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2009年09月20日

●秋風飛田給ってか (FC東京×ガンバ大阪)


昨日の夕方は、味の素スタジアムでJ1第26節。FC東京 0-0 ガンバ大阪。8月以降の不振から未だ脱出できず、おまけにカボレをカタールに強奪されてしまった我らが東京。リーグ戦はナビスコ杯・天皇杯のための調整場所と化しつつある状況だが、今回の相手は「上に行くためには倒しておきたい」強豪・ガンバである。試合は、前半のボール支配を生かせなかった東京が終盤ガンバの猛攻に遭うも、頼れる守護神の活躍でドローに持ち込むことに成功。
 
 
キックオフ。パスサッカーを標ぼうする両チームではあるが、意外なことに前半の戦いぶりは対照的なものとなった。東京がピッチ幅一杯につないでゆっくり攻めたてるのに対し、ガンバはボールを奪うと外国人2トップをめがけた縦のボールで速攻を狙うことが多い。2分、左サイドでDF後方のスペースに飛び出した鈴木達にパスが通り、逆サイドでフリーになった石川を狙うクロス。「必殺」にも思える形だったが、石川のダイレクトボレーはポスト右に外れてしまった。

9分、右サイドで米本が鋭い切り返しでDFをかわして折り返し、混戦の中で幾度かシュートチャンスがあったがDFにブロックされる。ガンバは中盤で明神らの狙いすました寄せから幾度かボールを奪うも、遠藤・二川が不調でミスが多く、米本の奮闘や今野の巧みなカバーリングもあって主導権を奪えない。もっとも東京の方も梶山の出来がイマイチだったこともあり、ボールは動かすのだが崩しきるところまでは行かない。膠着状態となって淡々と時計が進む。

26分、中央に飛び出す石川がDFをヒラリとかわしてシュート、左に外れる。30分、長友がミドルシュートを撃つがこれもポスト左。中に張る赤嶺はDFラインに埋没してしまい、東京は左サイドを中心に幾度かクロスまでは持って行くのだが全て中澤にはね返されてしまう。終盤にはガンバも見せ場を作り、36分、橋本のクロスからチョのヘッダーがバーを叩いてヒヤリ。38分には遠藤のスルーパスでDFの間へ走り込んだ下平のシュートがポスト右を抜けた。

惜しかったのはロスタイムで、CKをはね返したガンバが押し上げの途中でパスミス、カットした今野が右サイドを突進してクロスを入れ、逆サイドから走り込む石川がシュート!「決まったか」と立ち上がりかけたが、この日は彼の日ではなかったのかボールはバーの上……。そのまま前半終了。ガンバは明らかに不調だったが、それに東京がつけ込みきれない印象。
 
 
後半も東京ペースは変わらない。ガンバはどうも全体的に元気がなく、いつもの流れるようなパスワークが見られない。48分、羽生のラストパスで長友がゴール前へ突入するも間一髪GK松代が押さえる。51分にも羽生がボックスへ侵入、赤嶺を狙うクロスは惜しくもカットされた。54分、加地のロングスローから二川が狙ったボレーシュートは枠外。その直後にはサイド突破した長友のクロスがDFの間を抜けて鈴木の足下に入るが、トラップ失敗で逸機。

はっきり言って「こんなガンバに負けたらアカン」という感じなのだが、東京も気がつけば手詰まり状態に陥っており、単調なクロスを中澤にはね返されるシーンがまた増えていく。そのうちガンバも少し持ち直し、61分にはようやく出たパス回しから二川が右サイドをえぐり、梶山が引き倒してFK&警告。その二次攻撃から下平が撃ったミドルシュートは権田がキャッチ。67分には下平のクロスをボックス内で止めたルーカスがオーバーヘッドで狙うも、枠外。

71分。ガンバがチョ・橋本に替えて佐々木と播戸を投入、東京は羽生OUTで田邉IN。この交代を機に試合の流れは一気にガンバへ傾いた。播戸は前線を激しくかき回し、佐々木も右で積極的に仕掛けてチームに活を入れる。76分、佐々木がDFの間をかいくぐってクロス、逆サイドからルーカスが走り込むも寸前で権田がセーブ。東京は鈴木OUT椋原INで徳永をMFの位置に上げ、一方ガンバは二川→山崎。「うわ、イヤなFWが出てきたな」という感じ。

80分、CKで中澤がDFに競り勝って頭でシュート、強いボールは幸い右にそれてくれた。頭を抱える聡太君。81分、石川が左サイドで加地と(おお!)勝負、中へつないで走り込んだ赤嶺がシュートしたが、ポストわずか左に外れ。危なかったのは83分で、ガンバは遠藤の縦パスからボックス近辺でつなぎ、DFの背後に出た山崎がシュート。完全にやられたかと思える場面だったが、素晴らしい反応で跳んだ権田が片手で弾き出す。まさにビッグセーブ!!

その直後のCK、ルーカスのどんピシャヘッダーは叩きつけすぎてバーの上へ。さすがは俺たちのルーコン、助かったぜ(笑)。東京は攻撃の方では長友や田邉がやや強引に仕掛けようとするも、味方のフォローもなくチャンスにならない。終盤、ガンバは佐々木が幾度か右サイドからハイクロスを上げるが、権田が抜群の安定感で防ぎまくる。87分に播戸が飛び込んだ場面も交錯しながらキャッチ。結局ガンバも攻めきれず、0-0のまま試合終了となった。
 
 

まあ、スタンドの盛り上がりもイマイチだったし、気温も低かったし、正直寒めな試合であった。

大ざっぱに流れをまとめると、後半途中までは東京が広くボールを動かして攻めることができたのに対して、ガンバは逆襲を狙うパスの精度が低く、スペースをうまく使えなかった。その結果として東京がペースを握ることに。ただ、東京も敵陣深くに入ってからの仕掛けには工夫がなく、決定機の数はそれほど多くはなかった。そして、60分以降はガンバがパス攻撃のギアを一段変えて攻勢をとり、東京は持ち駒の少なさもあって防戦一方になってしまった、と。

どちらかと言えば、選手交代もうまくハマって「あと一歩」のところまで行った(そして仕留め損なった)ガンバの方が悔しさはより大きいのだろう。つーか、この試合は特にひどかったのだろうけど、最近のガンバはズブいというか落ち着きすぎているというか。もうちょっとキビキビやらないと、取りこぼしは多くなるに違いない。ジュビロ黄金時代の末期もそうだったけど、毎年ACLと代表戦に追われているせいで「金属疲労」の状態になっているのかもしれない。

東京は、まあ「勝点1もうけ」かな。左右の揺さぶりから敵陣深くまでは何とかボールを運べる。でもその先が……というのは相変わらず。単騎で勝負できる駒が減って、石川と長友の「一発」も出ず、最後は単調なサイド攻撃中心になってしまった。(田邉が一度だけ試みた)ワンツー突破みたいな人を使った仕掛けがもっと増えないといけないし、(羽生を筆頭に)もっとシュートも撃ちたいところである。あとは赤嶺の生かし方か。もうカボレには頼れないのだから、ね。

個々の選手について。MVPは権田。山崎の決定的なシュートを防いだプレーのみならず、試合を通して極めて安定したセービングを披露してくれた。ハイボール処理なんて、まるで磁石で吸い付くような感じ。すっかり不動の「守護神」である。DF陣では広い守備範囲でスペースを埋め続けた今野、90分上下動を続けて左サイドを支配した長友が光った。ボランチでは米本はいつも通りだったけど、梶山は何となく寝ぼけ眼のまま試合が終わってしまったような。

攻撃陣では、鈴木達也は運動量も積極性もあってよくチームを引っ張った。石川は動きは悪くなかったのだが、肝心なところでシュートを枠に飛ばせなかった。羽生は、平山不在を考慮したのだろう、常にホルダー近くでプレーしてパスワークには大きく貢献した(彼の交代後は攻撃を組み立てられなくなった)。だが、ボールを動かす意識が大きすぎて、シュートチャンスでパスを選択した場面は印象悪し。シュートを撃たない攻撃的MFなんて、怖くないもんね。

赤嶺と田邉は、率直に言って馴染めていない感じだけど(別のチームにいたわけでもないのに、不思議だね)、もう補強もできない状況なんだから頑張ってもらうしかないわな。というか、この試合、どうして攻撃の選手が田邉しか入っていなかったのだろう。だらしないガンバ相手にシュートを躊躇する選手を見て思わず「大竹だ、大竹を入れろ!」って言っちゃったよ(笑)。大竹は怪我してるのか。近藤祐介は?徳永を上げるほど苦しい台所事情っすか。

なんか、秋風が吹いてきたような(笑)。11月までにはスカッと晴れてるといいんだけどね。
 

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