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2009年10月12日

●浦和や湘南の事を考えれば、あーた! ('09-'10天皇杯2回戦 vsカマタマーレ讃岐)


昨日の午後は、味の素スタジアムでサッカー天皇杯2回戦。FC東京 4-0 カマタマーレ讃岐。日本代表に4人を送り出し、怪我人とあいまって絶賛人材不足中の我らが東京。「今年狙えるもう一つのカップ」の初戦は、JFL昇格を目指す四国リーグの有望株が相手。試合は、個人能力と組織の成熟度で優位に立つ東京が終始圧倒し、前半のうちに4得点。後半はチャンスを作りながらFW陣が決めきれなかったものの、まずは順当に3回戦進出を決めた。
 
 
開始して数プレーを見ただけで、彼我のレベルの差は明らかに思えた。讃岐はバルセロナに留学していた羽中田監督らしく、バランス良く選手を配置するパスサッカー。しかしキープ力や守備範囲、こぼれ球への働きかけといった個人の力も組織力もともに見劣りし、なかなかボールをつなげない。一方の東京は中盤以前に欠場者が少ないこともあり、スイスイとパスをつないで攻めたてていく。6分、左サイドからファーを狙う羽生のシュートがポストを叩いた。

先制点は10分。梶山が平山とのパス交換でボックスへ突入、切り返しでDFをかわしてシュートをニアサイドに決めた。格の違いを見せつけるようなプレー。1-0。讃岐も反撃を図るが、パスで前に運べずズルズル下がる場面が多い。MF吉澤から左の下松へ展開し、落としたボールにFW佐々木が走り込んだ場面もカバーの佐原がカット。逆に16分、ボックス手前で左→右へドリブルする鈴木達がミドルシュート、GK堀之内も届かずゴール左に決まった。2-0。

早くも余裕の東京は慌てず後方でパスを回し、讃岐の寄せをいなす「鳥かご」のようなシーンが続く。ただ、その余裕が裏目に出たか、なかなかシュートを撃たない平山にスタンドから不満の声が飛ぶ。24分、椋原が右コーナー付近でDFのタックルをひらりとかわし、ゴール前へ入ってシュートするもバーの上。前半半ばを過ぎるとJのスピードにも慣れたか讃岐のパスがつながり始め、25分にはFW佐藤がドリブルでゴール前へ突入、カバーの佐原が止める。

28分、ボックス手前でパスを受けた平山がスタンドの「撃てー!」という圧力に応えて(?)ミドルシュートを撃つが、左に外れ。それを見てまたスタンドから不満の声が。撃っても駄目なのかよ(笑)。30分、DF2人を引きつけた赤嶺が裏へ流すパス、抜けた鈴木がシュートするもゴール右に外れた。34分、椋原が右サイドを突破、ニアでパスを受けた平山が反転シュート、堀之内が横っ跳びで弾くものの、そのCKをブルーノがドン!と頭で叩いてゴールイン。3-0。

37分、ドリブルで仕掛けるFW岡本を佐原がボックス前で倒して讃岐のFK、MF朝比奈のシュートはバーを越えた。42分、右サイドへ飛び出した米本のクロスを飛び込む赤嶺が頭で流し、堀之内を抜いてゲット。4-0。これで試合自体は完全に「勝負あり」である。ロスタイムにも米本から右の鈴木へ展開パス、追い越した梶山の速いクロスに平山が飛び込むもわずかに届かず。4点差で後半へ。この時点では二桁得点もあり得そうな雰囲気だったのだが。
 
 
ハーフタイムに他会場の結果アナウンス。浦和が松本山雅に敗れ、ヴェルディがホンダロックに敗れたとの報に東京ファン大拍手(笑)。あ、湘南も明治大に負けちゃったのね……。
 
 
後半、東京は頭から梶山を温存して大竹を投入。48分、左から鈴木の上げたクロスをDFがカットしそこね、羽生のシュートのこぼれ球を大竹がボレーで狙うがDFがブロック。讃岐は縦に速いグラウンダーパスを入れ、岡本やFW森田らアタッカーが斜めに走り込むパターンでチャンスを作ろうとする。が、東京はブロック守備を敷いてはね返し続ける。そのうち、東京は選手もスタンドのファンもまったりムードになり、いかにも天皇杯初戦という空気が漂いかけた。

試合の完全な弛緩を許さないのは、大竹・米本と試合を捨てない讃岐の選手たちの頑張りである。57分、大竹の反転パスで米本が右サイドを抜け、狙いすましたクロスが逆サイドの鈴木へ。鈴木のシュートはポストを直撃し、こぼれ球を米本が狙うがきわどくポスト右を抜ける。59分、讃岐は佐々木が強烈なミドルシュート、塩田がパンチで弾き出す。さらにCKから神崎のヘッダーが塩田の正面へ。ここら辺、東京の中盤守備はやや甘くなっているような感があった。

62分、城福監督が動いて羽生→浅利で中盤を再強化。その直後、平山がボックス手前で倒されてFK、直接狙った大竹のキックはバー直撃で惜しくも決まらず。67分、塩田がバックパスを処理し損ねて目の前の佐々木に渡してしまうズッコケプレー。佐々木がシュートを塩田に当ててくれて命拾い。その直後、バイタルエリアで楔のパスを受けた平山の反転シュートがバーの上を越したところで、ゴール裏の一部からブーイングが……なんじゃいそりゃ。

ここで東京はブルーノOUT藤山INの交代。浅利・藤山と20歳前後の選手たちが揃うピッチの光景はなんだか不思議な感じ。その後も東京は前線で平山がボールを収めまくるが、讃岐DFの頑張りもあってあと一本のパスが通らない。相変わらずスタンドからは平山に対して野次が飛ぶ。そのうち東京の選手たちが何とか平山に取らせようとパスを集めるも、74分のミドルシュートは堀之内がキャッチ、75分に藤山のクロスに合わせたボレーはジャストミートせず。

77分、讃岐はボックス前でFKを得るがシュートは壁に当たってそれ、CKのこぼれ球を岡本がシュートするもサイドネット。79分、左サイドに飛び出した赤嶺が逆サイドの平山目がけてクロスを上げ、折り返しを鈴木がゴールへ蹴り込むがオフサイド。83分にはオフサイド崩れ(?)でスポッと抜けた赤嶺が堀之内と一対一になるも、あまりのどフリーぶりに戸惑って逸機(笑)。最後は東京アタッカーが強引なシュートを狙い続けるうちにタイムアップとなってしまった。
 
 

上出来、とは決して言えないが、まあ充分な結果だったのではあるまいか。

FC東京にとっては、カテゴリー3つ下の相手とはいえ、代表への拠出と怪我でGKの控えが2人入るような状態での危なげない勝利。前半は個人能力にもものを言わせてスコアを重ね、後半も得点こそ入らなかったもののポスト・バー直撃などきわどいチャンスはいくつも作り、守備陣も塩田のアレにもめげず(笑)零封。浦和がやはり地域リーグのチームに敗れたように何が起こるのかわからないのがサッカーだから、城福監督もとりあえずホッとしたことだろう。

とはいえ、チームにとって満足できない部分はあったに違いない。普段控えに甘んじている選手たちは石川・梶山抜きでもやれるところを見せたかったろうし、平山や赤嶺はこの機会に得点を量産しておきたかったことだろう。個人的には赤嶺・平山がユニットとして機能するところをもっと見たかった(できるはずだ)のと、あとは田邉あたり慣らし運転してほしかったなあ、と。まあ、贅沢を言えばきりがなく、浅利と藤山が見られたのはちょっと嬉しかったけれど(笑)。

平山に対してスタンドの一部から起こったブーイングまがいの声は、どうなんだろう。確かに決めてほしい場面はあったにせよ勝敗を左右するものではなかったし、試合全般を見渡してみればボールをよく収めてチームを助てくれたように思う。後半、追い立てられるようにムキになってフォアチェックしたり無理な体勢からシュートしたり、ちょっと可哀想に思えてしまった。期待の裏返しなのかもしれんけど……みんな磐田戦の活躍はもう忘れてしまったのだろうか。

あと、浅利と藤山の投入には考えさせられるものがあった。浅利は甘くなっていた中盤守備の強化ということなんだろうが、まさか藤山も出てくるとは。後半なかなか点が入らずにアタッカー陣は頭に血が上り始めていたから、「ちょっと落ち着け」というメッセージだったのか。それとも、こういう機会はおそらくもうないということで、来るべき「お別れ」の前振りだったりして。

カマタマーレ讃岐は、選手の技術体力はJ1に比べれば見劣りしてしまうとしても(ただ、中2日の日程だったし、メンバーも落としてたらしいけど)、志の高さを感じることができる戦いぶりだった。長短のパスを駆使しようとする正々堂々たるパスサッカー。正直ものになるかどうかはわからないし、少なくとも時間はかかる取り組みである。だけど、田舎の一チームがそれをやってみる、というのも夢のある話だとは思う。面白いのはチーム名だけじゃないということで。

何にせよ、3年連続でJ2のチームに初戦敗退したり、ホンダに負けかけたりしてた頃の事を考えれば、少々のまったりやもたつきなど全然大したことないっすよ!!マジで。
 

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コメント

きれいにディフェンスの裏に抜けてもシュート打てないとか、いやなんというか点が取れないのにはちゃんと理由があるんだなと思いました。
ナビ決勝行くのがほんとこわいよー。ちゃんと試合になるんだろうか。

僕のまわりの不満は「浅利にボールを出せ」で一致していました。
点取る気まんまんみたいだったのにな

藤山の投入は平松に対する「SBとしてできそうな目処は立ったんでCBのテストもしてみようか」ってことだったんではないかと思います。
平松良かったですしね。
個人的には北斗ボランチを試してみてほしかったと一瞬思いましたが、結局ワーワーになってしまうんではないかと思います。

ピッチの外では藤山が「お前らちょっと落ち着け」という感じで思ってたそうですし、もう少し大人のサッカーが出来ればなぁ、とは思いました。

平山は可哀想でしたね。打たなきゃブーイング、枠に飛ばなきゃブーイングってのはさすがにどうだろうと。4-0の時間が長かったんでG裏も痺れを切らしたのかも知れませんが、総合的には格下相手の試合をきっちり勝ち切ったいい試合だったと思いますよね。

>きれいにディフェンスの裏に抜けてもシュート打てないとか、
平山はある程度抜けても追いつかれちゃうっつーんで周りを使う意識が高くなるのでしょうが、後半最後頃の赤嶺はいかんと思いましたね。「あれ?抜けちゃったよ、味方もいねえよ、どうしよう!?」って感じでしたから(笑)。君はゴールゲッターだから!

>「浅利にボールを出せ」
浅利が追い越しをかけて、「あ、パスが出ればシュートまで行ける!」というところでオフサイドになった場面がありましたねえ。まあ、天皇杯でもそうですが、やっぱりリーグ戦で1点……。

>「SBとしてできそうな目処は立ったんでCBのテストもしてみようか」
ああ、なるほど、確かに平松、SBとしてはプレーにメリハリがついていてなかなか良かったですものね。相手のサイドの選手と代表組のコンディション次第では、今後も使えそう。

>藤山が「お前らちょっと落ち着け」という感じで思ってたそうですし、
やっぱりそうなんですね。あそこでムキにならずに多少まったりしてもしゃーない、くらいの感じで余裕のパス回しとか見せる方がいいような気もしますけど……まだ難しいのかな。あと、昨日は力の差がありすぎたから少し加減が難しかったかも。スタンドのファンも煽るし(笑)。

>打たなきゃブーイング、枠に飛ばなきゃブーイングってのはさすがにどうだろうと。
ねえ。なんだかんだで、昨日一番シュート撃ってたんじゃないかな?「決めろ!」「枠に飛ばせ!」ってのはあるかもしれないですし、判断の良し悪しとして「?」なプレーもなくはなかったですが、非難を受けるほど消極的ではなかったような。

一般論として、選択肢としての優先順位は「まずシュート」で良いのですが、最初からシュートと決めてかかって無理に撃ってDFに当てちゃうプレーは私は好ましいとは思いません。

カマタマーレ讃岐、誠に正々堂々の戦いっぷりでした。讃岐サポーターも最後まで応援してましたし、良い雰囲気だったと思いました。

試合終了後、讃岐の選手は、バックスタンド側でしたが東京サイドにも挨拶に来てました。公式戦では初めて見ました。返礼として、ゴール裏は讃岐コール位しても良かったのでは・・・。

>試合終了後、讃岐の選手は、バックスタンド側でしたが東京サイドにも挨拶に来てました。

あ、そうなんですか。そこまでは見なかったので、知りませんでした。教えていただいてありがとうございます。

去年の入れ替え戦の後、ギリギリで敗れた仙台のサポーターが磐田側を讃えるコールを送って、それに対して磐田の選手たちが頭を下げていた光景を思い出しました。

こういうケースはなかなかないのですが、個人的には素直に好ましく思います。そうか、そうなんだ、もう少し残って讃岐の選手たちに拍手してあげれば良かったかな……。

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