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2009年07月19日

●浦和と川崎の背中が見えた (大宮アルディージャ×FC東京)[訂正あり]


昨日の夕方は、NACK5スタジアムでJ1第18節。大宮アルディージャ 0-3 FC東京。ナビスコ杯決勝ラウンドとの「かけもち」のため、暑い季節にも関わらず厳しい日程となった7月の東京。今回は中6日のアルディージャに対し、7日間で3試合こなす状態で迎えた「ハンディ付」マッチである。案の定お疲れの内容ではあったが、いよいよ覚醒が本物らしい大型FWの活躍で東京が3点を奪って完勝。上位チームにググッと肉薄する結果となった。
 
 
この日はバックスタンドで観戦したのだが、席に着いたらいきなり目の前をセグウェイ(スポンサーは日高屋)に乗ったアルディくんがバビューンと横切っていったので驚いた(笑)。一番前の席に座っていた東京ファンが柵のところにドロンパのぬいぐるみを置いていて、アルディ君は見つけて頭をなでてくれましたな。ミーヤちゃんとも相変わらずラブラブのようで何より。蒸し暑い季節ですが、コア・ブロックも水分補給に気をつけて頑張ってください。

 
キックオフ。立ち上がりは両チームとも高い位置に3ラインの守備網を敷き、狭いエリアでのボール争奪戦が続いた。5分、梶山のパスミスから大宮のカウンターとなるが、石原からドゥドゥを狙うラストパスが弱くて助かった。7分、ブルーノのパスカットから前線につなぎ、石川がボックス手前から左足で強烈なミドルシュート、GK江角横っ跳びでかろうじてはじく。このプレーを契機に東京が押し込む形になり、ボールを左右に回しながらチャンスをうかがう。

12分、梶山のロングパスでカボレが抜けるが、GK・DFに寄せられ逸機。18分、右FKから大宮陣ボックス内で混戦となり、徳永・平山がシュートするもいずれもDFがブロック。大宮はなかなかボールを前に運べないものの守備陣は健闘しており、東京も梶山のパスさばきが不安定で盤石とは行かない。20分、ブルーノと梶山の連携ミスから大宮のカウンターとなるが、内田のクロスは幸いFWに合わず。24分にはCKから平山のヘッダーを江角がキャッチ。

前半半ばを過ぎると連戦の東京は疲れが出たか早くも動きが落ち、攻撃の動きが連動しなくなるとともに大宮がボックス付近まで攻め寄せる場面が増えた。ただし、東京DF陣は的確な読みで大宮2トップへのパスを遮断し、ほとんどシュートは撃たせない。34分、藤本が思いきったミドルシュート、バーのわずか上を抜けてヒヤリ。37分、CKから東京のカウンター、米本→左のカボレ→右の石川ときれいにつながるが、最後のクロスが羽生に合わず残念。

均衡が破れたのはロスタイム。大宮がほとんど味方と絡めないドゥドゥを下げてソ・ドンヨクを投入した直後、ロングボールを平山が落として跳ねたボールをカボレがまた落とし、羽生からボックスへ走り込む平山へラストパス。平山が迷わず右足を振り抜いてシュートをゴール右隅に突き刺した。平山はシュート体勢に入るまでが少し遅いけど、脚の振り自体は速い。大宮は交代のタイミングがやや悪かったかもしれない。1-0。いい流れでハーフタイムへ。
 
 
後半に入ると大宮が前がかりで来た。いきなりボックス内でボールを拾った藤本から内田にパスが通るピンチ、徳永がボールをかきだす。47分、羽生の反転パスでカボレが左タッチ際を突破、速いクロスに石川が飛び込むがDFが懸命に競ってシュートできず。50分、波戸のオーバーラップからクロスのこぼれ球をソが強烈なミドルシュート、権田がのけぞりながらはじき出す。60分、ポゼッションで押し返したいのだろう、東京は羽生→田邉の交代。

東京は守→攻の切り替えが遅く、平山を狙ってロングボールを蹴ってはこぼれを拾われて大宮の攻勢を許してしまう。せっかくの田邉にもほとんどボールが渡らない。ただし、大宮も攻め込みはするのだが、内田のクロスがFWの頭を越えてしまうなど勝負プレーの精度に問題があった。62分、米本の捨て身タックルから平山がつなぎ、カボレがボックスへ突入するもシュートは江角が指先でセーブ。65分、大宮は内田に代えてFWの土岐田を投入。

1点差で押し込まれ気味の展開、東京としてはセットプレーに活路を見出したいところである。66分、平山のドリブル勝負から右CK、ブルーノが頭で叩くもバーを越えてしまう。しかしこの場面でブルーノはどフリーであり、大宮の守備には問題があった。そして71分、右CKからブルーノが今度はボレーシュート、バウンドしたボールはジャンプする江角の指先を抜けてバーに当たり、はね返りを今野が頭で押し込んでゲット。よし!という感じ。2-0。

これで東京は楽になった。73分には連続得点記録のかかる石川がミドルシュート、江角の正面。大宮は一層前がかりとなるが、効果的なプレーは少ないまま。77分、金澤のクロスに土岐田が飛び込むが寸前で田邉がカット。さらにCKで速いクロスがマトの足下に落ちるも、トラップが大きく権田が押さえる。東京はカボレに代えて赤嶺登場……かと思いきや、近藤祐介。一方の大宮は金澤→斉藤。ここら辺、両チームとも意図がよくわからない。ベンチも夏バテ?

その後はやや弛緩。東京は石川→鈴木と交代、近藤は走れずキープできずでスタンドの不興を買ってしまう。85分、ソがドリブルでボックスへ突入するもカバーの長友がクリア。ロスタイムには平山が得意のキープで締めるかと思いきや、突如鈴木がドリブルで上がり、スルーパスに反応した平山がスライディングシュートで江角の脇を抜く。なるほど、そういう締め方もあったか(笑)!3-0。最後は土岐田がヘッダーを外したところで試合終了の笛。
 
 

これでいよいよトップ3への挑戦が見えてきたかな、と。

この日の東京はやはり夏場の連戦ということもあり、また3連戦でスタメンを全くいじらなかったせいもあり、やはり全体的に動きは重く、ボールホルダー以外のフォローや動き出しが遅いために軽快なパスワークは少なかった。だが、それでも堅牢な守備を武器に相手の攻撃を封じ、ここぞという場面で力を出して3点をもぎとるあたりが今のチームの充実ぶり、ということなのだろう。少なくとも、やや迷走気味にも見える今の大宮に負ける気は全くしなかった。

MVPは、3日前に引き続いて平山。自らハイボールを落としてから「第3の動き」としてゴールへ向かった1点目、飛び出すGKの鼻先で触った3点目。いずれも以前はあまり感じられなかった「鋭さ」に溢れていた。相変わらずの着実なパスさばきやハイボールに体を張る姿、加えてバテ気味のチームの中で味方のフォローに回る献身性も目立っており、今や攻撃の大黒柱である。心なしか表情もピリッと締まっているような。たくましくなったもんだ。

今回はDF陣も素晴らしかった。大宮のパスワークに工夫が欠けていたせいもあるにしろ、前線に入るパスに対する読みが良く、たびたびパスカットでピンチの芽を摘むとともに攻撃の起点となっていた。攻撃はある意味「水もの」であって当てにならないところがあるけれど、守備がしっかりしているチームは崩れることがない。頼もしいことである。まあ、2点差がついて「勝負あり」になった瞬間に徳永の気が抜けた(ように見えた)のには笑ったけど(笑)。

MF陣は微妙な出来だったろうか。石川は仕掛ける際のキレ味が凄まじく、連続得点は途切れたが確変はもうちょい続くかな、と。梶山ははっきり悪かった。今のポジションは何よりミスをしないことが求められるはずなのに、軽いプレーがまた増えてきた感じ。金沢の負傷で台所事情は苦しいにせよ、今後何からの手当が求められるだろう。また、梶山不調の際に攻守の繋ぎ目を確保するという意味では、この試合の羽生の交代はやや早すぎたかもしれない。

可哀想だったのはブーイングを浴びてしまった近藤祐介で、コンディションもあまり良さそうではなかったし、どういう役割を与えられているか本人が理解しているようにも見えなかった。どうして赤嶺ではなく彼が出場しなければならなかったのだろう?城福監督にしてみればチャンスを与えたかったのかもしれないが……元々過大評価されがちな選手でもある彼が、手の平を返したように冷たいスタンドの反応を浴びるのは逆に少々気の毒に思えてしまう。

まあ、ともあれ、チームはこれでリーグ戦5連勝、公式戦8連勝(!)である。同じ日に試合をした鹿島・川崎・新潟が引き分け、浦和が負けてくれたので、上位との差はグッと近づいた。まあ鹿島との差は今考えても仕方がないように思うけど、ACLは十分射程圏内である。とりあえず、次の広島戦を確実に勝って(あのイケイケおバカ攻撃はちょっとやだなー)、待ってましたの多摩川クラシコに新記録の7連勝と2位浮上をかけるのが最高のシナリオ、かな?

つーか、その8月1日の多摩川クラシコの際も相手は中6日、こちらは(←下記[訂正]参照)水曜日にナビスコ準々決勝第2戦を戦う日程になるわけで、次の3連戦こそある程度のローテーションは避けられないだろう。何しろ、相手は川崎である。疲労困憊の梶山のミスパス先が中村憲剛や谷口で、その前を走るのが鄭・ジュニーニョ・レナチーニョだと考えたら……ねえ(笑)。


今回は昨年に続いて2度目のNACK5スタジアム観戦だった。ピッチは無茶苦茶近いし、そびえ立つゴール裏スタンドは雰囲気があるし、アルディくんとミーヤちゃんは可愛らしいし、選手紹介のBGMは『特攻野郎Aチーム』だし(笑)、いいスタジアムだとは思う。ただ、やっぱり狭いんだよね。収容人数も物足りない感じだけど、座席と座席の間とか通路とかゆとりがもう少しあればなあ、と。ロケーションも決して悪くないだけにちょっともったいない感じ。

あと、試合前にアルディージャジュニアチームの全国大会出場の壮行式があったのだが、とてもいい感じだったね。礼儀正しく「きをつけー、れーい!!」ってお辞儀して。いかにも日本の小学生というか、まるで田舎の子みたい。あ、田舎か。
 
 
 
[訂正]
上で多摩川クラシコの川崎戦について「相手は中6日、こちらは水曜日にナビスコ準々決勝」と書いたのですが、コメント欄でもご指摘いただいたように、よく考えたらフロンターレもナビスコカップがあるんでしたね。完全に勘違いしてました。本文で偉そうに「ベンチも夏バテ?」とか書いているくせに、それ以前に村田本人が夏ボケしていたという(笑)。大変失礼いたしました。まあ「川崎戦こそ中盤でのミスは致命傷」という危惧は変わらないんですが。
 

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コメント

浦和と川崎の背中は見えたんですが新潟は眼中ナシですか?(笑)

等々力のサテライト戦を観戦して来ました。
近藤は、前半30分に鈴木達也に代わり出場。赤嶺と2トップを組ました。

内容は、残念ながら大宮戦と大差ありませんでした。
中盤を川崎に支配され気味だったこともあり、近藤に縦パスが入ることも少なく、60分で見せ場は、右クロスに飛び込んでGKと激しく接触し黄紙をもらった場面と、ライン裏に飛び出しGKと1対1になるもシュートを外した場面の2回。

それ以外は、前線中央に張るだけで運動量も少なめ。以前の平山のような状態と思われます。もっと特長を出さないと、今後ベンチ入りは困難かと。

川崎さんもナビスコありますよ

>新潟は眼中ナシですか?(笑)
いや、開幕戦でチンチンにやられたように、決して侮っていい相手ではないとは思うんですけど、対抗意識からしたらまずは浦和と川崎かな、と。どっちにしろとりあえずの目標は「3位以内」でしょうから、まずはその2チームを抜いてほしいということであります。

>もっと特長を出さないと、
近藤君に関してはそこが問題ですよね。戦術との相性や監督の使い方の問題もあるのでしょうが、今のままだと彼の強み・持ち味(そもそもそれが何なのか、も問題ですが……)が発揮されないまま中途半端な選手で終わってしまうような。

というか、赤嶺にしても同じことが言えますが、もし今のFC東京というチームで力が発揮できないとどこかの段階で見切れるのであれば、移籍も有力な選択肢になるのでしょう。私はそれを「逃げた」などとくさすつもりは全くありません。

>通りすがりさん
どうもご指摘ありがとうございました。まったく、「ACL組はナビスコ免除」みたいな思い込みが強すぎましたわ。数日前に名古屋と準々決勝やったばかりなのにね(笑)。

>祐介
不幸だったのは中盤を支配されている状態だったので「何時もの祐介」状態での評価に成ってしまった所か?
(本人も自分が投入と思って無かったのでしょう)
久々に祐介を見れるワクテカ状態→空回りすらしてねーぞ、危機感有るのか?(ちと母親的な心配w)
鯱戦で赤嶺だって切り替えてキープに徹してたのに!って所じゃないかと。
サテもレポートされてる昨今、正直、もう少し汎用性が高くないと運用が難しいぞ、頑張れ~としか。
ttp://ameblo.jp/baba-yuta/
この人も頑張れ。

まぁ順番的にまず多摩川クラシコ、浦和の先制された後の穴熊サッカーを敗れるのか?って所でしょうか。

直が意識していないって時は逆だなw

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