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2009年04月06日

●勝てば官軍、の気分 (ジュビロ磐田×FC東京 テレビ観戦)

昨日は義理の弟(11歳 オス ウェルシュ・コーギー)を温泉に連れて行く用があったため、J1第4節はスカパー!でテレビ観戦。ジュビロ磐田 0-1 FC東京。ナビスコ杯の2試合を挟んでリーグ再開の初戦は、ともにスタートダッシュに失敗し、チーム立て直しの途上にある2チームの対戦となった。ホーム磐田が試合の大半を支配してチャンスを作るも決められず、数少ない好機をエースストライカーがものにした東京が辛うじて勝利。
 
 
激しい雨の中キックオフ。東京はナビスコ神戸戦とほぼ同じ布陣で、SBは長友が復帰したことにより椋原がメンバー外に(もったいない)。磐田はほぼベストメンバーだったろうか。開始直後、那須のヘディングを東京陣中央で前田がすらし、佐原の裏をとったジウシーニョが抜ける大ピンチ。果敢に飛び出した権田がシュートを顔面で防いで事なきを得る。続いて左サイド突破からの戻しを山本がミドルシュート、バーを越えた。いきなりのワンツーパンチ。

その後しばらくは互角の攻防に。東京は地上で丁寧にボールをつなぎ、梶山のキープ力と大竹の突破力を生かして攻撃を組み立てようとする。しかし、中央攻撃はコンビパスの微妙なズレからなかなかDFラインを突破できず、サイド攻撃もクロスまでは行くのだがはね返されるばかり。9分、パス交換から右へ展開、徳永のクロスのこぼれ球を角度のないところからカボレがシュートするも、サイドネット。19分には大竹のCKを今野が頭で叩くが、左に外れ。

そのうち、相手の鋭い出足に追われる形で東京のパス攻撃がほとんど前進できなくなり、シンプルに速くボールを動かす磐田の攻撃が優勢に。東京も粘り強い守備で対抗するが、34分にまたも大ピンチが。太田から出た浮き球のパスを前田が巧みに胸で落とし、2列目から山本が走り込む。この時、今野が左サイドに釣り出されていたため、山本は権田と一対一に。しかし、ここも権田がシュートを左手一本でビッグセーブ!素晴らしい反応だった。

さらに磐田の攻勢は続く。44分、駒野の低いアーリークロスを戻る佐原が(オウンゴールを恐れた?GKに任せた?)見送り、逆サイドから入った前田がダイビングヘッドする決定機、これも枠を外れてくれて命拾い。結局そのまま0-0でハーフタイムへ。磐田の拙攻に助けられたという印象の強い前半であった。
 
 
後半立ち上がりは東京がラッシュ。51分、左サイド攻撃からこぼれ球を拾った長友がシュート性のクロス、枠内に飛んだボールをGK川口が弾き出す。だが、すぐまた試合は磐田ペースに。東京は楔のボールが全く入らず、無理なパスをカットされて速攻を受ける場面が続く。ただし、磐田の方も東京の守備ブロックを崩すには至らず、権田の堅実なゴールキーピングもあって前半のような決定機は作れない。62分、太田が遠目から撃ったシュートも枠外。

65分、東京が先に動き、大竹OUTで石川IN。直後の66分、ボックス左脇のFKで入ったばかりの石川がクロス、はね返りを長友がミドルシュートするが枠外。これに対して磐田は70分にジウシーニョ→萬代。事情はわからないが、最も怖い選手が早々に退いてくれたのは有り難かった。東京は71分にカボレ→鈴木達。石川・鈴木の同時起用は難しいピッチ状況で突破力の発揮に期待したのだろう。結果的には、この際に赤嶺を残した判断が吉と出る。

快足選手2人を入れた東京は長いボールを多用するようになり、状況の打開を図る。が、フィードを赤嶺が幾度か落とすものの、フォロワーの位置取りが悪くほとんどチャンスにつながらない。73分、磐田がボックス右でFKを獲得。速いクロスにニアで前田が合わせるも、DFの競りかけもあってボールはポスト右を抜けた。77分には左サイドのFKからアーリークロス、飛び出した権田と接触しながら茶野がヘッダーを撃つが、枠外。「こりゃ引き分けか……」。

ところが、である。迎えた82分、中盤浮き球の奪い合いからボールが左サイド鈴木の足下へ。鈴木はDFライン裏へ走る赤嶺を見てワンタッチでパス、赤嶺が踏んだステップに幻惑されたか、ボールを追う那須と茶野が衝突する形となり、赤嶺が1人きれいに抜けた。ようやく来た大チャンス。赤嶺はこれを逃さず、川口の動きも見ながらゴール左へシュート、見事にゲット!「棚からぼた餅」的な場面ではあったが、ゴールゲッターらしい冷静さが光った。1-0。

遅い時間の先制点に形勢は逆転。磐田は長短のパスを織り交ぜながら前がかりとなるが、東京の守備に乱れはない。今度はパスカットから東京のカウンター、というシーンが増える。83分、石川が右サイドから切れ込んで左足で地を這うミドルシュート、川口が横っ跳びで辛うじて弾き出した。85分を過ぎると東京は追加点を狙うよりサイドへ流れてキープするようになり、着実に時計を進めていく。4分の追加タイムも過ぎ、東京がそのまま逃げ切った。
 
 
いや、「もうけもの」の勝点3である。

ジュビロ磐田については、開幕戦の6失点を見たときは他人事ながら「どうなっちゃうんだろう」と思ったものだが、その後の失点の少なさからわかるように、少なくとも守備の方は立て直しに成功しつつある感じ。攻撃も速いパス回しと前田を生かした攻めが効果的で、特に東京DFが落ち着かなかった前半には決定機をつかんだ。まあ、そこで入れられなかったのが全てなのだろう。それにしても前田は相変わらず良い選手。後はシュートさえ決められれば……。

一方、FC東京にしてみれば笑いの止まらない結果である。正直、内容は良くなかった。神戸戦の前半ほどではないにしてもパスの回りは悪かったし、守備の方も前田に振り回されて落ち着かない時間帯があり、2点差くらいで負けていても全然おかしくはなかった。それが、権田のビッグセーブ連発と赤嶺の「一刺し」のおかげとはいえ、完封しての勝点3である。再構築中のチームにとってはこれほどのプレゼントはないやーね。ありがたくもらっておこう(笑)。

それにしても、今年の城福監督からは断固たる決意というか、ある種の開き直りが見てとれる。神戸戦にしろこの試合にしろ、攻撃が発展途上なのは百も承知、前半は何とか(←運も含む)しのいで勝負所で持ち駒を使って勝負だ、と割り切っているような感じである。あえて遠回りをしているというか、前半を大胆な実験に充てているというか。もしかしたら監督自身、昨年1年で「結果を出しながら」積み上げた成果が意外と乏しいと感じているのかもしれない。

もしそうだとすると、これはエライコトである。試合後のインタビューでも城福さんは「今日のようにゼロに抑えれば勝機はあるので、足下をしっかり見ながら今年1年かけて攻撃を積み上げて行きたい」と話していた。額面どおりに受け取れば、今度こそ腰をすえてパスサッカーの構築に取り組むということだろうか。個人的にはこういう良い意味での意地っ張りは歓迎したいところだが、あるいはまた我慢が必要になるのかもしれない。まあ、僕はもう腹は括った。

個々の選手については、まず権田が素晴らしかった。相手がシュートモーションに入った時のポジショニングが抜群だった。特に34分の場面なんて超スーパーセーブである。開幕戦の悪夢もこれで払拭できたことだろう。正GKへの道はそう遠くないのかも。攻撃の方では、もちろん赤嶺。「決定力というのはこういう事を言うのだ」という感じのゴールだった。そんな彼も開幕からの2試合ではけっこう外していたわけだが、貴重な得点源であることは間違いない。

悪い方で目立っていたのは、まず佐原。元々ポカ癖のある選手だが、この日は決定機に直結するミスが2~3度あった。もう1人のCBが「凄いけど見習い」な選手なので、佐原が不安定なのはキツい。あと、羽生も良くなかった。攻守ともに効きの悪さが目立った印象。彼の出来が悪いとまた「やっぱり今ちゃんはボランチの方が」などと言う人が増えてしまうので、もう少し頑張ってほしいところだ。あと、梶山の視野と判断の偏りはどーにかならんもんかねえ。

で、とりあえず星が五分に戻ったところで、次はホームで王者・鹿島との対戦。率直に言ってこれまでの内容では勝つことは至難の業と言わざるを得ないのだけれど、何とか結果を出してほしいものである。学ぶところの多いチームでもあるし、そんな相手から勝点を得ることが、今の「よちよち歩き」の東京にとって何よりの自信につながるのだから(「1年以上時間かけてまだよちよち歩きかよ」というツッコミは、とりあえずしまっておくことにしよう(笑))。
 

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