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2010年04月01日

●重松→大竹→重松!! ('10ナビスコ杯 vs名古屋グランパス)


昨日の夜は、送別会の合間をぬって国立競技場でナビスコカップ第1節。FC東京 2−2 名古屋グランパス。今大会は「ディフェンディングチャンピオン」として臨むことになる東京。リーグ戦ではメンバー編成に苦しんでイマイチな戦いぶりが続いているだけに、得意のナビスコ(笑)で今後への展望を開きたいところである。試合は、2度に渡ってリードを許す苦しい展開となったが、終了間際に若手2人の鮮やかなコンビネーションが決まって何とか勝点1を獲得。
 
 
序盤にペースを握ったのは名古屋。6分、右からのCKをケネディが折り返し、フリーの金崎が狙うもふかしてしまう。名古屋は前線中央にケネディがそびえ立ち、左右に金崎とマギヌンが張るワイドな布陣。つられて間隔が開いた東京DFは後方から飛び出す中村らもつかまえきれず、ケネディ目がけたクロスを権田がセーブする場面が続く。14分、FKから左サイドに飛び出した阿部がクロス、千代反田が落としたボールをダニルソンが狙うがこれもバーの上。

これに対して東京はパスワークでは見劣りするものの、個人技を中心に反撃を見せる。19分、右コーナー付近のフォアチェックでボールを奪った平山から石川を経由してボックス内の羽生へつながり、左足で狙ったシュートがバーを叩く。26分、石川がひらりと阿部をかわして右サイドを突破しクロス、ファーから飛び込む北斗がダイビングヘッドするがGK西村が好セーブ。その直後には平山のクロスがゴール前の石川に通ったが、シュートは大きく枠をそれた。

名古屋の攻撃のキーはやはりケネディ。高さだけでなく懐の深いキープや裏を狙う動きでチャンスを作る。そして30分、マギヌンの縦パス一本でDFの裏に飛び出し、軽いタッチのシュートで権田の頭上を抜いた。0−1。そこからは名古屋が後方で落ち着かせるシーンが増え、東京はバイタルエリアから前に進めないように。38分、逆襲から石川が鈴木にスルーパスを通した場面もオフサイド。逆に43分には田中隼のクロスにケネディが合わせて冷や汗をかく。
 
 
後半、東京は羽生OUTで森重IN、今野をボランチの位置に上げる策に出た。しかし47分、CK時の競り合いで平松がケネディを倒してPK。ここで2点差にされると厳しいところだったが……左隅を狙ったブルザノビッチのシュートを権田が素晴らしい反応でセーブ!!これは大きかった。その後はしばし拮抗した展開。今野が上がって中盤がタイトになり、名古屋も容易にサイド展開からクロスとは行かないようになった。そして54分、鈴木達に替えて重松投入。

58分、マギヌンのミドルシュートを権田が倒れながら押さえる。60分、椋原のクロスを石川がダイレクトボレーで狙うがバーの上。62分、名古屋は中村→小川の交代。そして67分、徳永のロングパスで右サイドを抜けた石川がマイナスの折り返し、平山のシュートは西村に当たりながらゴールイン!石川のスタートがとにかく絶妙だった。1−1。その直後にはカウンターからケネディが突進し、マギヌン→ゴール前の金崎へと渡るが、またもシュートはバーの上。

ホームだけに勝ちたい東京は北斗に替えて大竹を投入。一方名古屋は金崎→玉田という怒りのピクシー采配(笑)。主導権の行方が注目されたが、73分、名古屋はFKのロングキックからボックス内で落ち着いてつなぎ、最後は千代反田がシュートを押し込んだ。前がかりになろうとしたところでの手痛い失点。1−2。これで名古屋は引き気味になり、東京は大竹が低い位置まで下がってさばこうとするものの、名古屋アタッカーのプレスに遮られて前に進めない。

連携不足の東京がチャンスを作れぬまま時計は進み、気がつけばロスタイム。正直「こりゃ駄目か……」と思って席を立ちかけた。だが、そこで飛び出したのがルーキーの一撃。92分、バイタルエリアでパスを受けた重松は突進しながら大竹にパス。大竹はダイレクトで正確な浮き球を返し、DFの背後に出た重松が右足を振り抜くとボールは西村の指先を抜けて左隅にゴールイン!!それまでの停滞が嘘のような鮮やかなワンツーだった。2−2。そして試合終了。
 
 
「若い奴等に救われた」。それに尽きる試合だったように思う。

FC東京は監督にしろ選手にしろ、試行錯誤中というか悩んでいる最中というか。カウンターの切れ味はさほど悪くないんだけど、遅攻でつなぐべき場面になると途端に雑になって良いコンビプレーがほとんど出ない状態。一昨年の春取り組んでいたサッカーはどこへ行っちゃったの?という感じである。まあ大黒柱を怪我で欠く状態なので、とりあえず守備と対策とカウンター(つまり広い意味でのリアクション)で勝点を拾っていくつもりなのかもしれないが……。

選手起用についても「?」マークが。大宮戦から中2日の今回はかなり選手を入れ替えてくるだろうと思っていたのだが、休養の意図が見えたのは長友くらいで、日曜に負傷した羽生は先発してるし(しかも途中で替えてるし)、松下は全然使う気配もなかったし。今野をMFに上げたのは守備面でも攻撃面でも正解だったと思うけど、徳永と並べる理由がわからない。いい感じの組み合わせが見つからなくて城福監督も悩みながら何とかしのいでるんだろうな、という。

で、結果的にチームを救ったのがまだプレーに悩みの見えない重松だった、と。思い切りがいいよね。単に突っかけるだけじゃなくて、ゴールから逆算して味方を使っていく感覚を持ってるし。大宮戦の石川とのコンビにも可能性を感じたし、昨晩のゴールシーンなんか見ると、触発されて大竹もスランプを脱してくれるのではないかという想像をしてしまうくらい。新人に期待しすぎちゃいけないのかもしれないけど、でも何かを持っている選手なのは間違いない。

ただ、問題は、いかに良い形で重松や大竹にボールを渡せるかなんだよな……中盤のさばき役に埋没しかけていた大竹の姿なんかを見てしまうと、どうにもモヤモヤが晴れないのである。今回はこちらだけ中2日だったからそこは割り引かなきゃいけないんだろうが……5試合で1敗しかしてなくて、そんなにブーたれてもいかんのかな(笑)。

他の選手では、まず椋原が良かった。運動量もクロスの精度も素晴らしかったし、守備でも粘り強く強力アタッカー陣を封じてくれた。石川もキレていた。一対一の強さは絶対的で、シュート精度以外は絶好調時に近づいてきたような。今野は、そりゃ徳永よりは適任だよね、という感じ。キムはまだ良さがよくわからない。平山は得点したけどちょっとボールを失いすぎかな。あとは権田か。PKストップのみならず、ハイボール処理にミスがなかったのが良かった。

あ、この試合の前半、ダイビングヘッドで惜しい場面を作ったところなんかを見ると、城福監督が中村北斗を重用する理由はやはり「ペナルティボックスに入っていく迫力を増したい」ということじゃないかと思ったよ。ごつくてイケメンの戸田、みたいな。
 
 
ということで、とりあえず微妙な結果ではあったけれども厳しい日程のカップ戦を乗り切って、次はいよいよ多摩川クラシコである。悪タヌキと悪シャチがしのぎを削るプロモーションビデオは非常に楽しいので、試合の方も是非それに負けないクオリティーになってほしいものである。つーか、シャチはともかくあのタヌキはドロンパにはとても見えないだろ(笑)。


ban_tc2010_w428_mov.gif

 
 
[追記]
試合後の監督コメントを読むと、森重は膝の状態が良くなくてああいう形の出場になったのね。それで良かった(いや怪我は良くないけど)、浦和戦の退場があったとはいえはやシーズン5試合目にして評価を下げられるのも厳しいな、と思っていたので。松下の方はどうなんだろうか。
 

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コメント

> 城福監督が中村北斗を重用する理由はやはり「ペナルティボックスに入っていく迫力

そうかも知れませんね。松下は良くも悪くもアウトボクサーですから。
松下は早くボランチで見てみたいです。

>松下は早くボランチで見てみたいです。

同意。

もちろん城福さんの今の選択にも何か考えがあるんだろうけど、どうしても「アウトボクサー」タイプは「もう少し後ろに下げて使ってみたらどうだろう」と思うよね。SBの時もそう悪くなかったし(笑)。

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