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2009年08月02日

●しかし最大のライバルがこんだけ強いってのは幸せなことなんだろうな (川崎フロンターレ×FC東京)


昨日の夕方は、等々力陸上競技場でJ1第20節。川崎フロンターレ 2-1 FC東京。16回目を迎えた「多摩川クラシコ」は、わずか勝点差1の4位と5位が激突する重要な対戦となった。5月の同カードで敗れている(そしてその後リーグでは負けていない)東京としては雪辱を果たしたいところだったが……試合はスリリングな攻め合いとなり、東京が得点王・石川のゴールで先制するも、後半シフトチェンジして攻勢に出た川崎が終了間際に劇的な逆転勝利。
 
 
この日の試合前は実に良い雰囲気だった。スタンドは満員の観衆で埋まり、川崎港振興協会「JOWSランド」イルカ喰われてるじゃん(笑))と前座の「多摩川子ラシコ」が特別ムードを醸し出す。歓迎アナウンスが「(翌日、東京U18が出場する)クラブユース選手権、がんばってください!」と言ってくれたのもうれしかった。川崎の運営は本当に気が利いてるよね。23日の山形戦に来場した方はバナナが1本、じゃなくて1房(!)もらえるそうな。

 
観客席の熱気も後押ししたか、序盤からテンションの高い攻め合いとなった。双方4-4-2の布陣で、中盤のパス交換からスピードのあるアタッカーを走らせてチャンスをうかがう。11分、平山の鋭いミドルシュートはGK川島がキャッチ。13分、前線で巧みにボールを収めた平山が左へ流し、DFのギャップを突いた羽生がボックスへ突入するも、シュートは川島が片手で防ぐ。その直後には川崎のカウンター、矢島のシュートを権田が横っ跳びでセーブ。

17分、右サイドを抜けた石川が速いクロス、羽生の流したボールがカボレに渡り、DFと接触して倒れたがノーファウル。21分、フェイントでDFをかわした中村憲剛が右ゴールライン際をえぐるが、今野がスライディングで止める。東京は比較的涼しい気候のせいか梶山が好調で、攻守至るところに顔を出してゲームを作る。一方の川崎は所々に連戦の疲労が見え、東京に比べると前線のフォアチェックも少ない(後から考えるとスタミナ温存だったのだが)。

いずれにせよ、攻撃が攻撃を呼ぶ形で試合はヒートアップしていく。24分、左に流れた米本から平山につないでシュート、川島がキャッチ。25分、羽生のスルーパスで石川がCBの間を割って突進、飛び出した川島が間一髪クリア。26分、ジュニーニョがひらりとブルーノをかわして左サイドを突破、クロスに矢島が飛び込むがきわどく触れず。31分には石川のミドルシュートがDFに当たって難しいボールとなるが、川島がよく反応して止める。いいキーパーである。

33分、川崎の波状攻撃となり、憲剛のパスで左サイドを突破したジュニーニョが矢島を狙って折り返すも権田が横っ跳びでキャッチ。東京にしてみれば、ベンチに温存されているレナチーニョや鄭が出る前にリードしたいところだが……37分、長友が一対一で森をぶち抜いてクロス、素晴らしいダッシュでDFを置き去りにした石川が右足トゥキック(?)で弾丸シュートを突き刺した。川島といえども止められない、目の覚めるようなゴール。さすがは得点王。1-0。

39分、失点の原因となって熱くなった森がひじうちで長友を倒して(オイオイ)強引に右サイドをえぐり、ゴール前に決定的なクロス。ジュニーニョと山岸が飛び込んだが、権田とDFの体を張ったブロックで押し込めず。長友はこのプレーでしばらく倒れ込み、騒然とした空気となる。ロスタイムには東京が連続でFK・CKを獲得し、最後は石川のクロスに今野がドンぴしゃのタイミングで合わせるも、ボールはポストの右を抜けた。頭を抱える今野。1点差で前半終了。
 
 
後半に入ると川崎が反攻開始。46分、川島のキック一発でジュニーニョがブルーノを振り切って抜け、浮かせるシュートで前へ出た権田も抜いたが、ボールはサイドネットで命拾い。51分、ボックス手前で後方からパスを受けた憲剛が反転シュート(枠外)。そして53分、山岸に代えてレナチーニョ投入。レナチーニョは右サイドに張り出してフォーメーションは4-3-3となり、攻撃意識の高さとあいまったこのシフトチェンジが川崎の攻勢を決定づけることに。

55分、右タッチ際で長友と正対したレナチーニョが追い越す森にパスを通し、森は一気にゴールライン際までえぐってクロス。ジュニーニョのヘッダーはバウンドして権田の指先を抜け、左ポストに当たってゴールイン。3トップに変更した効果(マークズレ)がいきなり得点に結びついた。1-1。その後もレナチーニョは右サイドで脅威となり、東京はDF2~3人で対処する羽目に。57分、ジュニーニョから矢島にラストパスが通った場面はカバーの今野がブロック。

東京も反撃。58分、石川が右サイドでDFを抜ききらずにクロス、平山がフリーでヘディングするがポスト右。続いて60分、平山のスルーパスでカボレがDFライン裏に抜け、川島と一対一になるもシュートを川島に当ててしまう。どちらか決めてほしかった……。以降は完全に川崎ペース。生気を取り戻した憲剛の配球で次々にいい形を作っていき、東京は防戦一方に。62分、憲剛のアーリークロスをジュニーニョが落とし、谷口の強烈なシュートを権田が弾き出す。

65分、川崎は村上OUTで井川IN。右SBに入った井川はパワフルなドリブルで右サイドの攻めを強化。対する東京は米本→田邉の交代で羽生をボランチに回し、撃ち合いの姿勢を見せる。74分、スルスルと左サイドを上がった谷口がグラウンダーのクロス、矢島の寸前で今野がカット。77分、東京はカボレを諦めて鈴木達也。赤嶺でなかったのは、前がかりの相手の裏を突きたいということだろうか。しかし、この交代は相手の攻勢を止めるには至らない。

78分、右サイドでレナチーニョ・養父との大きな三角パスで矢島がゴール前に突進するが、焦り気味のシュートはサイドネット。81分、レナチーニョのパスで井川が右サイド突破、谷口がヒールで狙ったシュートをブルーノがクリア。東京もパスを回して攻めようとはするのだが、ボックス手前からのコンビプレーで息の合わない場面が目立つ。82分には石川に代えて赤嶺を投入、鈴木はMFの位置へ。どうも東京ベンチの采配もやや空回りの印象である。

86分、憲剛の浮き球で谷口が左サイドをえぐってクロス、レナチーニョの寸前で長友がカット。東京も最後の一線で持ちこたえており、「なんとか引き分けに持ち込めれば……」といったところ。だが、迎えたロスタイム。右スローインから憲剛が入れたフワッとしたクロスは今野がはね返したものの、こぼれ球に走り込んだ谷口が強烈なミドルシュート!ブルーノに当たったボールに権田も反応しきれず、ゴールネットに突き刺さった。さすがの決定力、か。1-2。

そしてそのまま試合終了。またしても、の逆転負けである。
 
 

こちらが一歩前へ進んだら相手もまた進歩して、なかなか追いつかんのう……。

5月に対戦した時も感じたが、フロンターレはまた力をつけたな、と。以前はハマれば強いけど押し引きの柔軟性を欠くチームだったのが、今回は連戦の疲労も考慮したのだろう、前半の抑制(しかし攻撃姿勢は失わず)と後半シフトチェンジしてからの猛攻のコントラストは見事だった。ACLなどで苦労した経験がこういうところで生きてくるんだろうね。悔しいけど、シャッポを脱ぐしかない。ただ、森のひじうちみたいな「ファイトクラブ」ぶりは変わってないのね。

一方の東京も、結果はともかく内容は悲観するようなものではなかったと思う。終盤防戦一方になったのは連戦の中であえて前半飛ばした(そのおかげでリードを奪えた)結果と言えるし、今野と平山のヘディング、カボレの一対一、どれかが決まっていれば勝負はわからなかったわけだから。ただ、広島戦でも見えたように、攻め込んでからの崩しの局面でのバリエーションと精度については、上位チームとまだ差があるのが明確になってしまったようにも思う。

あと、これも広島戦と同じだけど、やっぱり試合中の采配にキレがなかった。米本を外して田邉を入れたのは「勝ちに行った」ということだろうし、まあ結果的に失点したのは仕方がない。ただ、3枚のアタッカーの投入がいずれも効果的でなく、後半半ば以降ほとんどチャンスを作れなくなってしまったのは残念だった。交代のパターン化のツケが出ているようにも思えるし、加えて今回、カボレを下げるのに赤嶺より前に、しかもFWとして鈴木を入れたのはちと疑問。

個々の選手では、梶山がよかった。後方でノーミスでボールを動かし続けて攻撃の起点となり、守備でもボール周りに顔を出しまくって味方を助けた。水曜日のナビスコ名古屋戦でもフル出場していたので「城福さん、何考えてんねん」と思っていたのだが、杞憂だったみたい。つーか、やっぱり比較的涼しかったのがよかったのか。「気温と梶山の調子は反比例する」ように思うんだけど、どうだろう。ディナモ・モスクワとかに移籍するといいのか(笑)。

あ、でも、梶山は次節累積警告で出場停止か。これで城福監督がどうするか。

石川と平山も好調を継続。どちらも自分の仕事はしっかりしている印象。ただ、平山の方はやっぱりあのヘディングシュートは決めてほしかった。カボレは駄目だった。ちょっと休んだ方が良いのかもしれない。田邉は、あの状況はまだ「荷が重い」感じか。DF陣はよく頑張っていたけど、やはりブルーノさんはスピード系のFW相手だとかなり苦しいかな、と。権田はそれまでほぼ完璧だっただけに、最後の失点は悔しかったろう。糧にしてほしいもんである。

これで今季の「多摩川クラシコ」は2連敗。昨年2勝したからおあいこのような気もするが、このままだと寝覚めが悪いのも事実である。ナビスコカップ決勝で雪辱、というのが一番良いシナリオなんだが……。それにしても、また谷口か。あのヤロー、きれいな奥さんとできちゃった結婚したばかりのくせしやがって!ちくしょう、羨ましいぞ(笑)!!
 

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コメント

スカパー見てるとCMで谷口の奥さん出てくるんですよね。
しかも最近のチューリッヒのCMちょっとエロいから羨ましさ倍増(笑)

そうそう。前から「この娘かわいいな」って思ってたから、それがあの谷口君と結婚っていうんでひっくり返ったんだよね(笑)。「ホント、抜け目のないヤツだ」(←褒め言葉)って。

>しかも最近のチューリッヒのCMちょっとエロいから
車の助手席からシートベルト外して寄ってくるやつでしょ。あれはちょっとアレだよなあ(笑)。

選手交代は、上手くいかなかったですね。

米本を代えて羽生を一列下げたため、FWが孤立したように見えました。また、守備も後手に回る場面が増えました。

田邊は、まだまだですね。止まってボールを受けたとき、前を塞がれるとドリブルに入れずモタモタした挙句取られる。技術面もありますが、判断が遅いのも一因かと。まあ、新人ですから、使った監督の責任ですが・・・。

せっかく金沢をベンチに入れていたのだから、左SBに入れて長友を前に出すのもアリかと。選手だけでなく、監督も進歩しないとトップ3入りは厳しいと思います。

>米本を代えて羽生を一列下げたため、FWが孤立したように見えました。
確かに。せっかく田邉を入れたのですが、彼が前線で勝負できるほど前がかりにもなれず、つなぎ役もうまくはこなせなかったですからね。ただ、田邉1人のせいというわけではなく、両SBが押し込まれていた(で、DFラインが下がった)ということも大きいのでしょうけど。

まあ、とにかく、監督=ベンチが持つ「手」の数も含めて、もっと対応力をつけることですね。終盤に弱いチームは勝ち点稼げないですからね。

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