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2009年07月13日

●「ダヴィだこりゃ」byピクシー改めミスター (FC東京×名古屋グランパス)


昨日の夜は、味の素スタジアムでJ1第17節。FC東京 3-0 名古屋グランパス。今年のリーグ戦も早くも折り返し地点。芝の貼り替え工事のため1ヶ月半ぶりとなったホーム味スタに迎える相手は、今月ナビスコカップ準々決勝と合わせて3度対戦することになるグランパス。夏場らしいややまったりとした流れになった試合は、「いつも絶好調」男の先制弾など、要所で好プレーが出た東京が3得点の快勝。これから始まる連戦に向けて弾みをつけた。
 
 
真夏に差しかかる時期だけあって、立ち上がりはややスローなムード。ともに高いDFラインを保ち、新しい味スタ芝への戸惑いもあるのかパスをつなごうとしてつなぎきれず、ダヴィや平山を狙う縦パスが増えていく。そんな雰囲気を切り裂いたのはまたしても石川だった。3分、左からのパスを受けざまにターンしてボックス正面に切れ込み、DF3人に囲まれながらシュート!楢崎の横っ跳びも届かずゴール右隅に突き刺さった。ドリブルシュートのお手本だ。1-0。

先制された名古屋はポゼッションを高め、左右へ大きく回すおなじみのサイド攻撃が見られるように。16分、ロングパスでDF裏に抜けた小川がシュート、権田がキャッチ。20分、阿部のクロスに小川が頭で合わせたがバーの上。25分には権田がブロックされてCKをかぶるも、フリーでいた名古屋の選手が重なってしまい命拾い。東京はパス攻撃で対抗しようとするが、局面でのフォローの遅さが目立ち、ボランチより前になかなかボールが進まない。

そんな時に頼りになるのはやはりこの男。27分、石川は右サイドでパスを受けると迷いなく中央に切れ込み、左足でシュート!わずかに外れたが、これでチームに活が入った。29分、オーバーラップした長友のミドルシュートがポスト左を抜ける。30分、石川が中央を突進、DFを引きつけてからフリーのカボレにラストパス、カボレがもたつきながら撃ったシュートを楢崎が好捕。この間に名古屋もクロスはあげるのだが、増川がヘッダーをふかすなどして逸機。

東京の追加点は34分。カウンターの流れの中で平山が振り向きざまに右サイドを追い越す石川へパス。石川は一気にボックス内まで持ち上がってからマイナス方向に折り返し、走り込む羽生のシュートは楢崎が一旦は弾き出したものの、詰めていたカボレが押し込んでゲット。スピード感満点のいい攻撃だった。2-0。その後は東京がネチネチとしたパス回しで時間を使い、ミスも散見されたものの、吉村のミドルシュートは権田が止め、2点差のまま前半終了。
 
 
後半の初めはやや膠着気味。吉村OUT巻INで攻撃を強化した名古屋だが、パスは回せど東京のブロック守備を崩すには至らない。一方の東京は攻め急がず、焦らすように回しているうちに呼吸が合わなくなって攻撃が終わってしまう(笑)。54分前後には名古屋が連続してクロスを入れるが、いずれも権田がパンチングではね返す。56分、カボレが左サイドを深くえぐってから内を追い越す長友へラストパスを入れるも、トラップが大きくシュートできず。

63分に両チームが動き、山口→花井、羽生→田邉とそれぞれ交代。65分、こぼれ球を拾った田邉がドリブルでスルスルっと持ち上がり、DFの間へ走り込んだカボレへラストパスを通すが、シュートを楢崎が片手で弾き返す。さすがの反応である。69分、名古屋は闘志が空回りしていたダヴィを諦めて杉本投入。名古屋の攻撃が加速する。73分、東京DFのマークが混乱して田中隼に深くえぐりこまれるピンチ、グラウンダーのクロスを何とかクリア。

勢いづいてサイドから押し寄せる名古屋に対し、東京はカボレ・平山が孤立。「1点とられたら……」という空気も。76分、田邉のパスで左サイドを抜けた長友がクロスを入れ、飛び込んだ石川がつま先で合わせたシュートを楢崎がきわどく押さえる。しかし、東京の得点こそならなかったものの、このプレー中に名古屋の花井が肩を痛めて退場するアクシデント。既に交代枠を使い切った名古屋は10人になってしまった。東京は石川に代えて鈴木を投入。

それでも名古屋は踏ん張り、80分、杉本とのパス交換で飛び出したマギヌンがボールを浮かしながら米本・ブルーノをかわしてゴール前へ突入、梶山と長友のカバーで何とか事なきを得る。さらに直後のCKでは権田が巻と交錯してファンブル、マギヌンが頭で押し込もうとするも枠をとらえられない。ここら辺は冷や汗ものであった。8東京はカボレOUTで赤嶺IN。無理に前がかりになっている名古屋の背後のスペースを狙い、たびたびカウンターの形を作るように。

ところが、幾度もチャンスを得ながら、判断ミスなどから逸機が続いてしまう。88分、左サイドのスペースに抜けた赤嶺が狙いすましたラストパス、平山が止めきれずボールは枠外に転がり出る。90分、ボックス手前のFKで小川がシュート、ワンバウンドのボールを権田が弾くが名古屋アタッカーは詰められず。ロスタイム、右サイドから斜めに切れ込んだ鈴木のミドルシュートが楢崎の手を弾いて決まり、ようやく3点目が入った。3-0。そして試合終了の笛。
 
 

いまいち締まらないところもあったけど、3-0で勝って文句を言っちゃいかんか(笑)。

上にも書いたように、この日は決定機につながる鮮やかなパス交換があったかと思えば、一方では局面での判断ミス(特に終盤の数的優位の時間帯において)や雑なプレー、集中力を欠いたとしか思えないパスミスもあり、全体的にはさほど良い内容とは思えなかった。それでも快勝となったのは、もはや「絶好調」が常態となりつつあるジーザス石川が決定的な仕事をしてくれたからだ。チームとしては浮かれずまだまだ積み重ねていかなければならない。

あと、守備の方で気になったのは、3ラインを保てずに主に梶山、時には米本までもがDFラインに埋没してしまうシーンがけっこうあったこと。ここ数試合見られる傾向だが、サイド攻撃主体の名古屋が相手だと特に顕著であり、マークの混乱にもつながっていた。「引いて守る」意識が強くなりすぎているのだろうか?名古屋がミドルシュートをあまり撃たなかったこと、ヘディングシュートの精度が低かったこと(ケネディがいなくて良かった)には正直かなり助けられた。

まあ、ここら辺については、試合後の会見を見る限り、ファンがとやかく言うまでもなく監督はわかっているみたいだけど。

個々の選手では、やはり石川か。これで5戦連続ゴールで得点ランクもなんと1位タイ!である。先制の場面は「あ、コースに乗ったな」という感じで、ボールがゴールインしてももはや何の驚きも感じなかった。凄いね、ホント。他の攻撃陣では平山はできることを着実にやって、カボレは最低限の仕事をした、という感じか。鈴木の得点は積極性の賜物。赤嶺は、動きはキレているだけに、本人は悔しいだろうね。これが最後の出場にならなければよいのだが……。

米本は相変わらず頑張っていたし貢献度は高いが、ミスも多かった。もうちょい視野が広がるといいんだけどね。梶山は目立つとか地味とかいう以前に、この日は特に守備では寝ぼけていた印象。時折見せるキープとフィードはさすがだったが。4バックはおおむね及第点という感じだろうか。ちょっと残念だったのは権田で、序盤にダヴィにラフプレーまがいのチャージを受けてからハイボール処理が不安定になってしまった。これも経験、ということかな。

ということで、7月の対名古屋3連戦(笑)初戦、まずは先勝である。名古屋もダヴィが空回り(というか周りの選手との温度差が……)していたり、マギヌンが変に熱くなったりと雰囲気はあまり良くなさそうで、ストイコビッチ監督もあまり策を弄してくるタイプではなさそうだから、次も普通にやれば勝てるんじゃないかと勝手に予想しちゃったりなんかしたりして。おニューの超合金ロボことケネディもまだ出られないみたいだし。つーか、また石川がやってくれるだろ!!
 
 
新装なった味スタの芝については、ボールの走りは悪くない(というか思ったより良すぎて選手が追いつけない事が何度か)のだけれど、やたらバウンドが高くなるのと、あと足を滑らせる選手が多かったのは気になった。選手が新しいアレンジに慣れていないからなのか、芝の定着がまだ完全でないということなのか、それとも何か別の原因があるのか。いずれにせよ、せっかく味スタが大枚はたいてくれたピッチ改修である。うまく行ってほしいもんだと思う。
 

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コメント

名古屋は広く使う様にしていたみたいですね。
日本人で来られた方が厳しかったかな?
(水曜日は入れ替えするみたいですね)

三点目が早く取れていればもう少し楽が出来てたでしょうが(贅沢か?)

赤嶺残留確定で飛ばし記事のスポニチざまぁ(笑)

石川無双とか石川はチートとか言われるとにやけてしまいますね(笑)

水曜日もガッツポーズをお願いします監督。

「誰かがボールを奪いに言ったら誰かがそのポジションを埋める」

簡単なコトですが今の東京はそれがしっかり出来ていますよね。過信は禁物だけど、今の強さは自信にして良いと思います。おかげでスタジアムから帰る足取りの軽いこと軽いこと♪w。あぁ楽し。

>三点目が早く取れていればもう少し楽が出来てたでしょうが(贅沢か?)

いやいや、おっしゃるとおり、昨日は3点目をもっと早くとって試合を終わらせなければいけなかったと思います。「相手が10人になると難しい」というのはあくまで同点か相手リードの場合であって、名古屋は10人なのに前がかりにならなければならない状況で、DF周りにはスッカスカのスペースがありましたから。

どうやら残留ということになりそうな(良かったですね~)赤嶺が一発決めてくれれば非常に嬉しかったんですけどねえ。


>「誰かがボールを奪いに言ったら誰かがそのポジションを埋める」

シーズン当初の守備崩壊状態に比べれば、自陣でボックス形成の意識→ラインコントロールの再整理→DFやボランチが攻め上がった際のカバーの約束事、と順調に進歩しているように思えます。石川のおかげで攻撃が目立ってますが、やはりベースは守備ですからね。

ただ、本文でも書きましたが、ちょっと引く意識が強すぎて、3ラインが保てずマークが混乱するような場面も見られたのは気がかりです。決して、名古屋にもチャンスがなかったわけではありませんから。まあ、そこら辺も、また修正していってくれれば問題ないでしょうけど。

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