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2009年05月03日

●石川!石川!!石川!!! (FC東京×大宮アルディージャ)


昨日の夜は、味の素スタジアムでJ1第9節。FC東京 3-2 大宮アルディージャ。ともに8節終了時点で勝点9と、シーズン前の意気込みとは裏腹に下位に沈む両チームの対戦。序盤からユルい大宮ディフェンスの穴を突いて攻勢に出た東京が石川の大活躍で3点を奪うも、大宮もセットプレーで反撃して僅差のゲームに。最後は東京がパワープレーをしのぎきって逃げ切り、残留争い(というには早いけど)から一歩抜け出す勝点3をものにした。
 
 
前節ガンバに大敗した東京はスタメンにかなり手を入れてきた。CBは負傷の佐原に代わって今季初登場のブルーノ・クアドロスと、一段下がった今野。ボランチは米本とやはりポジションを下げた梶山が組み、羽生は久々に攻撃的MFの位置へ。後方は厚みを持たせながら「射手」を並べ、前線は軽快で機動力の高い選手で固めた印象である。ただし、3トップではなく赤嶺・カボレの2トップとして、石川は羽生と並ぶ高さに位置したのが特徴的だった。

布陣変更が功を奏し、序盤から東京がペースを握る。開始直後、左CKから赤嶺がきわどいヘッダー。4分、ロングボールをカボレが頭で落としたところ対応したDFが足を滑らし、こぼれ球を拾った赤嶺が左サイドから斜めに切れ込む石川へラストパス。石川は迷わずゴール方向へ突進してからシュート、見事ゴール右隅に突き刺さった。電光石火の先制点。1-0。6分には右タッチ際を疾走したカボレが逆サイドの赤嶺を狙ってクロスを入れるも、惜しくも届かず。

大宮が守備でプレッシャーをかけられない中、東京は長短のパスをバランス良く織り交ぜて攻め込んでいく。高いDFラインの裏を突くブルーノのロングパス、梶山の確実な配球、そして楔を収める赤嶺と、入れ替わりながらDFの穴を探る石川と羽生。10分、赤嶺への楔からボックス前でせめぎ合いとなり、こぼれ球を羽生がミドルシュート、きわどくポスト左。18分には赤嶺がはたいたパスで石川が右サイド突破、クロスがカボレに通るがシュートはGK江角がブロック。

東京は守っても自陣に引き込んでから捕まえる守備が機能、なかなかペースを相手に渡さない。23分、ブルーノのロングパス一発でカボレが飛び出しボックスへ突入するも、シュートはポスト右。師匠……。そして25分、徳永の縦パスを受けた羽生が今度は右から斜めに切れ込む石川へラストパス、石川は落ち着いて江角の脇を抜いてゲット。きれいな得点だった。2-0。ここら辺の時間帯は人もボールもよく動き、本当に楽しいサッカーであった。

大宮がようやく反撃に転じたのは36分。ドリブルで仕掛けた内田がボックス左手前で倒されてFK。内田の蹴ったボールは弧を描いて飛び、横っ跳びの権田も届かず左上スミにゴールイン。敵ながら天晴れの一撃。2-1。さらに42分、大宮の波状攻撃になり、ゴール前で藤田が落としたボールが石原の足下へ入るも、シュートは左に外れてくれた。逆にその直後、カボレのスルーパスで石川が抜ける大チャンスがあったが、これも決められず。1点差で後半へ。
 
 
後半、大宮はサイドアタッカーのパクを入れ、カボレ・赤嶺へのマークを厳しくして立て直しを図る。48分、赤嶺のスルーパスで抜けたカボレがボックスへ突入するもまごついて逸機。その後はやや膠着し、東京も息切れか……と思った57分、左スローインから石川が振り向きざまに右足を一閃!ドライブのかかったボールはジャンプする江角の指先を抜けてバーに当たり、ゴールに吸い込まれた。スーパーゴール!!結果的にはこれが決勝点となる。3-1。

前半にいくつか決定機を外し、後半テンションが落ちてきたところで望外の追加点。本当なら相手に流れを渡さないようポゼッションを高めて試合を畳みにかかりたいところだが、それができないのが東京の悪いところ。4点目を取りに行くのか落ち着かせるのかが曖昧なまま、次第に大宮の攻勢になっていく。62分、大宮のロングボールが大きく跳ねてブルーノが処理しきれず、内田のクロスを村山が折り返して藤田が押し込もうとするが、今野がクリア。

64分、大宮陣のFK、サインプレーから今野がミドルシュートを撃つが、江角がセーブ。66分、ボックス左のFKから内田が直接狙い、権田が片手で弾き出す。そしてCK、ブルーノを振り切ったマトが権田の目の前で豪快に叩きつけてゲット。「あちゃー」という感じである。3-2。大宮はさらに藤本を投入して追い上げにかかる。東京は下がるCBの前で圧力をかけられなくなり、米本の空回りが目立つように。71分、パクのミドルシュートがゴール左上をかすめる。

74分、左スローインから長友が倒されながらつないだボールを梶山が持ちだしてミドルシュート、ポスト右を抜ける。77分、後方からのパスでパクが左サイドを突破、低いクロスが権田の手をかすめて逆サイドに抜け、そこに内田が走り込む。思わず目をつぶるような場面だったが、長友がゴールライン上でスーパークリア!さらに79分には大宮の波状攻撃から左CK、ファーに流れたボールを石原が頭で狙うも、また長友がブロック。どちらも1点もののプレーだった。

終盤、大宮はDFを入れてマトを前線に上げ、アーリークロス連発のパワープレイに。これに対して東京はブルーノを中心にはね返し続け、平山・鈴木を入れて試合を締めにかかる。41分、梶山の好フィードでカウンターとなり、鈴木がDFライン裏でシュートするも江角が好セーブ。東京は87分に羽生に代えて浅利を投入。ロスタイムには藤本のクロスにマトがダイレクトボレーで合わせた場面もあったが、枠をとらえられず。結局、東京が耐えきって逃げ切り勝ち。
 
 
楽には勝たせてもらえんのう。神様仏様石川様、という感じか。

前半は良かった。大宮の守備がユルユルだったとはいえ、ブルーノの精度の高いフィードでDFラインを引け腰にしつつ、空いた中盤をパスワークで……という狙いは的中し、テンポの良い攻撃で2得点。ポン蹴りにもつなぎにも偏ることなく、赤嶺と攻撃的MFの絡みで流動性も確保しながらバランス良い攻めができていた。守備の方も、CBの連携には不安があったものの、前から行きすぎることなく網をかけることができた。監督的には「よしよし」という感じだったろう。

問題は、前線に収まらなくなって攻撃のテンションが落ち、大宮のパスが回り始めた後半10分くらいからの対応である。石川が個人技で3点目を奪ってくれたものの、その前から危険な兆候はあった。簡単にはチャンスができなくなっており、かといって相手が猛プレスをかけてきているわけでもないのだから、もう少し落ち着いて後方なり中盤なりで回していなせればいいんだけどね。いたずらにボールを手放して、相手の攻撃機会を増やしてしまったような印象。

スタメンに関しては城福監督の修正と大宮対策は見事だと思ったし、相手の強弱はさておき(デニス・マルケスも小林慶行もいなかったんだよね)、前半(特に30分くらいまで)のサッカーはポジティブなイメージとして残しておくべきだとは思う。なんだかんだで今シーズン、あれほど気持ちの良いサッカーは一度もできていなかったのだから。ただ、後半にこの10年間変わらない課題がまたも見えてしまったかな、というのがちょっと残念な部分ではあった。

個々の選手では、まず石川が素晴らしかったのは言うまでもない。とにかくピッチの「左右から」「ゴールに向かって」プレーできているのが良かった。右サイドに張り付いてハムスターみたいに空回りしていた頃とは別人のようである。チームとしても、彼のような選手の個人能力によるチャンスメークに頼ってしまうのではなく、組織で崩しつつ、最後の局面で個人技を生かすような形を作れるのが理想だから(9番についても同様)。ハットトリックおめでとう!!

赤嶺も、特に前半はポストプレーを期待以上にこなしてくれた。マークが厳しくなった後半はやや孤立していたが、でもこれくらいやってくれるならスタメンは彼に決まり!と書いておこう。カボさんはお祓いか何かした方がいいかも(笑)。梶山は、今季これまでの前目での中途半端なプレーぶりとこの日の出来を見比べたら、やっぱりプレッシャーの少ない下がり目でやらせた方がいいのかな、と。もったいないような気もするけど、まあ前は大竹がいるし……。

守備陣では、ブルーノさんの先発起用は成功。フィードの質は他のDFとは比べものにならない。ただ、後半のCKで簡単にマトを放してしまったように、肝心の守備の方がちょっと。少なくとも、佐原の怪我が治るまでは頑張ってもらわないといけないのだが。今野はやっぱりCBだと集中力が増す感じで良い。長友はカバーリングが素晴らしかった。あと、なにげに徳永が(荒削りながら)落ち着いて攻撃の組み立てに参加してたんだけど、何かあったのだろうか。
 
 
次はアウェイでサンフレッチェ広島が相手。あのサンフレッチェがここ2試合無得点無失点が続いているのは何となく不気味ではあるけど(調子落ちなのかね?)、パリッと勝って星を5分に戻せると気分的にも相当に大きいと思われる。つーか、柏木や槇野に「弓矢ポーズ」とか試合後のパフォーマンスとかやられたくねーよなー。他人事だと楽しいんだけど(笑)。
 

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コメント

今季のカボレの外しっぷりを見ていると、元東京の戸田選手を思い出します。


大宮戦、カボレがゴール前でシュートを躊躇したようなシーンがあったのですが、自信がなくなったのかなと思いました。

元々真面目な選手なので、悪循環に入らなければ良いのですが・・・。

なんというか、カボレは元々が「点取り屋」ではないのかもしれないですね。昨年もシュートの上手さを感じさせるシーンはあまりなかったような気もします。

でも、Kリーグの得点王だったんですよね……1点決めれば、吹っ切れて量産モードに入れるのかな。うーん……。

>元々真面目な選手なので、悪循環に入らなければ良いのですが・・・。
いや、ホントに。

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