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2009年09月27日

●ばかしあい上等、ってか (FC東京×ジュビロ磐田)


昨日の夕方は、味の素スタジアムでJ1第27節。FC東京 3-2 ジュビロ磐田。夏の間もやもやとした戦いぶりが続き、順位もすっかり真ん中あたりに落ち着いてしまった我らが東京。今回は比較的相性の良い相手だけに、11月のナビスコ決勝と「その後」に向けてきっかけをつかみたいところであった。試合は、双方のミスが結果的にスリリングなシーソーゲームへつながり、終了間際に出たエース赤嶺の復活弾で東京がバカ試合撃ち合いを制した。
 
 
前半の磐田は攻撃的MFに西・村井とドリブラーを起用し、SBは攻撃参加を控える「アウェイ仕様」のサッカー。前田とイ・グノへ放り込む単調な攻撃が多く、今野とブルーノが着実にはね返す。一方の東京はパスをつないで攻め込もうとするが、磐田の厚い守備網に引っかかってなかなか前へ進めない。序盤は「何もない」まま時間が過ぎていった。14分、磐田は右からアーリークロス、イが権田に競りかけて落とし、前田がヘッダーで狙うもポスト右を抜けた。

15分を過ぎる頃から東京ペースに。「目が覚めた」梶山が磐田のFWとボランチの間をうまく使って左右へ配球していく。17分、米本が左からボックス内に走り込む長友を狙う絶妙のラストパス。長友はDFを振り切ってシュートするもGK八田が体で止め、ゴール方向へ飛んだこぼれ球もDFがクリア。21分にも石川が右サイドを突破、平山を狙うクロスをDFがきわどくカット。磐田の方は攻撃が淡泊な上にパスミスも多く、イと他の選手の息が合ってない印象である。

30分、梶山から左サイドを走る長友へ矢のようなフィードパスが通り、オーバーラップの米本がミドルシュートを撃つも枠外。34分、村井がブルーノを振り切って左サイドをえぐるが、前田を狙うクロスは今野がカット。その後は東京が石川(ジーザス1号)と鈴木(同2号)の好トラップなどで良い形を作りかけるも、フォローが間に合わない場面が続く。44分、鈴木が左タッチ際から切れ込んでシュートするが、八田の正面。ややダルな雰囲気の中で前半終了。
 
 

この日は「もしもしホットラインの日」ということで、ハーフタイムには「ジョブポケット」のマスコット「かめひよ」がドロンパを伴って登場。「かめひよ」はかなり頭でっかちで歩行困難な体型をしており(コアの人も大変ですね)、途中からドロンパが台車を持ってきて移動を助けていた。つーか、なんか介護っぽかったな。「はいはいおばあちゃん気をつけて」みたいな(笑)。
 
 
後半、磐田は西OUTで松浦IN。ボールを動かせる選手の投入でパスをつなぐ攻撃へシフトし、駒野の上がりも見られるように。しかし、東京にしてみれば相手が前に出てくることでやりやすくなった面はあるかもしれない。51分、ショートカウンターから梶山がDFをかわして強烈なシュート、八田が弾いたボールを鈴木がつなぎ、石川のシュートがサイドネットに突き刺さる。53分にもGKとDFの間を通す羽生のクロスに鈴木が飛び込むが、惜しくもシュートできず。

54分、左サイドの村井からボックス内の前田につながってシュート、権田も抜かれる大ピンチとなったが、ボールはクロスバーに当たって枠外へ。その直後、パスカットした平山が左サイドを一気に持ち上がり、中央どフリーで走り込む石川へ折り返す。これも決定的な場面だったが、石川はシュートをふかしてしまった。やっぱり「スーパー」期間は終了か(笑)。56分には松浦が個人技で持ち込んでミドルシュートを撃つなど、スリリングな攻め合いが続く。

先制点は62分。パス交換から押し込み、羽生がDFの間を突いてボックス内へパス。走り込んだ梶山がスライディングでつないで平山がDFを背負って落とし、走り込んだ石川がゴール左に蹴り込んだ。ワンタッチパスの連続で磐田守備陣を釘付けにした素晴らしいゴール。これが見たかったんだよ!1-0。ところが。直後の64分、磐田の左CKを権田がキャッチミス、こぼれ球に磐田FWが殺到して前田がゴール上に蹴り込み、あっという間の同点。1-1。

その後、形勢は一進一退に。67分、スラロームドリブルで突き進む梶山がボックス手前で倒されるも、鈴木のFKはバーをかすめて外れ。68分、村井のクロスにイが飛び込むが権田が交錯しながら防ぐ。70分には村井のシュートがDFに当たってきわどくサイドネットに外れたが、ホッとした次の瞬間、CKでフリーになったイが跳び上がって頭でズドン!完全なマークミスでの失点。1-2。71分、石川の怒りのドリブルシュートは八田が横っ跳びでセーブ。

72分、羽生→赤嶺の交代。さらに石川と鈴木に替えて椋原・中村北斗を投入。中村は右MF、椋原は右SBへ。徳永が左に回って長友が一段上がり、サイドに2人ずつ張る形となった。大幅な布陣変更だけに直後が不安だったが、77分、松浦のパスでイが右サイドを突破、クロスに村井が飛び込む場面はDFが体を張って防いだ。東京はサイドから押し込んで相手を開かせ、空いた中央に梶山が高く位置どって猛攻をかける。磐田は成岡→犬塚と守備的な交代。

82分。波状攻撃から右サイドの北斗がアチョーキック風の速いクロス、飛び込む平山に惑わされて八田がボールをこぼし、詰めていた長友が押し込んでゲット。交代の意図がピタリと当たったような得点だった。2-2。84分、今度は磐田がカウンターからチャンスを作り、村井から斜めのスルーパスを受けたイがゴール正面に躍り出てシュート、権田が見事弾き出す。磐田も村井OUT船谷INで勝ち越しをあきらめず、激しい攻め合いがなおも続いていく。

ドローで終わりたくない東京は終盤には3バックに変更し、今野を前線に上げて畳みかける。そしてロスタイム、梶山が中央でドリブルを仕掛けてDFを集めたところで左へ展開。サイド突破した長友がクロスを上げる瞬間、ファーにスッ、と逃げて茶野のマークを外す赤嶺の姿が見えた。ボールは弧を描いてその赤嶺めがけて飛び、完璧なヘディングシュートがゴール左隅に決まる。夢心地の数秒間。熱狂のスタンド!3-2。そのまま試合終了の笛が鳴った。
 
 

いや面白かった。前半は正直やや退屈だったが、後半の撃ち合いは見ごたえがあった。ミスが多発したバカ試合、という見方もできるが、こちとらタヌキだけに「ばかしあい」は強いぜ(笑)。

まあ、手放しで喜べない内容だったのは確かである。前半は梶山や守備陣の活躍で主導権は握ったものの、相変わらず敵陣に入ってからの崩しが物足りなかった。後半は相手のシフトチェンジに誘発される形で(別の言い方をすると、後手に回ったということだ)良い攻撃を幾度か繰り出すことができたが、今度は得点直後の失点やセットプレーでのマークミスなど守備の方で悪い面が出てしまった。「5人目のDF」クロスバーには感謝せねばなるまい。

もっとも、磐田の守備の脆弱さにも助けられたとはいえ、攻撃の進歩も見逃せない。サイド攻撃の単調さが目立ったガンバ戦に比べれば、先制点の場面をはじめとしてコンビプレーでの仕掛けやシュートはよく試みられていたし、なけなしの駒をやり繰りした終盤の攻撃布陣も的中。スーパーな選手はいなくとも、11人の持ち味の相乗効果でチームとして相手を上回る。そのための「引き出し」を実戦を通じて増やしていく。東京の生きる道はそれしかない、と思う。

個々の選手について。MVPには梶山を挙げたい。正確なフィードと前へ出る積極性が光ったし、守備でも味方の位置をよく把握して穴をカバーし続けた。「意志の見えるプレー」も、少しずつ増えてはきたかな(まだまだ!)。米本はだんだん攻撃の方も持ち味を出せてきている感じ。羽生はいつも「誰かを入れるための替え駒」にされちゃうのが可哀想。石川はシュートの枠内率がだいぶ落ちてきたけど、まだイケるかな。北斗は横浜戦以来のひと仕事だった。

DFだとまずは長友か。終盤にゴール前まで上がれる走力はさすがで、それを生かしたMF起用も成功。権田は、ガンバ戦ではハイボール処理が完璧だったのに、今回のミスは痛かった。致命傷にならなくて何より。徳永はミスパスも多くて、どこかおかしかった。最近のプレーぶりだけ見ると椋原の方が信頼性は高い。ブルーノと今野は強力2トップ相手に手こずる場面もあったが、よく抑えたと言えるのではなかろうか。ただ、速いFW相手だと茂庭でもいいかも。

赤嶺は本当に久しぶりのゴールだった。これで心おきなく移籍先が探せるね……というのは悪い冗談だが、しかしこれで自信と嗅覚を取り戻してほしいと願う。チームとしても、ポゼッション指向でやるんだったらこういう「最後の場面で差を作れる」選手は貴重なはず。平山も良かった。先制点の判断は見事で、物議を醸しそうな55分の場面も「よく見えてるな」と僕は思った。赤嶺と平山の2トップがもっと見たいな。鈴木もいいけど、相手が引くとややキツいから。

いずれにせよ、負けてたら磐田に抜かれて10位になっていたところだったので、勝ってよかったよかった(浦和より上になったし)。上位4チームの強さを考えればACL出場権は厳しいかもしれないが、それを最後まで目標にし続けられるくらいの位置には行ってほしいねえ。
 

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コメント

お疲れでした。
徳永のスタッフに飛びつく姿がw

「またあの男に…」って言葉を見ると痛快です。
散らせる面子が欲しいんで来期は栗帰って来ないかな?達也は確保したままで。

ご馳走の馳走の意味にも通ずる試合で内容より結果が嬉しかったですね。
両方とも左サイドが活性化していたのも浄さん効果?ですかね。

権ちゃんのミスも有りましたが2点目のどフリーが問題ですね。

>(浦和より上になったし)。
まぁこれは直接勝ってからですな、ウラミハラサデオクベキカって事でw
(ユースでの借りの件も含む)

少しでも上に上げて胸スポンサー交渉が上手く行きます様に。

どうもです。

>散らせる面子が欲しいんで来期は栗帰って来ないかな?
そうですね、それはちょっと思いますね。平山がいない時、羽生の負担がけっこう大きくなってしまっているような気はします。田邉が早くも壁に当たった感じですしね。大竹も怪我が多いし。

>達也は確保したままで。
それはちょっと柏からするとムシがいい考えかも(笑)。

>少しでも上に上げて胸スポンサー交渉が上手く行きます様に。
いやー、ホント。スポンサー獲得と成績とがどれだけ直結する話なのかよくわかりませんけど、やはり上位に食い込んで行かないと、特に終盤戦はメディアなんかの露出はほとんどなくなっちゃいますもんね。そういう意味でも浦和には絶対勝ってほしい。

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