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2009年04月25日

●泣くな西川、君は凄かったぞ (大分トリニータ×FC東京 テレビ観戦)

J1第7節のアウェイ大分戦は、スカパー!でテレビ観戦。大分トリニータ 0-1 FC東京。大分は3連敗、東京は前節千葉に逆転負けをくらって2連敗と、ともに不調にあえぐ下位同士の対戦。大分が前半のうちにチームの要を失って数的不利に陥りながらも堅守を見せてよく粘り、東京が圧倒的に押しながら攻めあぐむ展開。最後は後半ロスタイムにPKを得た東京が辛くも勝点3を得たが、快勝にはほど遠い、苦い味のする勝利であった。
 
 
大分はいつものように「守備から入る」3-5-2の布陣で、対する東京は鹿島戦・千葉戦に引き続いて石川先発の3トップフォーメーション。序盤は凸凹ピッチの上でボール争奪戦が続いたが、次第に東京が両ウイングのスピードを生かしてチャンスを作りだす。特にカボレはマーカー(主に高橋)を置き去りにして逆サイドからパスを受ける絶好機が前半だけで3度ほど。だが、いずれもシュートは大きくバーを越えて決まらず。カボレ師匠、っすか(笑)。

32分、エジミウソンが梶山を後方から倒して2枚目のイエローカードで退場。確かにファウルをとられてもおかしくないプレーではあったが、警告を出す程かどうかは……以後、大分の選手たちのエキサイトする姿がやたら目につくように。高山主審らしい杓子定規な判断が試合を荒れさせる好例である。数的優位に立った東京は梶山や羽生の配球にSBの攻撃参加も加わって押し込むが、攻撃にあとひと工夫足りず、無得点のままハーフタイムを迎えてしまう。

後半、大分は森島に代えて清武投入。何とか前線にボールをつなごうとするが、今野や佐原のハードマークに潰されてほとんどの攻撃が形にならない。逆に東京はボールを支配して一方的に押し込み続けるも、単調なクロスが多く森重や上本が着実にはね返す。58分、石川OUTで大竹IN。これ以降は左右へ揺さぶる意識も強くなって大分DFは振り回される姿が目立つように。「よほどの事がない限り負けはない。あとは勝ちきれるかどうか」という感じ。

そこで東京の前に立ちふさがったのが、GKの西川周作だった。前がかりになる東京は次々とシュートを撃ち、その頻度は大分DFの疲労度と比例して増えていった。だが、西川は驚くべき堅実さで雨あられと飛ぶシュートを防ぎ続けたのだ。梶山の弾丸ミドルを横っ跳びで弾き、カボレ・長友の連続至近シュートを体を張ってブロック。さらに、何本も飛んできた荒れピッチにバウンドするミドルシュートも、全てをガッチリとキャッチ。まさに守護神、である。

何としても勝ちきりたい東京は、近藤→赤嶺、羽生→鈴木達の交代。しかし、大分も譲らない。鈴木のループシュートは西川がジャンプ一番弾き出し、逆にウェズレイのCKが直接ポストを叩く場面も。ところか、引き分けを覚悟したロスタイム、カボレがハイボールをボックス内へ落とし、走り込んだ赤嶺を高橋が引き倒してなんとPK……愕然とする大分イレブン。これを梶山が決め、東京が土壇場で「サヨナラ勝ち」。倒れ込む西川の痛々しい姿が印象的だった。
 
 
なんつーか、これほど後味の悪い勝点3も珍しいな、と。

試合を左右したのは、紛れもなく高山レフェリーの判定である。元々杓子定規な判定をする人で、個人的にはどちらかと言えば好ましく思っていたのだけれど、この試合については悪い方に出てしまったかな、と。空気読めなさすぎ……というよりあの2つ目の警告は厳しすぎるだろう。一気に試合がつまらなくなってしまったし、勝った方としても後味が悪い。エジミウソンへの1つ目の警告と最後のPKは適切な判定だったと思うだけに、なおさら残念。

そんな不運(?)に見舞われながら、大分トリニータは敵ながらよく戦っていた。自陣ボックス内での粘りはさすが。ただ、よりによっていなくなったのがエジミウソンだったのは痛かった。1人で2人分の仕事をする彼の存在あってこその大分サッカーだから……。しかし、繰り返しになるけど西川は良い選手である。並のGKだったら1つ2つはファンブルして赤嶺あたりが押し込んでいたはず。最後のPKも読みは合ってたし、楢崎の次の代表正GKは決まりかな。

一方のFC東京は、相手の「強い」ボランチとサイドにスペースの生まれやすい布陣を考えれば、先発の顔ぶれと3トップは悪くなかったのかな、と(この試合だけ考えれば、ね)。早い時間帯にチャンスも作れたし。ただ、そこで決められなかったのが試合をややこしくした。相手が10人になってからは、それなりに好機はあったにせよ、全体的に見れば攻撃の工夫のなさが目立った感じ。いくら押し込んでも単調なクロスと切れ込んでのミドルばかりでは厳しい。

それにしても、元々シュートの上手いタイプではないにしろ、カボレの外しっぷりは際立っていた。ふかし方がアマラオを彷彿とさせるというか(笑)。やっぱりコンディションが良くないんだろうね。他の選手では、目立っていたのが今野。鹿島とか大分とか、「中盤ガチンコ型」の相手だとイケるのかな。次のガンバ戦でも活躍できれば「やっぱりMF」となっても納得かもしれんけど。梶山は悪くなかった。ただ、もっとボックス内に入ってほしいやね、今のポジションなら。

まあ、釈然としないというか、スッキリしない形ではあったけど、とにかく連敗が止まって勝点3がとれたのは何よりであった。ただ、個人的には、梶山がPKを決めてくれた瞬間にテレビに映った監督の大仰なガッツポーズと、一転ショボクレちゃってた試合後のインタビューの姿にはかなり萎えた。なんつーか、今年の城福監督からは自信と志の高さが感じられないのである。むしろ選手たちの方が、喜びすぎず厳しい表情をしているように見えたのだが……。

頼むよ、ホントにー。
 

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コメント

審判と城福さんについて、まったく同感です。

審判は試合をコントロールしなくてはなりませんが、黒子に徹するのが前提であって、試合の筋書きまで決める監督兼主演であっては困りますね。
勝ったけれど、私も後味が悪かったです。

それと城福さんのPKが決まった時の喜び具合と、インタビューの時のテンションの低さのコントラストにちょっと引きました。(笑)

どうもです。>いくのしんさん

エジミウソンの気の毒な退場がなければ、ああいう形での「サヨナラPK」は「劇的な幕切れ」として喜べたんですけどね。

高山さんは、家本さんあたりに比べれば激高して判定がブレるようなタイプではなく、そこは比較的好ましいと私は思ってるんですけど、ただものすご~く融通が利かない感じですね(笑)。どっちにしろ、やっぱり試合を壊しちゃまずいです。大分に2人目の退場が出なかったのが不幸中の幸い、なのかな。

>城福さんのPKが決まった時の喜び具合と、
>インタビューの時のテンションの低さのコントラスト
そうそう。あののけぞるようなガッツポーズと、肩を落としてショボーン、ですよね。
単純に「苦しい試合で何とかなった!」と喜んでて、どこかでふと我に帰っちゃったんでしょうか(笑)。なんか、ものすごく余裕がない感じに見えました。

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