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2010年04月25日

●問題は「精度」なのかいな (ガンバ大阪×FC東京 テレビ観戦)

ガンバ大阪 2−0 FC東京 (J1第8節 万博記念競技場)
 
 
昨日夕方のJ1第8節は、スカパー!でテレビ観戦。

前半は東京ペースだった。怪我人続出のガンバは5バックで守りを固め、前線に新人の宇佐美を起用する苦肉の策。しかし自陣深くでボールを得てもMF陣がほとんどパスをつなげず、すぐさま東京が素早い寄せから奪い取ってサイドから攻めたてる。11分、左サイドでパスを受けたリカルジーニョが切れ込んでボックスへ突入、シュートがサイドネットに突き刺さった。23分には羽生からのパスでオーバーラップした長友がシュートし、GK藤ヶ谷がきわどく抑える。

しかし、ひたすら攻撃を続ける東京だが、なかなか決定機までは至らない。右サイドでは長友が安田を圧倒して幾度かクロスを上げるものの、ゴール前に上がる人数が少ないこともあり、待ち構えるガンバDFに簡単にはね返されてしまう。38分、ショートカウンターで羽生→リカからつないで石川がフリーでボックスに突入し、安田が後ろから突き倒した場面もノーファウルの判定。もっともガンバの方も全くと言っていいほどチャンスは作れず、0−0でハーフタイムへ。

 
後半、ガンバが遠藤とルーカスを投入したことで試合の様相がガラリと変わった。立ち上がりこそガンバの連携が合わない隙を突いて東京が攻勢を継続し、右サイドをえぐった石川がリカにドンぴしゃのクロスを合わせる(しかし撃ちきれず……)などチャンスを作ったものの、徐々に遠藤がパス回しの中心となってボールを動かすことでガンバがリズムをつかんでいく。対する東京も59分に梶山・重松を同時投入。意地を張るような交代で主導権争いが激しくなった。

61分、キムのフィードを平山が落とし、ボックス右に走り込んだ石川のシュートが惜しくも外れる。中盤にキープできる選手(梶山)が入ったことで東京の攻撃は厚みを増すように見えたのだが……。65分、ルーカスとのワンツーで中央を割った明神のシュートは左ポスト直撃で命拾い。しかしその直後、左サイドから切れ込んだルーカスがミドルシュート、強烈なブレ球はキャッチしようとした権田の腕を弾いてゴールイン。悔しそうに宙をにらむ権田。0−1。

これで勢いに乗ったガンバは持ち前の懐の深い攻撃を見せ始める。東京はパスワークに振り回されるように。そして75分、ルーカスとのワンツーで宇佐美がゴール前へ突入、シュートは権田が弾いたものの、こぼれ球を右サイドで拾った遠藤が冷静に中へ折り返し、キムと長友のカバーも届かず残っていた宇佐美が押し込んだ。シュートを予期してニアをふさぎにかかった権田の挙動の逆を突いた、心憎いほどの遠藤の冷静さ、そして判断力と技術。0−2。

ここからは東京も懸命の反撃を見せ、幾度かセットプレーのチャンスを得る。キムや梶山の鋭いミドルシュートが枠を襲う場面もあった。しかし、いずれも藤ヶ谷が横っ跳びで好セーブ。最後はガンバが「食いつかせ、いなす」パス回しで時間を使い切ってタイムアップとなった。
 
 
なんちゅーか、ガックリ来るというか、観終わった後でため息をつくような試合だった。半死半生(というと失礼か(笑))のガンバをここで叩いておきたかったのだが。

ガンバのサッカーが遠藤の入る前と後とで全然違ったのは言うまでもない。つーか、あまりの変貌ぶりに思わず笑ってしまったよ。まだ本調子にはほど遠い様子ながら、小さく動いてはたいて味方を動かしてその間にまた小さく動いて、という繰り返し(だけ)で試合のペースを変えてしまったのはさすが。そして2点目の決定機におけるあのプレーぶりといったら……技術も素晴らしいんだけど、やはり発想と判断力がズバ抜けているやね。サッカーIQの高さというか。

もう一つガンバの良かったところを挙げておくと、前半は攻撃がグダグダだった一方で、守備に関しては東京の攻勢にもパニックにならず非常に落ち着いていたように見えた。あの辺はACLのアウェイとかで場数を踏んできたおかげなのかもしれない。まあ、そういうある種の「鈍感さ」が裏目に出て取りこぼしちゃうようなことも多いチームなんだけど(笑)。いずれにせよ、今のガンバはこの試合みたいなパターンでどれだけ勝てるか、ということになるのだろう。

一方東京の方は、やはり勝つためにはペースをつかんでいた前半でとっておくべきだった、ということになるのだろうか。ただ、前半も攻めてはいたけれど、石川・長友の突破力が生かせた時とあとは森重が攻撃参加した時くらいしかチャンスのにおいはしなかったようにも思えた。石川が倒された場面がPKになってれば……まあ仕方ないか。むしろ後半に梶山と重松が入ってからリズムが良くなり始めたように見えたのだが、そこで失点したのは非常に痛かったね。

城福監督のコメントを見ると、「ペナルティエリアにおける精度のなさ」が問題だと認識しているようだ。でも、ホントにそうなんだろうか、とも思う。確かに敵陣深くまでボールは運べているのだが、ほとんどはサイド、それも右サイドをカウンターから突いたり個人技で突破したもので、一旦引かれてしまうと手も足も出ない状態に近いのが現状だろう。崩せないままに精度を上げて何とかせい、というのは選手にとってはものすごく高度な要求ではないだろうか。

むしろ梶山の「相手をワイドに広げたり、縦にも間延びさせたり…という仕掛けを、もう少しバランスよくできれば」というコメントの方が現状を正しく捉えているように思う。この試合を見る限り、ガンバと東京の差は攻撃における構成力やバリエーションの差だろう。シンプルなサッカー、個人技に頼る攻撃が必ずしも悪いとは言えないけれども、それだけじゃ限界があるという認識が「城福東京」のスタートラインだと思っていたのだが。どうも離れてきているような。

てか、首位との勝点差が「9」になっちゃったよママン!次はやはりACL関係の過密日程で青息吐息の広島が相手。スコンと勝って上位に食いついてほしいものである。
 
 
あとは、この試合では悔しいやられ方をした権田。2点とも仕方ないようにも見えたけど、本人の表情から察するに「判断ミス」と認識しているのかもしれない。でもこれも経験のうち、血肉にして頑張ってほしいと思う。こんな負けの一つや二つ、SGGKへの一里塚に過ぎないぜ!!
 

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コメント

こんばんは。初めてお邪魔します。
精度なんて監督に「足りない」と言われて急に上がるようなものなんでしょうか? チャンスの「数」を増やすため、昨年のチーム得点王を敢えてよりサイドに張らせているのだと思っていたのですが……。

まあ、本当はどっちも足りないんでしょうねぇ。

こんばんは。はじめまして。

>精度なんて監督に「足りない」と言われて急に上がるようなものなんでしょうか? 
もちろんトレーニング次第なんでしょうけど、少なくとも精度「だけ」に原因を求めるとかなり辛いことになるのではないかと思います。突き詰めると「一撃必殺」「一発必中」の世界になりかねないですからね、求める先が。

>本当はどっちも足りないんでしょうねぇ。
まさに。「数」と「確率」。もう少し正確に言うと、後者はさらに「決定力」と「チャンスの質」に分かれますかね。3つとも足りない、のかな。

久しぶりにコメントします。
同感ですね。今の東京は守備が
しっかりしていて、ポゼッションの精度も
上がってきているのでパスはつながる。
ペナルティエリア手前までは理想的とも
いって良いくらい。

でもそこからフィニッシュに至るまでの過程で
簡単にボールロストすることが多すぎる。
特に平山。リカと連携があってない光景が
多々見られたので孤立しがちなのはわかりますが、
あの位置での判断が妙に遅い。ゴール前でボールを
持って一度動きを止めたらそりゃすぐに
囲まれるに決まってる。

石川や長友が何度もサイドを突破してるのに
中央に人がいつも少ない。2トップのいずれかに
たまに北斗がいる程度。悪いときの岡田ジャパン
じゃないんだけど、攻めにかけてる時間の割に
ゴール前は常に人数不足で厚みがなさすぎる。
ボランチやサイドハーフあたりがもう少し飛び込んで
いけるようにならないとキツい気がしますね。

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