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2010年03月15日

●「負け慣れ」厳禁 (浦和レッズ×FC東京)


昨日の午後は、埼玉スタジアム2002でJ1第2節。浦和レッズ 1−0 FC東京。東京は新生横浜相手に劇的な勝利、浦和は王者鹿島に完敗と対照的なスタートを切った両チーム。浦和にしてみれば開幕からの連敗は是非とも避けたいところであったろう。試合は、序盤快調に試合を進めた東京があっけない失点と退場による数的不利で自滅気味の展開となり、後半反撃を見せるも得点を奪えず僅差の敗戦。これで東京は浦和に対して泥沼の7連敗となった。
 
 
立ち上がり、意外なことに試合を優勢に進めたのはアウェイの東京だった。やや覚束ない浦和のパス回しを寸断し、羽生のパスさばきから攻めたてる。4分、中村北斗のミドルシュートがバーをわずかに越える。5分、ショートカウンターで右サイドを抜けた北斗から鈴木達也へ送ったラストパスはやや長く逸機。8分、鋭いターンで坪井の裏をとった達也が持ち上がるが、惜しくもシュートできず。9分には森重が上がった後の穴を田中達也が突くも、椋原がナイスカバー。

東京の攻勢に対し、浦和は阿部を中心にじっくりパスを回してペースを取り戻そうとする。攻防のポイントとなったのは浦和の左サイドで、SB宇賀神は攻撃的に位置どる一方で守備に回ると寄せがやや甘く、東京はその背後に達也や椋原を走らせて幾度かクロスを上げた。しかし、いずれも浦和CBにはね返されているうちに浦和アタッカーの裏を突く動きが目立つように。15分、エジミウソンがが右サイドを突破した場面は今野・長友・森重が3人がかりで止める。

そして17分。浦和はバイタルエリアのパス回しから縦パスで宇賀神がボックスへ突入し、後追いになった森重が引き倒してPK。これをポンテが決めて浦和が先制した。ちょうど東京の攻撃が行き詰まって浦和が組み立て始めていただけに、守備の意識を強くして我慢したいところだったが……0−1。先制した浦和は急がないパス回しで試合をコントロールしていく。21分、ゆったりとしたパス交換から宇賀神がクロス、エジミウソンの足下から長友が懸命にかき出す。

全体のバランスをきっち保つ浦和に対して「組み立て役」のいない東京の攻撃は完全に停滞。無理なアーリークロスや縦パスからむざむさボールを失ってばかりで、浦和の一方的な攻勢が続いていく。34分、宇賀神のパスを受けたエジミウソンが右隅を狙ったシュート、権田が横っ跳びで好セーブ。36分、ボックス手前のFKで柏木が撃ったシュートは権田の届かない弾道を描くも左ポスト直撃、さらにはね返りを田中が狙うも今度は右ポスト直撃。命拾い、である。

決定的だったプレーは38分。東京陣左サイドにおけるボール争奪戦でエジミウソンに対して森重がやや遅れ気味にチャージ、2度目の警告を受けて退場してしまう。ただでさえ苦しい展開に数的不利まで加わってしまった。東京は徳永をCBに下げて北斗→石川と交代し、4−4−1の陣形に変更して対応。その甲斐あってか終了間際にはCKの連取や椋原がクロスを上げる場面もあったが、結局決定機には至らず、1点ビハインドのまま前半終了となった。
 
 
後半に入っても浦和の優勢は変わらない。47分、徳永のパスミスから浦和のチャンスとなり、エジミウソンの弾丸シュートが権田の頭上を抜くも、今度はバーに当たって決まらず。さらに二次攻撃で入った際どいクロスは今野がクリア。まさに「神様仏様ポスト・バー様」……。55分前後にも、浦和の波状攻撃からクロスやラストパスを権田と東京DF陣が懸命に防ぐ場面が。56分、羽生の縦パスで石川がゴールライン際まで抜けた場面はフォローがなく逸機。

何とか事態を打開したい東京は椋原OUTで赤嶺IN、松下を右SBに置くスクランブル態勢に。さらに羽生に替えて梶山を投入。これに対して浦和は田中→エスクデロの交代。その後は中盤でファウルが連続し、両チームともなかなか攻撃を組み立てられず膠着状態に。負傷者が出た際にボールを返す返さないでゴタゴタする場面もあった(返しておけっての)。ただ、急造の東京DFラインにとっては、この「無駄な」時間帯はかえって有り難かったかもしれない。

そして後半半ば過ぎ、DF裏を脅かす田中と長友に蓋をする平川が交代したこと、また前線のターゲットが増えたことで押し上げる余裕が生まれ、東京が反撃開始。72分、タックラーをかわしながら前進した梶山がスルーパス、DFを引きずるように裏へ抜けた赤嶺が山岸の脇を抜いてゲット!……したかに見えた場面はオフサイドの判定。残念。76分、左サイドを突破した長友のクロスに平山が飛び込むがわずかに合わず、平山の体だけがゴールイン(笑)。

浦和は柏木・ポンテらがカウンターを狙うも今野や松下の好守で決定機には至らない。77分、ロングボールを平山が落とし、左サイドを駆け上がる石川がシュートするが山岸がキャッチ。その直後、松下のアーリークロスをまた平山が落とし、今度は赤嶺が左足で狙うもバーの上。惜しかった……。しかし反撃もここまで。85分に鈴木啓太を投入した浦和はバランスを取り戻し、疲労困憊の東京にそれ以上攻める力は残っていなかった。そのままスコアは動かず終了。
 
 

いやー、どうしても勝てない、というか、どうしても普通に戦えないね、埼玉では。

東京にしてみれば誤算続きの一戦だった。第一に、浦和ホームにも関わらず序盤は攻勢に出られたこと。確かにパス回しの時の距離感などは横浜戦より改善されていたが、それにしてもサイドから簡単に良い形を作ることができていた(にも関わらず先制できなかった)。結果としてMF以前が少し前がかり過ぎ、DFが浦和の強力アタッカーと一対一になる場面が増えてしまった。結果論になるが、シチュエーションを考えればもう少し守備重視でも良かったかな、と。

そして森重の退場。38分のプレー自体は警告に相当するとは思えなかったのだが、それまでにも注意は受けてたからまあ仕方がないのかな。DF全体が後手に回っていたというのもあるし、森重自身も他の東京の選手も(失点以降特に)熱くなりすぎているようにも見えた。アウェイの浦和戦だけに気合いが空回りしてしまったのかもしれない。いずれにしろこの試合に関しては痛すぎたけど、若い彼らには良い経験になっただろう。ぜひ今後に生かしてほしいと思う。

あとは、東京ペースの時間帯も含めて、やはりMFによる攻撃の組み立てが物足りない。梶山・石川が出るまでの我慢というのもわかるのだが、それにしても。例えば中村北斗は、たまに良いシュートやクロスがあるから一概には否定できないのだけど、あのポジションが適任とは思えない。まして徳永のボランチは……。「つなぎ役」は足りている。問題は「中盤の底」と「第1攻撃MF」。駒が不足している中で城福監督がどういう解を出すのか、次節以降注目したい。

と、つい反省点(笑)ばかりを挙げてしまうのだけれど、今後に向けて良かった材料も書いておこうか。まずは10人になってからの対応。選手を投入するごとに布陣を変更しながら最後までソコソコ戦えたのは、ここ2年ほどチームの対応力を上げようと努力してきた成果と言ってよいだろう。新加入の松下も攻撃的MF→ボランチ→SBと3つのポジションをこなしてくれた。こうした柔軟性は、今後も苦しい状況に追い込まれた時にチームの助けとなるに違いない。

また、横浜戦に引き続き、平山・赤嶺の2トップがそれなりに機能していたこと。城福東京のパスサッカーの肝が平山(と梶山)であることは周知の通りだが、さすがに相手ももうそこはわかっており、前節もこの試合も早めに平山をつぶしにかかってきた。平山が足下でボールを持てない時にどうするか。一つの解は、もう一つ前線にポイントを作ることかもしれない。つーかそもそも、やっぱり赤嶺ほどのゴールゲッターを使わないのはもったいないように思う。

浦和レッズは、開幕戦で鹿島に完敗しているだけに、ホームで勝ててホッとしたことだろう。パスサッカーの熟成度自体は昨年とそんなに変わらないというか、まだまだの様子。ただ、今季は柏木や宇賀神などよりフィンケ監督のサッカーに適したタイプの選手を揃えてきたので、山田直輝が復帰する頃には面白いチームになっているかも。問題は、闘莉王を失った中でサッカーの「質」の向上を「強さ」に結びつけることができるかどうか、かな。余計なお世話か。
 
 
しかし、それにしても……勝ちたかったなあ(笑)。もういつ以来浦和には勝ってないんだろう?2004年9月の味スタ以来か。赤嶺のシュートがオフサイドじゃなければなあ、というのは言っても仕方がないけど……負け慣れてきたような気がするのが一番怖いというか。
 

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コメント

どうしても勝てませんね。以前はカモにしていたのになぜこうなってしまったのか。最後に浦和に勝ったのは2004年11月3日のナビスコカップ決勝でしょうか。今回も試合内容は決して悪くなかったと思いますし、戦力的にもそれほど差があるとは思えないんですが、浦和相手だと浮き足立ってしまったり、力が入りすぎてしまったり。完全に苦手意識がついてしまっているような。

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