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2009年12月08日

●悲喜こもごもJ最終戦

前のエントリーに書いたとおり土日は東京の最終戦(というか浅利と藤山のラストゲーム)を観に新潟まで行っていたのだが、試合前、そして試合中も他会場の動向が気になって仕方がなかった。なにしろJ1の優勝もJ2からの昇格も、どう転んでもおかしくない状況にあったから。そして、実際、どちらも劇的な結末を迎えたのだった。まさに「Jリーグの一番長い日」。
 
 
まずJ1は、首位と2位がともに苦戦しながら勝利を収め、鹿島アントラーズが優勝。

鹿島の優勝は、まあ順当と言ってしまえば順当なのかもしれないが、浮き沈みの激しい今シーズンの経過を考えれば結果的には十分にドラマティックであったと言えるだろう。盤石の強さを見せたリーグ序盤戦~中盤戦。失速して5連敗を喫し、激しい追い上げを受けた秋の苦境。そして驚異的に立ち直り、4連勝で優勝をもぎ取った終盤戦。ダイジェスト映像を見る限り、浦和戦も終盤に怒濤の攻撃を受けながらしのぎきる、いかにも鹿島らしい勝ち方だったようだ。

正直、以前の鹿島は「強いけど汚い」イメージが強かったものだが、オリヴェイラ監督が就任してからはそうした印象もだいぶ薄らいできたように思う。むしろ堂々たる王者らしさ、風格を備えつつあるというか。Jリーグ史上初の3連覇というのはもちろん偉業で、いずれも最終節を勝って混戦を制した勝負強さは「お見事」の一言。悔しいけど東京はまだ敵わない。つーか、ベテランと若手のバランスも良いし、このままでは王朝を作られてしまう……いかんのう。

伊野波は、ホント良い時に良いチームに移籍したと思う。

一方川崎フロンターレは怒濤の3得点で柏を撃破したものの、勝点2及ばず06年と昨年に引き続く2位。ナビスコ決勝で連敗していることもあり、すっかりシルバーコレクターのイメージが広まってしまった。鹿島とは対照的に、このチームに足りないのは勝負強さだよね。以前ほどではないにせよ、「この試合で勝てれば」というところで取りこぼしてしまうことがまだまだ多い(東京も他人のことは言えないけど)。あとは、順調な時に限って降りかかる「災難」だろうか。

試合後の中村憲剛のインタビューは見ていてグッと来るものがあった。プレッシャーのかかる最終戦で勝ちきったのは凄い。2位というのも立派な成績だ。でも、川崎にとってはそれじゃ駄目だったんだよな……。フロンターレは憲剛を初めいい選手が多いし、チームの盛り上げ方は楽しいし、サポーターは素晴らしいし、タイトルの一つくらいは早くとらせてあげたいもんだと思う。とりあえず天皇杯は残っているのか。東京はもう終わっちゃったし、ちと応援しようかしら。
 
 
J2の方は、こちらも3位と4位が辛勝し、湘南ベルマーレが10年ぶりのJ1復帰を決めた。

水戸×湘南はドラマとしか言いようのない展開。緊張からか動きのぎこちない湘南は立ち上がりからホーム水戸の攻勢を受け、20分と21分にたて続けの失点。さらに失点する危険もあったがそこは野澤の好セーブでしのいで、30分に阿部吉朗のヘッダーから田原が反撃のゴール。続く34分にはFKを阿部が今度は自分で押し込んで同点。そして後半になっても激しい攻め合いは続いたが、53分に阿部が再び頭で決めた勝ち越し点を湘南が守りきった。

元々湘南には阿部にジャーンと元東京の主力選手がいることもあって(それだけではないのだが)シンパシーを寄せていたのだが、この劇的な逆転劇、しかも決定打となったのが吉朗の大爆発である。これを喜ばずにいられるだろうか。元々吉朗は量産はしないが大事なところで決めてくれるタイプのFWで、ヴェルディ戦のロスタイム弾といい持ち味炸裂である。あの時は勝てなかったけれど、03年の東京ダービーや天皇杯神戸戦のゴールを思い出した。

元東京組の阿部・ジャーンにしろ元新潟組の寺川・野澤にしろ、そして田原や坂本に至るまで、湘南には「J1からこぼれ落ちてきた」選手が多い。これは本来必ずしも戦力的優位とイコールにはならないところだが、就任1年目にしてそれらの戦力を巧みにまとめ、昇格に導いた反町監督の手腕はさすがである。というか、反町さんは北京五輪代表監督就任以来不当に低い評価を受けていると僕は思っているので、彼が見返す結果を出したのはとても嬉しい。

他方、甲府は昨年の7位よりはステップアップしたものの、惜しいところで昇格を逃してしまった。シーズン当初はセレッソや仙台に比べてもチームの完成度が高いように見えたため、僕はこのチームが昇格の1番手だと思っていた。ただ、確かにシーズン通してバランスは良かったものの、決定力や勝負強さといった面であと一歩だったのも事実。ここもサポーターは熱心だし、スタジアムはなかなかいい雰囲気だしで、早く上がってきてほしいものだとは思うけど。
 
 
まあ、何というか、ここら辺のシビアな戦いに比べたら、東京の最終戦はややモチベーションの向き先が曖昧になってしまったような気がしないでもないやーね。来年こそはリーグ戦でも「優勝争い」もしくは「ACL出場権獲得」でシビれる戦いの場に居合わせたいものである。いや、逆に「残留争い」でシビれるのだけはご免被りたいものではあるが(笑)。

ともあれ、鹿島と湘南の皆さんはおめでとうございました。来年の対戦が今から楽しみだ。
 

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コメント

http://www.nikkansports.com/soccer/news/p-sc-tp0-20091208-573645.html
ナオは表彰でモニやっぱりそうなったか…行き先は人間活用が上手い湘南でしょうか?

反町さんはやりくり上手でクラブの方が良いんでしょうね、北京はお互いに不幸でした。
ロンドンの為にJFKが拉致られたりしないで欲しいです。

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