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2009年07月05日

●東京のクリロナ(笑) (ヴィッセル神戸×FC東京 テレビ観戦)

土曜日のJ1第16節はe2 by スカパー!の録画でテレビ観戦。ヴィッセル神戸 0-2 FC東京。リーグ中断を挟んでメキメキと調子を上げてきた東京。今回はインフルエンザ禍に大久保の復帰、カイオ・ジュニオール監督の辞任と、激動のシーズンを送るヴィッセルとのアウェイゲーム。前半から試合をうまく運んだ東京の攻撃力がハーフタイム明けに爆発、石川・カボレのダイナミックなプレーで連続得点を奪い、そのまま2点差で完勝を収めた。
 
 
前半立ち上がりから、前がかりの意識が高かったのはホームの神戸。早い守→攻の切り替えからボッティの配球でアタッカー陣がDFライン裏を狙う。7分、大久保のミドルシュートがゴール右上を抜ける。17分、大久保の浮きパスで我那覇がブルーノの背後に出たシーンは権田が思い切りのよい飛び出しで防ぐ。だが、東京は落ち着いて3ラインの守備をしき、前線へのパスをシャットアウト。攻勢が続かない神戸は次第に攻めあぐむ姿が目立つように。

一方の東京は効率的にチャンスを作る。最初は平山の巧みなボール処理から少人数で、前半半ばを過ぎるとパスも回り始めて押し込むように。23分、神戸陣でパスカットした石川が鮮やかなステップでDFを振り切って突進、ラストパスを受けた平山のシュートをGK榎本が横っ飛びでセーブ。41分には平山の落としから石川が強烈な反転ボレーシュート、榎本が何とか弾き出す。他にもいくつか好機があり、なかなかよい感触でハーフタイムへ。

 
後半、いきなり今野の好フィードから石川が右サイドを疾走、切り返して撃った強シュートを榎本がCKへ逃れる。東京は梶山・米本が前半より積極的に攻撃へ絡み、ボックス付近での攻勢が続く。50分、平山の落としからカボレが突っかけ、左へはたいたボールを羽生が中へ折り返す。ボックス手前で受けた石川はDFに囲まれかけたところで左足一閃、ドライブしたボールが跳び上がる榎本の指先を抜けてゴールへ飛び込んだ。ビューティフルゴール!1-0。

先制後も東京ペースは続いた。平山がドリブルで仕掛け、羽生が神出鬼没の動きで攻撃をつなげ、米本は無尽の運動量で神戸の逆襲を許さない。51分、米本のミドルシュートがバーの上を越え、53分にはスローインを受けたカボレがボックス内でシュート(榎本セーブ)。そして55分、羽生のスルーパスでカボレがDFライン裏に抜け、飛び出した榎本をかわしたカボさんは難なく無人のゴールへ蹴り込んだ。2-0。これで早くも勝負あり、という感じか。

2点差をつけた東京は無理せずバランスを保ち、ゆったりしたパス回しを交えて試合を支配。62分、徳永のクロスをファーに流れた羽生がシュート(枠外)。68分、長友と石川がたて続けに強烈なミドルシュート、いずれも榎本がセーブ。76分にはカウンターから人数3対1の絶好機も、これは石川がふかしてしまった。神戸のチャンスは、石櫃の直接FKがポスト左を抜けた場面くらいだったろうか?東京は羽生・カボレ・米本を休ませながら、そのまま逃げ切り。
 
 
シュート数19対4。FC東京の完勝であった。前半途中までは互角の戦いに見えたし、メンバーの能力値からすればそう大きな差もないように思える2チームだが、それがこれほど一方的な試合になってしまうのだからサッカーというのは恐ろしい(そして面白い)。

結果を分けたのは、両チームのコンディションと熟成度の差だろう。絶好調男(と書くと中畑清みたいだな(笑))石川を擁し、カボレ・羽生らもコンディションを上げつつある東京に対し、神戸は大久保をはじめとして幾人かがトップフォームにないように見えた。また、春以来のやり方がチームに根付きつつある東京に比べると、攻守のところどころに見え隠れする連携の不足は神戸が「チーム作りの途中で放り出されたチーム」であることを示していたと思う。

東京はこれで公式戦5連勝。内容的に進歩を見せる中でこの結果は、チームに大いなる自信をもたらしてくれるだろう。もちろん、時折見られる凡ミスやMFのポジショニングなど課題は多いのだが、全体としてのベクトルは間違っていないように思う。ホント、前に急ぎすぎなくなったのは良い傾向だ。スペースがある時はアタッカーのスピードを生かして、そうでない時は回して穴を作る。文字にしてしまうと簡単な話なんだけど、それができなかったのである。

あと、この試合の奥谷主審は比較的「流す」傾向の強いレフェリングだったので、(特に後半の初めの方は)各所で激しいボール争奪戦が繰り広げられたのだが、そんなガチンコ勝負の多くで東京の選手が勝っていたのも見逃してはなるまい。監督交代後初の試合だった相手に気迫負けしている様子がなかったのはとても頼もしいことだ。

個々の選手では……石川が素晴らしかったのは言うまでもない。左右の足で持ちかえながら次々と飛んでくるタックルをかわして決定機を作った前半23分のドリブル。先制ゴールを含めて3本、いずれも猛スピードで枠に飛ばした左足のキャノン砲。もうキレキレどころか、彼が仕掛けると相手DFがパニック状態でワッと寄ってくるのが見ていて笑っちゃうくらい。なんつーか、これで無回転FKでも蹴ることができたらクリスティアーノ・ロナウドの域だよな。

他のアタッカーも概ね良かった。平山は足下はもちろん、意外と使えなかった頭での落としも上手くなってきた。カボレも次第に動けるように。羽生は他の3人を生かすための潤滑剤としての役割をきちんとこなしていて好印象。米本は中盤のボール争奪戦を制圧したにとどまらず、幾度か効果的な攻撃参加を見せていた。梶山は地味にやってるなあ、という感じか。交代選手では、鈴木や金沢はともかく赤嶺にあの起用法で「結果出せ」というのは無理だわなあ。

DF陣で光ったのは今野。守備範囲の広さ、人に対する強さに加えて、ポジションを1つ下げたことで前がよく見えるようになったのか、MFの頃よりフィード能力が高まっているように見える。ブルーノさんとのコンビも良い感じで機能しているし。両SBは攻撃でおとなしめだったが、前がうまく行ってる時はそんなもんだろう。つーか、これでSBの控えに椋原、今野の控えに平松、ブルーノの控えに佐原とすると、2番と8番は……そろそろかな、という気が。

さて、次は1ヶ月半ぶりの味スタで名古屋との対戦である。すぐ後に同じ相手とのナビスコカップも控えているので難しいところもあるかもしれないが、とりあえずは今のサッカーがどれだけ上位に通用するかを見てみたい……って、名古屋って今9位なのね。じゃあ、8月の多摩川クラシコまで「下位チーム」に取りこぼし禁止!ということで(笑)。
 

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コメント

>東京のクリロナ
性格はこっちの良い男の方が段違いな気も(笑)

神戸は偽ポゼッション時代の癖が抜けずカウンターの切り替えが去年とは段違いに遅かったですね。
カイオ=ガーロ説が出るのも頷ける気も。(それぞれの気の毒な面は除外してですが)

まだ新生東京は何も成し遂げてませんが、、ここまで出来るのにも東京も時間は掛かりましたよね。

この数試合、徳永のポジショニングに注目しています、中への絞り方、ボールの受け方等、このサッカーに必要な要素が有る気がします。

ナビスコは二回戦えるのは良いですね、カボレさんが怪我をしない事を祈りつつ。

>性格はこっちの良い男の方が段違いな気も(笑)

クリロナはあまり婿にしたくないタイプですね(笑)。

>この数試合、徳永のポジショニングに注目しています

徳永、良くなってますよね。守備時の読みや動き直しなんかで時折「おい!」という場面もありますが、集中できてる際には全体のバランスを考えてプレーできるようになったような感じ。

元々、身体能力は抜群の選手ですから、これで化けてくれれば楽しみです。

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