒津やジュニオールが決定的なクロスを前線に入れる。だが、湘南は個の力では見劣りするものの高い集中力を保ち、1人が抜かれてもすぐにカバーが入るディフェンスで得点を許さない。0−0のまま時計が進む。

そのうち湘南も少しずつパスをつなげるようになり、29分、右サイドのパス交換から攻撃参加の臼井が入れたクロスを、中央でマークを外した阿部吉朗がなんとバイシクルキック!!強烈なシュートは川島の指先を抜けてバーに当たり、ゴールに吸い込まれていった。ビックリした!タマげた!すげー!!いかにも吉朗らしいトリッキーで決定的なプレー。僕はバックスタンド2階で観ていたのだが、周りのお客さん(カップル多し)の驚愕ぶりが愉快だった。0−1。

しかし川崎の反撃も早い。37分、ボックス左でパスを受けたジュニオールがフェイントで揺さぶってクロス、GKとDFの間を抜けたボールをレナチーニョが足を伸ばして蹴り込んだ。「ああ、やっぱりか」。1−1。ところがその直後、ロングボールに鋭く反応してゴール前に突進した阿部を井川が後ろから倒してPK。場内放送がまだ「ただ今の得点は、レ、ナチーニョおー!」とか叫んでいる最中だったので笑えたのだが、ともかくこれを坂本が決めて1−2。
 
 
後半になるとネジを巻き直した川崎が前がかりになるが、湘南も(前に残る田原を除いて)ポジションを問わず高い守備意識を保って粘り続ける。遠目からのシュートはいずれも「わざののざわ」が堅実にセーブ。逆に湘南は田原と阿部がDFの裏を狙い続けており、カウンターで幾度か良い形を作る。この時間帯、川崎は憲剛を下がり目に固定してパスをさばかせていたのだが、パスコースを読まれてむしろピンチを招くようにも思えた。膨らむアップセットの期待。

湘南にとって事態が暗転したのは65分。左タッチ際を上がる小宮山に臼井が激しいタックルを浴びせた際、足裏が刺さる形になってしまい一発退場。ただでさえカバーリングの連続でしのいでいた湘南はこれで守りの人数が足りなくなり、DFラインもズルズルと後退。68分、ボックス左から小宮山が撃った強烈なシュートは野澤がファインセーブしたものの、そこから川崎の波状攻撃となり、最後は森のクロスの折り返しをレナチーニョが蹴り込んだ。2−2。

決勝点は73分。左サイドから加速して切れ込む小宮山がDFをかわして一気にゴール前まで進出、右足で豪快なシュートを突き刺した。さすがの野澤も止められず。3−2。こうなるともう止まらない。終了間際には左サイドをえぐる登里の折り返しから、ゴール前に突進した憲剛がゲット。4−2。湘南も新居を投入し、ボックス内ターンでDFをかわした吉朗が惜しいシュートを撃つ(川島セーブ)などしたが、得点を奪うことはできず。2点差で試合終了となった。
 
 

いやー、点もたくさん入ったし、なかなか面白かった。他人事だと気楽でいいね(笑)。

川崎フロンターレは、相手は格下とはいえスカウティングに長けた反町監督で、しかもACLの過密日程の最中である。鄭・稲本も不在。スコア以上に厳しい戦いだったのは間違いないし、2失点目のポカなんかもいつもの「悪い癖」が出てしまった感があった。でも、そこで(臼井の退場という)ラッキーな面もあったにせよ勝点3を奪えたのは非常に大きいのではなかろうか。つか、今季はもうACLもないわけだし、W杯中断までしのげれば視界は開けてきそう。

中村憲剛の存在感は相変わらずダントツだった。先日の多摩川クラシコの時は彼不在でも「稲本いい選手になったな〜」とか感心したんだけど、やっぱりいるとぜ〜んぜん違うやね。パスの種類が豊富で質も高い(ロングボールも1つ1つ回転を変えてる)のはもちろん、その組み合わせで試合をコントロールしているような。よく声も出してるし、得点もきっちりとったし、ホント凄い選手である。佐藤寿人あたりと同様、小柄(ないし華奢)な選手が点とると萌えるな。

湘南ベルマーレは、後半途中までは守備も攻撃もちゃんと機能していたし、選手たちも惜しみなく走ってよく頑張ったと思う。臼井の退場さえなければ……まあ結局逆転されたのかもしれないが、ちょっと見てみたかった。というか、この試合、湘南にとっては、敗れはしたもののリーグの強豪相手でもやりようによっては戦えることを実証してみせた一戦と言えるのではなかろうか。残留に向けた今後の戦いに明るい展望をもたらしてくれる、というと言い過ぎかな。

湘南の選手では、なんといっても阿部吉朗だ。ウルトラスーパーボレーシュート炸裂。2002年天皇杯湘南戦(!)で藤山のアーリークロスをダイレクトボレーで叩き込んだ場面を思い出した。並のFWには絶対できないプレー。「決勝ゴール率」の異常な高さなんかから考えても、やはりこの選手は何かを持ってるんだろう。この試合ではPK獲得したのも彼だし、あとは75分のシュートが決まってれば最高だったのだが……。東京のホームゲームで会うのが楽しみだ。

そういえば、ジャーンは帰国して手術したそうで。湘南にとっては絶対欠かせない戦力だろうし、東京との試合で元気な姿を見たいと思うので、早く良くなってほしいものである。
 
 
[付記]
反町監督の試合後の記者会見でのコメント。「うまく守る方法をモウリーニョさんに教えてほしいなと思いました」のあたりのくだり、いかにもな反町節で笑った。あと川島の弱点をバラしちゃうところとか(笑)。
 

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