●現代美術だもの(と、石川ナオのかかし)
10時過ぎ起床。本当に、明後日から朝早く起きられるのだろうか(笑)。カミさんが高島屋で買っておいてくれたパンで朝食を済ませ、昼前に出かけて近所でしばし汗を流す。外は晴れてるのか曇ってるのかはっきりしない天気だ。昼食は、松屋で「豚と茄子の辛味噌炒め定食」を食べる。なんか米がやたら美味いな、と思ったら、「新米フェア」なんだそうな。なるほど。「ライスの大盛り無料ですよ!」と勧められたのだけど、さすがにそこまでは食えないっす。
再び家を出て、大江戸線で清澄白河へ。駅近くの商店街では、現美でアニメ関係の展覧会が開催中なのも関係しているのか、「かかしコンクール」なる催し物が行われていた。近所の小学生あたりが作ったのだろう、様々に趣向を凝らしたものが道路いっぱいに並んで……って、冷静に見るとけっこう怖い光景でもあるな。かかしって害獣を追い払うためのものだからねえ。ズバリ『案山子』というホラー映画もあるし、『スタフ王の野蛮な狩り』とかも思い出したり。
途中、真っ黒なかかしがあったので「何だろう?」と見てみたら、「マイケル・ジャクソン」だって。おいおい(笑)。しかも「銀賞」を受賞したそうである。うーむ……。
あっ(笑)!青赤の「18番」!!思わずしばし足を止める。そうか、ここら辺は「ガスの地元」だもんね。タイトルは「スーパーストライカー」。そこは最近ちょっとスーパーぶりが鳴りを潜めつつあるのが心配なんだけど(笑)。あと、いちばん良くできていたと思うのは右側の写真のヤツ。顔も上手く描けているし、素材の選択やパーツのバランスもなかなかいい感じ。何より、ひと目で「鬼太郎」とわかるのがエラい。これは小学生の仕事じゃないかもしれないね。
で、木場公演の現代美術館に到着。『メアリー・ブレア展』も観ようかと思っていたのだが、エントランスの大行列を見て速攻であきらめた。「チケットを買うまで40分、そこから入場まで15分」との表示が。ジブリほどじゃなくても、アニメ関係の展覧会の威力は絶大なのであった。
ということで、さっさとお目当ての『伊藤公象』展へ。これは凄かった。上の写真でもわかるように(屋外展示のみ撮影可)、膨大なパーツを緻密に配置することで成立している作品だが、当然ながら手作りなんだよね、これ……。一つ一つのパーツを焼く作業にしろ、それを展示の度に並べる作業にしろ、気が遠くなりそうな感じである。右の写真に写っている丸めた布みたいなのも陶器なんだけど、これが数十畳の部屋いっぱいに並んでる展示もあったりした。
この手の作品ってのは「二度と再現できない」ことが魅力でもあるのだろうが、それにしても徹底しすぎているというか。リンク先で見られる『木の肉・土の刃』にもゾッとしたし、『アルミナのエロス(白い固形は…)』なんて展示ごとに作り直してるらしいけど、それでも「東京都現代美術館所蔵」とキャプションが付いているのがオカシイ。こういう「度を越す」ことによって異世界の空気を醸し出す感じ、まさにコンテンポラリー・アートの王道と言えるのではなかろうか。
その後、時間がなかったので駆け足ながら常設展も観覧。ここの常設展は年に何回も大規模な展示替えをするので当たり外れも激しいのだけど、今回は当たり。「MOT夏の遊び場」と題して、エルネスト・ネトの大型作品や島袋道浩のシリーズ、高松次郎『扉の影』、八谷和彦『Open Sky』などワクワクさせられるものが並んでいた。ただ、『メアリー・ブレア展』の大行列でこちらまで回る余裕がないのか、肝心の子供たちの姿があまり見えなかったのは残念な。
島袋さんの『そしてタコに東京観光を贈ることにした』は初めて観ることができた。明石で釣ったタコを(生きたまま)新幹線に乗せて東京タワーや六本木、築地市場(「築地から生きて帰ったタコはこのタコだけ」)を見せ、再び新幹線で運んで明石の海に帰すというドキュメンタリー。くっだらないっちゃくっだらないんだけど、なんかハッピーな雰囲気に包まれている作品なんである。最後、自分の力で海岸から外海へ泳いでいくタコの姿はちょっと感動的(笑)。
地下鉄を乗り継いで東京駅に出て、国際フォーラム地下の「相田みつを美術館」へ。初来館。言わずと知れた大詩人・書家の作品のみで成立した希有な美術館である。落ち着いた雰囲気と余裕のある展示スペースはなかなかに快適。相田さんの作品については、まあ正直「説教くさいな」と思うものも多いんだけど、「感動こそが人を動かすのだ」という情念自体には共感を覚える。「人間だもの」もいいけど、「根はみえねんだよなあ」が一番好きかな。
その後、夕方の銀座をしばしブラつく。国際フォーラム~交通会館~プランタン~中央通り~シネパトス前~歌舞伎座~晴海通り~数寄屋橋、というルート。右の写真はソニービル。昔はオシャレなデザインビルの代表格だった気もするのだが、近くで見てみるとけっこう古びちゃってるのね。ここのスタジオでテレビ東京「サッカーTV」の公開録画に参加したのは、もう12年前か。フランスW杯予選の時で、確か出演者は川平慈英さんと金田喜稔さんだった。
銀座インズの前に、数学者で大道芸人のピーター・フランクルさんがピエロっぽい扮装で立っていた。昔は渋谷の歩行者天国メインで芸をやってたんだけど、最近はあちこちに出向いてるのかな。弟子なのか、やはり外国人と思われる背の高い若い人を連れていた。
カミさんと有楽町の電気ビル前で待ち合わせ、ドイツ居酒屋「JSレネップ」で夕食……のはずだったのだが、なんと満席。愕然としていると、親切な店員さんが近くの系列店まで案内をしてくれた。ということで新橋の『J’sベッカライ』へ。『JSレネップ』は雰囲気は賑やかでいいんだけど、ガード下だけに狭さが難点だった。それに比べればこちらはなかなか広い。うむ。
ニュールンベルガー・ブルスト(白ソーセージ)にジャーマンポテトグリル、ザワークラウト、牛肉とキノコのビール煮、プレッツェル。ビールはエルティンガー・ヴァイス、ビットブルガー、イエバー、コストリッツァー黒生。どれもドイツっぽくて(って、ドイツには1度しか行ったことないけど)ひっじょーに美味い!この日は「エルティンガー・ヴァイスの500mlを1人で3杯飲むと特製グラスプレゼント」なるキャンペーンがあったのだが、さすがにそこまでは飲めないっす。
……とか言って、結局は飲み過ぎてへべれけになって帰宅。こういう時は2人だと心強いのね。
コメント
伊藤公象さんの作品展示を見ると、その中に隠された意図的なものを読み取るというより、何かしまっておいたノスタルジックな空間に引き込まれてしまうのだ。たとえば右の写真。図工室の外の4年生の作った土鈴がたくさん干されていた風景とか、次の朝、全部叩き割られてた風景とか(笑)。見に行こうかな。最後はへべれけでw
Posted by: みぽりん | 2009年09月25日 14:22
あ、へべれけでちょうどいいかも。マジで。良い意味で知的じゃないというか(我ながら誤解を招きそうな表現だ)、洗練されてないわけじゃないんですけど、でも根底にある「これ、おお、すげー!」の素はけっこうプリミティヴなところにあるような気がしました。「つくったものを、たくさん、たくさん、ならべる」という。そこが率直に感動するんだな。ぜひ観てみてちょんまげ。
Posted by: murata | 2009年09月25日 21:12