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2009年08月24日

●とおい、とお~い、鹿島~ (鹿島アントラーズ×FC東京)


昨日の晩は、カシマサッカースタジアムでJ1第23節。鹿島アントラーズ 3-1 FC東京。8月に入って1分2敗、ここ5試合での得点がわずかに「2」とスランプに突入した東京。その苦しい状況の中で今回はJ王者・アントラーズとの対戦を迎えることになってしまった。試合は早い時間帯に2点を先制した鹿島が試合をコントロール、後半の東京の反撃を1点に抑え、さらに駄目押しの3点目を加えて堂々と逃げ切った。東京は8月に入って未だ勝ちなし。
 
 
ここ2年と同様、京王観光の応援ツアーで現地へ。専用列車は(少々ボロいのが難点だが)やはり楽で良い。今回から生ビールの車内販売も始まったので、次回は是非利用したい。到着は開始2時間ほど前。いつも通り国道沿いの屋台村で焼鳥とビールをいただいて、さらに入場してから牛串と厚焼きベーコンとビール。このベーコンが実に美味。ボランティアの方々の対応の良さも含め、このスタジアムのホスピタリティの良さは何かの陰謀かと思うくらいだ(笑)。

 

キックオフ。東京はいつも通りの4-4-2で、中村北斗が右MFで初先発。対する鹿島も「伝統」と呼ぶべき4-4-2。中盤は前にダニーロと野沢が張り、小笠原と青木が底を固める。序盤は探り合いのパス回しが続く……かと思いきや、あっさりスコアが動いた。5分、野沢とのパス交換で新井場が左サイドを突破、丁寧な折り返しにダニーロが体勢を崩しながら合わせ、ボールは左ポストに当たってゴールイン。逆を突かれた権田は動けぬまま。0-1。

東京の守備がピリッとしない中、鹿島はすいすいとスペースへボールを動かしてチャンスを作る。7分、小笠原のDFラインを斜めに横切る速いパスで興梠が抜け出してゲット、かと思われた場面はオフサイド。一方の東京は2トップへボールを集めていく。8分、中央を持ち上がった平山が左足でキャノンシュート、跳ぶGK曽ヶ端の指先を抜けたが右ポストに当たって決まらず。その後は鹿島も平山をフリーにするようなことはなく、試合をコントロールする。

13分、右→左の大きな展開からボックス前へ進出したダニーロが思い切ったミドルシュート、ポスト右を抜ける。東京は梶山が前に出てボールをさばきにかかるが、攻撃が中央に偏りすぎな感もあってなかなか鹿島の守備網を破れない。20分、ボックス右のFKから平山の撃ったヘッダーは枠外。そして21分、曽ヶ端のクリアキックが東京DFラインの裏に飛び、ブルーノを振り切ったマルキーニョスがループシュートで権田を抜いた。あっけない失点。0-2。

その後も鹿島は同じペースを保ち続ける。28分、カボレが巧みなトラップでボックスへ突入するが、判断良く前に出た曽ヶ端が抑える。35分、カウンターで平山からカボレへラストパスが通るがカバーの伊野波がカット。終盤にはようやく東京もサイドチェンジを交えて左右に揺さぶるようになるが、鹿島DFは強力なCBコンビを中心に粘り強くはね返し続ける。44分には平山の落としたボールを梶山がボレーで狙うが、枠外へ。2点差で前半終了となった。
 
 
後半立ち上がりはねじを巻き直した鹿島が前に出る。48分、左CKからマルキーニョスがヘッダーを撃つがバーの上。50分、マルキーニョスがカウンターで持ち上がった場面は徳永がかろうじてカット。一方、東京の方も前半に比べればサイドを使ってバランスよく攻める。51分、ワンツーで北斗が右サイドを突破、平山を狙ったクロスは寸前で曽ヶ端がキャッチ。その後も平山・カボレの頑張りに徳永の攻撃参加も加わって東京がCKを連取する場面も。

ペースを渡したくない鹿島は56分、興梠OUTで大迫IN。これで前線のチェイスを取り戻して落ち着いた鹿島が再びボールを支配して攻勢に。58分、小笠原→大迫→内田→野沢→大迫→ゴール前のマルキーニョスと滑らかにつながった場面は戻った羽生が懸命にクリア。60分、東京は羽生・北斗に代えて鈴木達・大竹を投入。めまぐるしい主導権争いだが、この交代も効いた。特に鈴木はキレキレの動きで精力的にボールを引き出し、攻撃に勢いをつける。

ところが。65分、中央のFKを大竹が早いリスタート、右サイド抜けた鈴木の絶好の折り返しをフリーのカボレがシュートするも、体勢を崩してふかしてしまう。さらに67分、鈴木からの速いパスでカボレがDF裏に飛び出し、前へ出る曽ヶ端も抜いたが、シュートは弱くゴール寸前でカバーの内田がクリア。この時間帯は鹿島のミスが多く、攻撃も避難的なロングボールが多くなっていただけにつけ込みたかったが……。68分、鹿島はダニーロ→中田浩の交代。

中田が入ったことで鹿島の丁寧なパス回しが復活。こうなると東京は苦しい。73分、内田のロングパス一発でマルキーニョスが抜けるが、飛び出した権田がクリア。その直後にも鹿島のカウンター、大迫のクロスがGKとDFの間を抜けてヒヤリ。そして77分、左サイドを長躯駆け上がった新井場がクロス、ニアでブルーノに競り勝ったマルキーニョスのシュートは権田が弾くものの、今野に競り勝った大迫が押し込んでゴール。完全にやられた1点。0-3。

「勝負あり」ながら、東京も意地の反撃を見せる。79分、大竹・平山のパス交換からこぼれ球をカボレがシュートするも右に外れ。84分、野沢の反転ミドルシュートがポストを直撃。85分、右サイドで縦に走った大竹がDFの間を抜いて折り返し、待ちかまえたカボレが合わせてようやくゲット。1-3。だが、反撃もここまで。終盤の近藤投入も功を奏さず、終了間際に青木のクリアミスを拾った米本の強烈なシュートも曽ヶ端が横っ跳びで止め、そのまま試合終了。
 
 

まあ、完敗である。昨年7月の、そして前回の対戦と同様に力の差を見せつけられてしまった。

鹿島アントラーズは強かった。このチームはエキサイティングな攻撃を連発するわけでもなく、手も足も出ないような堅守があるわけでもない。でも、質の高いプレーを90分間(の大部分)続ける力があるんだよね。で、相手はよほど強力ないし好調でない限りはどこかで隙を見せたり根負けしてしまう、という。点ではなくて線、あるいは面で勝負する感じか。完成度の高さが最大の持ち味であり、オートマ化の進んだパスワークにもそれは表れていると思う。

加えて、的確な采配とチームとしての対応力。この試合でも東京ペースの時間帯もあるにはあったのだが、その度に選手交代等で流れを変えられてしまい、最後は余裕を持って逃げ切られてしまった(終盤時間稼ぎをほとんどしなかったのが「余裕」の証拠)。15年間の蓄積すなわち「大人のチーム」。自前の選手と移籍してきた選手のバランスもいいし、ね。なんか褒めてばっかなのが我ながら嫌だな……(笑)。いや、でもまあ、「褒め殺し」という言葉もあるし。

しかし、伊野波はホントいいチームに移籍したな、と思う。東京時代より落ち着いてるし、いいフィードも蹴れるようになったし、ここ2年で相当に成長している様子。かなり好きだった選手だけに悔しいというか、学生時代に付き合っていた彼女が久しぶりに会うとすっかり綺麗になっていて、年上の立派なオッサンと結婚しているのを知ってしまった気分というか(笑)。

FC東京は、これで5戦勝ちなしの「トンネル」状態。この試合の1-3というスコアをどうとらえるか。2点目・3点目はブルーノのスピードのなさをマルキーニョスに狙われたもので、ある程度は仕方がないのかな、と。問題は1点目で、中村北斗を右MFで先発させたのは首位相手のアウェイ戦で守備重視の布陣だと思ったのだが、そこをあっさり崩されたのは痛かった。鹿島のようなチーム相手に、しかも開始5分で先制されてしまってはいかにも苦しい。

また、点の取れなさも相変わらず。石川不在の痛手は仕方がないとして、前半のカボレ・平山の強さに頼りすぎに見える攻撃はちょっと気になった。アタッキングサードの停滞を打破するのに必要なのは、果たして何か。選手を入れ替えるか、やり方を変えるか、じっと我慢して熟成を待つか。試合後の監督コメントを読むと3番目が基本線になりそうな感じである。それはそれでありだとは思うけれど、この試合に関してはもう少し早く動いてほしかったかな。

個々の選手では……この試合に関しては「組織」の熟成度の差とともに、1人1人の選手の仕事量の差も見せつけられたような気がするので、ちょっと東京側で良かった選手を挙げづらいのは確か。カボレは動きは良かったけどシュートがちょっと。大竹は久しぶりに良いところを見せたね。鈴木もナイスだった。ブルーノさんはスピードのなさが結果的に致命傷になってしまったけれど、あれは最初からわかっている話なので個人だけの問題ではないはずだ。

最後、近藤祐介が出てきたのはどういう意図だったのだろう……某「ライトファン」氏によれば「あれは白旗だろう」ということらしいが(笑)。城福監督の言う「小平の競争」ってのが何なのか、僕には難しくてよーわからんすよ。

さて、これで順位的にも定位置の中位に落ち着いてきたところで(降格圏とはまだ大きな差があるのがいいのか悪いのか)、そろそろ「タイトル獲得」という意味ではリーグ戦よりもカップ戦に集中した方が良いような気もするのだが、次の大分戦はホームだし、「このまま精度を高めていく」という方針からすればそうメンバーを落とすわけにも行かないのだろう。個人的には田邉でも大竹でもいいけど、今後の攻撃の軸になりうる選手を多用してほしいな、とは思う。

まあ、専用列車のおかげでカシマのスタジアムはそう遠く感じなくなったけど、サッカーでは鹿島の背中はまだまだ遠いな、と。しみじみそう思いながら缶チューハイをすすった夜だった。
 

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コメント

伊野波についてのコメント、ドンピシャで力なく笑ってしまいましたよ~。そういうのって余計くやしいっつーか、無念つーか、まぁそんな感じですね(笑)。

鹿島への電車ツアーレポートもありがとうございました。来年、日曜夜開催でなければ利用したいと思います。

サイド潰しとか良く研究されてその上で対処されちゃいました、まぁ3点目が余計でしたね…。
正直、今のままでは清水には通用しない様な気がしています。

しかし淨さん移籍かぁ…怪我も有ったけど良く東京を支えてくれて感謝です、古巣でも活躍してくださいとしか…。
吉本、大きくなって帰ってきてね。
スポンサーといい厳しい事ばかりですが2年前を思い出して頑張って欲しいですな。

>伊野波についてのコメント、ドンピシャで力なく笑ってしまいましたよ~。
東京の場合は他チームに移籍して大活躍、というパターンは比較的少ないようにも思うのですが、たまにこういう事があると「うーん、モツタイナイ」という感じですね。いや、昔の彼女ではなくて伊野波の話ですが(笑)。

>来年、日曜夜開催でなければ
近年、日曜の夜にカシマ開催が多いというのは、やはり何かの陰謀なのでしょうか……。

>怪我も有ったけど良く東京を支えてくれて感謝です
いや本当に。03年の快進撃と04年のタイトル獲得は金沢なしにはあり得なかったでしょうから。確実に「それまでの東京にない」ものをもたらしてくれた選手だと思います。

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