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2009年04月12日

●平塚に、いい風が吹いていた (湘南ベルマーレ×東京ヴェルディ)


土曜日の午後は、平塚競技場でJ2第7節。湘南ベルマーレ 2-0 東京ヴェルディ。実績のある監督同士の対戦でもあり、また元東京の選手が多数出場する試合ということもあって、湘南新宿ラインでちょいと遠出してみた。前節鳥栖に敗れて開幕からの連勝が止まった湘南と、やはり前節仙台に完敗して勝ち越しに失敗したヴェルディ。連敗は避けたい両チームだったが、ゲームの大半を支配した湘南が外国人選手の2ゴールで勝利を収めた。
 
 
前に平塚に足を運んだのは確か反町監督時代の新潟との試合だから、5年ぶりくらいか。相変わらず古びた競技場であり、プロレス調の紹介で各選手にキャッチフレーズが付くのもレトロな感じ。「右サイドを切り裂く音速のアタッカー!うすいー、こうへーいー!!」みたいな(笑)。ジャーンだけはなぜか「ジャ、ジャ、ジャ、ジャーン!」。反町監督は「元祖暴れん坊」だったが、その後に「夜も暴れん坊、リムジンー!!」とか付いてたら、きっと僕は笑い死んだことだろう。

 
試合は序盤から湘南ペース。開幕の頃に比べると攻撃も様になってきたようで、コンビパスによるサイド突破から3トップが仕掛けるパターンでチャンスを作る。19分、右からのクロスが逆サイドから走り込む吉朗に通ってシュートも、枠外。一方のヴェルディは前目からの積極守備が特徴的だが、攻撃はやや単調なクロスに偏りがち。湘南はGK野澤のセービングとジャーンらの高さで確実にはね返す。こぼれ球を飯尾がシュートした場面も野澤がキャッチ。

22分、湘南が先制。CKのこぼれ球をゴール前でアジエルと田原が粘って落とし、ジャーンが豪快に蹴り込んだ。その後も湘南は慌てないパス回しでヴェルディのチェイスをいなし、試合を支配。30分、坂本のシュートをGK土肥がはじいたボールが田原の足下に落ちるが、シュートをDFがブロック。ヴェルディも河村が際どいミドルシュートを撃ち、終了間際には波状攻撃をかける場面もあったが、野澤が体を張ったプレーで防ぎきる。1-0でハーフタイムへ。

後半立ち上がりはネジを巻き直した湘南の攻勢に。まず吉朗が再び右からのクロスを受けて惜しい場面を作り、52分には寺川のシュートがバーを直撃。さらに53分、ゴール前田原のヒールパスで吉朗が抜けて一対一となるも土肥がまたもビッグセーブ、続くアジエルのシュートも横っ跳びで防いだ。ここら辺の時間帯は湘南の攻撃テンポが非常に良く、「人もボールも動くサッカー」で圧倒。ただ、それを全て防いだのは、さすが土肥ちゃんと言うべきだろう。

後半半ばになると試合は膠着。ヴェルディは前がかりでゴール前に迫るもあと1本の決定的なプレーが出ず、74分に左サイドを破った平本のシュートもサイドネット。湘南の方は逆襲で何度かいい形になるが、やはりラストプレーの精度がイマイチ。決着が着いたのは85分。カウンターからアジエルが持ち上がってボックス内の吉朗へ。切り返しのシュートはまたまた土肥が止めたが、フォローしたアジエルがきっちり枠内へ。2-0。そのまま試合終了となった。
 
 

風が吹いているように感じた。湘南にとってのいい風が。もしくはいい波が来ているというか。

ベルマーレのプレーぶりからは確かな進歩が見てとれた。開幕の頃はギクシャクしていて前の3人だけで攻撃しているような感じだったのが、この日はスムーズにパスをつないで前後左右によくボールを動かし、コンビプレーでDFを置き去りにする場面が多く見られた。特に50分~60分くらいの、タッチ数の少ないパスとポジションチェンジが連鎖する攻撃は素晴らしく、反町監督の目指すサッカーのが垣間見えたように思う。なるほど、これは楽しい、と。

もっとも、そのような連動性の高い攻撃ができている時間はあまりに短く、全体的にはアジエルの個人技頼みの印象はぬぐえない。また、守備の方はSBの対人能力に難があり、今回は野澤とジャーンらの奮闘でしのぐことができたが、たとえば仙台あたりを相手にした場合はちと心配。あと、運動量の要求されるサッカーだけにMFの消耗はかなり激しく、フル出場したアンカーの田村は終盤ヘトヘトになっていた。長いシーズン、控えの層はどうなんだろう?

まあ、それでも、まだ伸びしろもありそうなチームだけに、アジエルら主力に大きな怪我人さえなければなんだかんだで昇格圏に入ってくる可能性は高いのではないだろうか。監督の腕は確かなわけだし、選手・スタッフやスタンドのファン・サポーターからもかなり前向きな雰囲気が感じられるし。そう、それこそ03年のアルビレックスと同じようなグルーヴが来つつあるのかな、と。つーか、上がってきてほしいよなあ。Jリーグでは東京と当たったことがないから。

個々の選手では、まずアジエルが(少なくともJ2レベルでは)スーパーな選手だということを再確認。足下の巧さはもちろん、周りの選手の使い方が秀逸。田原はとにかくスケールのでかい選手。阿部吉朗は、動き出しの鋭さが全盛期にかなり近づいた感じ。この3トップは強力だ。中盤では寺川がいい。地味だけど一切手抜きのないプレーはチーム全体を引き締めてくれそう。ジャーンは東京にいる頃より鬼軍曹然としているかな。野澤は……何だか落ち着いたなあ。

敗れた東京ヴェルディの方も、駄目駄目というほど悪くはなかった。守備は前線から連動してプレスをかけていくスタイルで、左右へ速くボールを動かす湘南とコンパクトさを保ったままボールサイドに寄せるヴェルディの「追いかけっこ」はかなり見物だった。土肥ちゃんは未だJ1でも通用すると思うし。問題は攻撃の方で、大黒の能力は別格にも見えるが、彼以外でもう1人くらいインパクトのある選手がいないと得点力不足に悩むことになるのではなかろうか。
 
 

試合後、グッズの売店の脇に「ベルマーレガチャガチャ」なるマシーンが置かれていて、思わず200円出してやってしまった(笑)。選手の顔写真入りの缶バッチが出てくるものだが、結果は「17 菊池大介」。最初は正直「外れか……」と思ったのだが(失礼)、調べてみると年代別の代表にも入っているかなりの有望株じゃあーりませんか!ということで、将来彼が大成した時に「俺は昔から目をつけてたんだぜ」と自慢するために保管しておくことにしよう(笑)。
 

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