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2009年07月26日

●動かなかった?動けなかった? (FC東京×サンフレッチェ広島)


昨日の夜は、味の素スタジアムでJ1第19節。FC東京 0-0 サンフレッチェ広島。石川・平山の覚醒などでリーグ戦5連勝、公式戦8連勝と波に乗る東京。今回はサンフレッチェとの後藤健生杯「日本でいちばん面白いサッカー」決定戦である。エキサイティングな攻め合い・撃ち合いが期待されるところだったが、試合は全体的にまったりとした見せ場の少ない展開となってしまい、2万8千観衆のため息が聞こえるスコアレスドロー。
 
 
この日、広島は怪我や出場停止で槇野やミキッチ、森崎が欠場。対する東京は体調不良の情報もあった今野も先発していつもの「ベストメンバー」。序盤はスローペースで、双方前からチェイスしない中、互いにパスを回して機会をうかがう。1分、羽生の浮き球で石川がDFライン裏に抜けるが、GK中林が前に出て間一髪クリア。6分、ボックス手前から石川がノーステップで強烈なミドルシュート、中林がジャンプ一番弾き出す。石川の好調さは相変わらずである。

両チームともアタッキングサードまではスムーズに運べるのだが、その先の守備網を破れない状況が続く。シュートも遠目のものが多い。特に広島は槇野不在のせいか後方からの攻撃参加がいつもより少なく、怖いストヤノフももっぱらフィード役にとどまっている感じ。17分、石川の持ち上がりから梶山がミドルシュート、当たりが悪く中林がキャッチ。19分、ボックス手前の柏木から右へ展開、高柳が縦に深くえぐった場面は米本がヘディングでクリア。

膠着状態の中、広島は全体的には引き気味ながら、時折組織的な仕掛けを見せる。24分、柏木のパスで右サイドを抜けた佐藤寿人がゴールライン際で米本をかわして折り返すが、ブルーノがカット。柏木の運動量と視野の広さにはやはり光るものがある。30分、ストヤノフから右に飛び出した李へロングフィードが通り、高柳とのワンツーで突破を狙うが戻った羽生がカット。36分にはボックス正面のFKをストヤノフが直接狙うも、権田が横っ跳びでセーブ。

対する東京も、ブルーノや大宮戦に比べると格段に動きの良い梶山を軸にパスの回りは悪くない。が、ボックス周辺までボールを運んで以降はアイデアの少なさが目についてしまう。31分、右CKからクロスにブルーノが合わせるもジャストミートせず枠外。41分には梶山がカボレに楔を入れて戻したボールをブルーノがシュートするも、DFがブロック。徳永が攻撃参加しても、無理めのクロスをはね返されるばかり。結局スコアが動かないままで前半終了。
 
 

お互いにチャンスがなくはないにせよ、全体的にはまったりした印象の試合。なので、ハーフタイム、ちとカツを入れてみた
 
 
後半、広島は高柳に代えて高萩を入れるも、流れはさほど変わらない。広島は「別に引き分けでもよい」とでも言いたげに自陣に厚い守備を敷き、東京の守備ブロックもブルーノのナイスな読みもあって機能。48分、オーバーラップした服部のクロスに寿人が飛び込んだ場面はオフサイド。52分、石川が右サイドから細かいステップでDF2人の間を抜いてボックスへ突入するも、シュートはDFがブロック。東京としてはやはりこの男か、といったところ。

56分、長友が強引に左サイドを突破、クロスをフリーになっていた石川がボレーで狙うが、中林が横っ跳びで弾き出す。この頃になるとさすがに東京もドローの危険性を感じ始めたのだろう、ペースが上がっていく。58分、右のスペースに飛び出した梶山から石川→ボックス内の平山とつなぐが、トラップが大きくシュートできず。60分、米本からボックス内の平山へ楔パス、右へ展開して徳永のクロスのこぼれ球を石川が狙うがDFにブロックされてしまう。

広島も反撃。63分、パスワークで揺さぶってから服部のクロスを高萩が落とし、寿人のオーバーヘッドキックを権田がセーブ。65分、CKのこぼれ球を梶山がミドルシュート、DFに当たってボックス内にこぼれたところに平山とカボレが殺到するが、DFが折り重なって防ぐ。69分にはカウンターから柏木が急加速で今野をかわしてゴール前へ抜けるも、シュートは権田がキャッチ。その直後には今度は東京のカウンター、石川のシュートを中林がキャッチ。

後半半ばになると東京はパスを回すもボックスへ入れず、攻撃が停滞してしまう。ドリブラーが必要に見えたが……しかし城福監督はなかなか動かない。カボレの動きが落ち、石川が躍動するスペースを見つけられず、平山が1人で仕掛けてボールを失う場面が続いても、まだ動かない。77分、徳永のアーリークロスに反応して平山が飛び込むもわずかに届かず。ようやく東京ベンチが動いたのは78分だった。羽生→田邉。残り時間はあと10分ちょっとのみ。

案の定というか、せっかくの田邉も周りが消耗してボールを運べない状態で入ったためにドリブルの開始地点が低くなり、チャンスにつながる動きは全くできず。逆に82分、広島は柏木からボックス内へ走り込む高萩へパスを通し、李からフリーの寿人へクロスが通るチャンス。ここで珍しく寿人がシュートミスし、さらにこぼれ球を拾った高萩がハンドして東京は命拾いした。東京はその後平山→赤嶺、石川→鈴木と入れ替えるが効果なく、そのまま試合終了。
 
 
いやあ、カツ効かなかったなあ(笑)。

サンフレッチェ広島は夏場の試合、好調チームとのアウェイ戦、主力の欠場といった要素を勘案したのだろう、明らかに本来の攻撃サッカーに比べればディフェンシブな(見方によっては消極的な)戦いを選択してきた。それでも、柏木を中心とするパスワークで幾度か鮮やかにチャンスを作って見せたのはさすがである。このチームは「前が見える」選手が多いんだよね。槇野や森崎の不在はサッカーファンとしては残念だが、東京ファンとしては助かった(笑)。

一方のFC東京は、別に悪い出来ではなかったし、ボールの奪取からボックス周辺までの部分は互角以上、個人の仕掛けの威力では完全に相手を上回っていたと思う。だが、残念なことに仕留めの局面におけるグループ戦術では相手チームに対して見劣りしてしまっていた。まだまだ戦術的な「引き出し」が少ないということなのだろう。これは連勝中にはなかなか見えなかったことで、今後の課題が見えたという意味ではむしろポジティブにとらえたいところ。

残念だったのは、やはり選手交代である。全般的にスコアが動きそうにない雰囲気ではあったが、特に後半半ばに攻撃が停滞した時間帯。何か手は打てなかったのだろうか。というか、あそこは狭いスペースでも決定的な仕事ができる選手、すなわち大竹だと思ったんだがなあ……交代自体が遅れた上に、これまでのパターンをなぞるような人選。連勝中だけに「変える」ことに躊躇したのかもしれないが、停滞した状況を打開できる采配には見えなかった。

いずれにせよ、「日本でいちばん面白いサッカー」の称号は来年以降に持ち越しかな(笑)。

選手では、ブルーノさんがナイスな読みとボールさばきでチームに落ち着きをもたらしていたのが光った。長友は虫垂炎が完治してないらしいけど、それであれだけ動けるのは凄い。中盤では梶山が良かったが、羽生は消えてしまっていた。石川は「彼がボールを持つと何かが起こる」雰囲気継続中。平山はよくボールを収めて頑張っていた。最後は、カボレ交代だろう!田邉はボールを持つ位置が低すぎて可哀想だった。大竹と赤嶺は腐らなければいいけど。

まあ、連勝なんてのは当然ながらいつかは止まるわけで、多摩川クラシコや鹿島戦で負けるよりはここで引き分けておいてよかったかな、と、強がってみたりして(笑)。上のチームもみんな勝点を落としてくれたのはラッキーだし。次はナビスコ準々決勝2ndレグか。その後中2日で川崎戦が待っていることを考えれば、いかに選手の消耗を防いで4点リードを守りきるか、という戦いになるはず。でも、「代わりがいない」梶山は先発しちゃうんだろうなあ……うーむ。
 

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コメント

監督は先制されるのを怖がっているのかな?と。

広島の運動量が後半に落ちるのは浦和戦でもそうだったので、そこを勝負処にって采配を期待したのですがね(笑)

バックアップを充実させる為には先発の入れ替えも考えるべきかとも思います、勝負したい時に羽生さんがお疲れ様状態だときついなぁ…。
ナビスコはベストメンバー規定(笑)とかが足枷になるのかしら?orz

広島をあれだけ押し込めたのは、東京の進歩だと思います。が、ガチガチに守る相手をチームの連係で崩すところまでは行ってなかった。
進歩して、初めて次の課題が見つかった訳で、貴重な経験だったと思います。

まあ、前で起点、戻して前を向いた石川がシュートという形も出来ていたし、内容は良かったと思います。
更に徳永・米本も黄紙をもらわずクラシコに出られるし、前向きな気分になれるドローと個人的には思っています。

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