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2010年04月29日

●スペシャル・ワン! ('09-'10欧州CL準決勝)

バルセロナ 1−0(計2−3) インテル (UEFAチャンピオンズリーグ準決勝)
 
 
昨日の欧州CL準決勝2ndレグ@カンプ・ノウはスカパー!の中継で観戦。

インテルが3−1で先勝した1stレグに続く第2戦、「バルセロナが攻め、インテルが守る」構図は試合前から予想されていた通りだった。バルサは通常4人のDFを3人に減らしてキックオフから前がかりの姿勢。対するインテルは守備的な選手多めの4−4−2、自陣にがっちりと3ラインの守備ブロックを築いて迎え撃つ。前半は激しくも統率のとれたインテルの守備システムが機能し、バルサは圧倒的にボールを支配するもののなかなかペナルティボックスへ入れない。

28分、チアーゴ・モッタがハンドオフのファウルで2度目の警告を受けて退場。インテルは早くも10人での戦いに。それまでもミリート目がけて「蹴るだけ」だったインテルはこれで全く前にボールが収まらなくなり、バルサの支配率がさらに高まった。しかし、インテルは素早くスネイデル1トップの4−4−1へ移行して守備に綻びを見せず、メッシがDF網をかいくぐって撃った強烈なミドルシュートもGKジュリオ・セザルがファインセーブ。スコアレスで後半へ。

後半になると、マクスウェルを投入したバルサは意識的にサイドのスペースを使うようになり、インテルのDFラインは後退を余儀なくされる。が、屈強なDF陣は冷静にクロスをはね返し続け、粘り強いマークでミドルシュートも遮断。引き気味の位置から仕掛けるメッシのドリブルも功を奏さないまま時計は着々と進んでいく。バルサはイブラヒモビッチらに替えて機動力のあるボージャン・ジェフレンを投入してかき回しにかかるが、なおインテルの守備は崩れない。

バルサに好機が増えたのは81分、ミリート→コルドバの交代から。DF系の選手が増えたことで(解説の名波が指摘したように)インテルは守備のバランスが微妙に崩れ、ボックス内までベタ引きになる場面がさらに増えてしまった。コルドバ投入直後にメッシがピンポイントのクロスを入れ、マークを外したボージャンが頭で叩く決定機は惜しくもポスト右。84分にはシャビのラストパスで抜けたピケがコルドバとセザルをまとめてかわす反転シュートを決めた。計3−2。

残り時間、あと1点でバルサ勝ち抜けとなる緊迫した状況となり、ボージャンのシュートがゴールネットを揺らす(が、直前のトゥーレのハンドで無効に)など決定的な場面もあった。だが、とうとうインテルが最後まで粘りきる。狂喜乱舞するインテルの選手たち。人差し指を立てて駆けるジョゼ・モウリーニョ。イタリアの古豪、実に38年ぶりの決勝進出である。
 
 
双方の勝利への拘りが極端な展開を生んだ、まさにガチンコ勝負の試合。

インテルの守備は凄かった。いわゆるバイタルエリアに密度の高い守備網を築くモウリーニョ流のゾーン守備なんだけど、この試合においては選手たちの集中力と運動量が尋常ではなく、さすがのバルセロナもほとんど崩せないほどの堅牢さが90分間継続。インテルというと才能集団だけど大事なところでポカをやらかして、という印象を抱いていたのだけど、やはり2年目で指揮官のパーソナリティが浸透したのだろうか、選手全員が「勝負師」と化した感さえあった。

つか、ほとんどボールを持てないのに1人前線で全力のチェイスを続けるスネイデル、サイドでロングボールの追走や時間稼ぎに専念するエトーやミリートの姿を見ていてある種の感動を覚えてしまったのだ。あれは監督の手腕(あるいは人間力)の成果であると同時に選手たち、いやチーム全体の「何が何でも勝ちたい」という気持ちの現れであるのだろう。欧州CLという大会の権威、インテルという歴史あるビッグクラブのプライド、そして端的な闘争本能の表出。

モッタの退場は、他の10人の負担増という意味では確かに痛かったのだが、「逃げ切りに徹する」意思統一を図る上ではプラスに働いたのかもしれない。でも、目を赤くして両手で顔を覆ってしまった姿からは04年ナビスコカップ決勝のジャーンが連想されて……決勝には出られないし、やっぱり気の毒だよね。そのアクシデントに対して慌ててアタッカーを減らしたりせず対応したモウリーニョ采配はさすがというか。あれもナビスコ決勝の時の原さんの采配と同じだな。

まあ、準決勝で超強敵に対して劇的な勝ち方をしてしまったゆえに、決勝でその反動が出るのが心配といえば心配かな、インテルは。リーグ戦の方もけっこうキツイ状況だし。ジョゼさん贔屓の僕としては久しぶりにビッグイヤーを獲って、名実共に「スペシャル・ワン」になってほしい(CLの実績ではベニテスに負けとるからな)ところだけれども……さてどうなるか。

バルセロナにしてみれば、ホームで90分間一方的に攻めながらあと一歩及ばず。第1戦の際に火山の影響で長時間のバス移動を強いられた事やイニエスタの欠場などの不運もあり、メチャクチャ悔しい敗退に違いない。それでも、圧倒的なポテンシャルは充分に感じられたし、メッシも厳しく対策されていたにも関わらず幾つか見せ場を作ったのはさすがだった(前半の見事なミドルシュートは、止めたセザルの方が異常)。このチームは来年も強いでしょ、きっと。
 

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