« レトロとモダンが出会う街神戸、だそうな (その2) | メイン | どえらいものを見てしまった (ジェフ千葉×FC東京) »

2008年12月01日

●今年も、応援してよかった (FC東京×アルビレックス新潟)


日曜日の夕方は、味スタでJ1第33節。FC東京 1-0 アルビレックス新潟。前日、鹿島の劇的な勝利によってとうとう優勝の可能性を失った東京だが、ホーム最終戦となる今回は新体制1年目の「締め括り」として負けられない一戦。相手は、J1残留のかかっているアルビレックス。双方ややミスの目立つ試合内容となったが、塩田の奮闘でピンチをしのぎ続けた東京がエース赤嶺のヘッド一発で虎の子の得点を手に入れ、辛うじて勝利。
 
 
静かな立ち上がり。梶山出場停止の東京は珍しくエメルソンと石川が同時に先発。エメが石川同様に高い位置をとるため、流れの中では今野・羽生が中盤の底を支える4-4-2の並びになることが多かった。対する新潟は引き分けでもほぼ残留が決まるためか慎重な戦いぶりで、SB+守備的MFは守りに専念して2トップと松下、マルシオ・リシャルデスの4人のみで攻めることが多い。扇谷主審の神経質にも思える笛もあり、ぶつ切りの攻防が淡々と続く。

10分、石川が右サイドを持ち上がるカウンター、カボレが切れ込んでシュートするも威力なくGKキャッチ。11分、平山から右展開、石川がえぐって低いクロスを入れたがカボレとGKの間を抜けてしまった。13分、新潟がボックス左手前でFKを獲得、松下の右足インスイングのクロスは飛び込む敵味方が視界を遮る難しいボールとなり、塩田がかろうじて弾きだす。16分には石川のパスカットから長友が右サイドを突破してクロス、惜しくも平山に合わず。

全体的にはどちらもミスパスが多く、中盤を作りきれない印象。となると個の能力で上回る方が有利なはずで、キレている石川を中心に東京が優勢に見えた。しかし、それも長くは続かない。エメは周囲の味方と連動しておらず、今野は相変わらずの空回り。羽生が1人動き回りながら丁寧にパスをさばくが、まさに孤軍奮闘状態であった。ぶ厚い新潟の守備ブロックの前で行き詰まり、打開しようと狙いすぎたパスをカットされる場面が続く。

一方の新潟は東京DFラインの裏を狙う攻めが効果的。24分、左サイドから松下がまたインスイングのクロス、ファーに滑り込んだ矢野の際どいシュートは塩田が体でブロック。27分、ボックス手前で行き場を失った平山が撃った強烈なミドルシュートはGK北野がはじき出す。33分、ピッチ中央付近のFKから千代反田がバックヘッドでDF裏に流して新潟の選手2人が飛び込み、塩田も抜かれる大ピンチ。ボールはポスト右を抜けて際どく命拾い。

39分、羽生のロングキックを石川が快足を飛ばして拾い、カボレがキープして中央の平山を狙うクロスはDFがカット。この場面でも中には1人しか入っていない。危なかったのは41分、リシャルデスがDF裏にフワッと浮き球を入れた場面。逆を突かれた東京DFは反応できず、どフリーで走り込んだ松下が前に出る塩田の目の前でシュート。完全にやられたかと思ったが、ボールはバーに当たってはね返り、塩田がキャッチ。何とかスコアレスでハーフタイムへ。
 

後半、東京は噛み合わないエメに替えて大竹を投入。その効果か、立ち上がりから東京ペース。開始直後、カボレのポストプレーから羽生がボックスへ突入するが、バランスを崩して逸機。47分、平山のパスで左サイドを抜けたカボレが角度のないシュート、北野横っ跳びでセーブ。58分には矢野が大きな切り返しで茂庭を外し、クロスに松下が飛び込むもののオフサイド。この場面に限らず、強さと速さでせめぎ合う矢野と茂庭の攻防は見応えがあった。

東京の大チャンスは60分。金沢のクロスが右サイドに流れ、ゴールライン際で拾った平山がDFをかわしてマイナスの折り返し、なぜかフリーのカボレがDFの間を抜けて合わせた。が、「よし、ゴールだ!」と思った次の瞬間ボールはあさっての方向へ……お前はアマラオか(笑)。このまま押し切りたい東京は石川OUTで鈴木達N。後ろを厚くしている相手に対して「?」という気もしたが、城福監督は鈴木のスピードよりも細かい機転に期待したのかもしれない。

67分、右サイドに流れた田中アトムがアーリークロス、逆サイドから飛び込むリシャルデスと交錯しながら塩田が押さえる。68分、右サイド長友・カボ・鈴木の細かくつなぐ攻めから大竹がボレーシュートを撃つが、当たりが弱くGKキャッチ。70分には東京のカウンター、鈴木からボックス内へ走るカボレへパスが通るも新潟DFが懸命に張り付いてシュートさせない。その2分後には今度は新潟のカウンター、矢野のクロスがDFとGKの間を抜ける。

中盤の圧力が弱まって攻め合いの様相を呈する中、東京はアタッキング・サードまでボールを運びながらも一押しが足りない印象。「もう少しミドルを撃った方が良いのでは」と思っていたら、74分に長友が右サイドから切れ込んでミドルシュート(GKキャッチ)。さすがである。76分、千代反田のオーバーヘッドシュートが外れた直後、東京のミスパスをカットした矢野が突進、DFを引きつけてからフリーのアトムへパスを通すも塩田が飛び出して気迫のセーブ。

東京は平山に替えて赤嶺を投入、新潟は田中アトムOUTで河原IN。いよいよ最終局面である。82分、羽生が出足よくボールを奪い、赤嶺のポストプレーから大竹のミドルシュートを北野がはじき出してCK。沸く東京側スタンド。そして大竹のクロスはファーに飛び、赤嶺がDFに競り勝って叩きつけるヘディングシュート、ゴール前の本間は北野とお見合いになってクリアしきれず、ゴールインとなった。なんという勝負強さ!これがエースストライカーの仕事だ。

その後はせめて勝点1はほしい新潟が前に出るが、こうなると東京はカウンターで攻めやすい。87分、長駆左サイドを持ち上がった鈴木達がゴールライン際で折り返すがDFがブロック。その直後、左サイドから金沢のハイパント、赤嶺が競って落とし、金沢がカンフーキックで飛び込むが惜しくも触れず。ロスタイムにもコーナーでキープ、とみせかけて急遽DFをぶち抜いたカボレがシュートして北野がセーブ。結局、そのまま危なげなく東京が逃げ切った。



今年チームとして培ってきた「粘り腰」が発揮された試合だった。

内容は良かったとは言えない。攻撃では主なフィード役の梶山がいないにも関わらず選手間の距離が開きすぎ、パス交換でチャンスを作ることがほとんどできなかった。守備の方も、DFラインの上げ下げの隙を狙われ続けたのに加え、守備的MFとDFの連携がイマイチで、バイタルエリアのサイドを使われ放題であった。塩田の好守、そしてクロスバーの助けがあったから何とか無失点に抑えられたものの、2~3失点くらっていても不思議ではなかった。

それでも、その「幸運」を生かせるのが今年の東京。前半途中からカボレを左に固定して勝負させ、後半頭には引いたDFラインの前のスペースを使うべく大竹を投入、さらにミドルシュート攻撃。流れるパス回しこそ最後まで見られなかったものの、最低限やるべき修正はやっていたと思う。かなりの割合で1点勝負になるサッカーという競技において、ディテールが重要なのは言うまでもないし、強さと粘りを兼ね備えてこそ真に「強靱」なチームとなりうるのである。

とはいえ。終盤戦、具体的には28節の清水戦以降、相手がガチの撃ち合いを挑んできてくれた鹿島戦以外はイマイチな試合内容が続いているのも事実。最終戦の相手は死にもの狂いでかかってくることが予想される17位の千葉で、当然こちらのことは調べ尽くしていることだろう。順位争いももちろん重要だけど、相手の策にあっさりやられずに自分たちの強みを発揮して良いゲームができるかどうか。天皇杯にも、来季にもつながる注目すべき一戦である。

この試合、個々の選手では、まず讃えるべきは塩田だろう。新潟のアタッカーの飛び込んでくる動きに対して全く臆せず、絶妙のポジショニングでゴールを守り通した。もう誰もが認める守護神なんだから、もっと堂々と胸を張れ、と思う。他の守備陣では、一対一でほとんど矢野に負けなかった茂庭は凄い。DFラインの上げ下げについては今後の課題、なのかな。良くなかったのはまたも今野で、攻撃にも守備にも効かず、実に中途半端なプレーぶりであった。

攻撃陣では、当然赤嶺が殊勲者ということになる。ゴールの場面、ちょっと引いた位置取りをするあたりがいかにも点取り屋らしい。ホント、頼りになるよなあ。ミドルシュートとCKの好キックで得点をアシストした大竹も素晴らしかった。カボさんが動きはキレていて相手の脅威になっていたけれど、あのシュートミスは……この人、簡単なシュートは入らないのな(笑)。羽生はとにかくお疲れ様。エメルソンは、調子どうこうというより、使い方に工夫が必要だと思われる。
 
 
ホーム最終戦ということで、試合後は監督挨拶と全選手による場内一周セレモニー。城福監督の挨拶、格好良かったっすなあ。「ACL、元旦国立、その旗はまだ降ろしていない!!」って、あーた、その断言口調にシビレましたですよ。あの台詞を真顔で叫ぶことのできる人って、実はなかなかいないと思う。スタンドの「城福、東京!」コールが最後までやまなかったのも当然と言えるだろう。やっぱり、この人のいるうちに優勝したい。できれば来年かな。
 
 

試合後は飛田給の某店で某ペーニャの打ち上げ。勝利の後だけに、リッタージョッキのビールが美味しかった……で、飲み過ぎた……記憶があらへん(笑)。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/2446

コメント

お疲れでした、城福さんは又ガラガラ声でしたね(笑
そんなヒロシに絆されてって感じでしたね。
塩田は一番最初にピッチに入り一番最後にピッチを出ましたね、風邪ひかないと良いが(笑
ちと思ったんですが、今ちゃんさんとエメは共用が難しいのかも知れませんね、左を使いたがるんで。

お疲れさまでした。

私も応援し続けていてヨカッタ!と感じています。

今年は仕事の都合もあり、あいにく5試合しかスタジアムに行けなかったのですが・・・

4月の東京ダービー
国立でのガンバ大阪戦
雨中観戦のAWAY柏戦
HOMEでの鹿島、アルビレックス戦

なんと全て負け無し!!
まさに夢のよう(笑)

これからも応援して、城福さんを、ぜひ男にしたいですね! いや、ついていきまーす!!


追伸:

murataさんも写真に撮っていらっしゃたのですね。

味スタから眺める夕やけに染まる山々は、下町育ちの私には感動モノでした!

皆さま、お疲れ様でした……最終戦と天皇杯も頑張りませう!

>城福さんは又ガラガラ声でしたね(笑
もはやお約束です(笑)。ちょっと恥ずかしそうにするのがまたとても良い感じです。

>今ちゃんさんとエメは共用が難しいのかも知れませんね、左を使いたがるんで。
エメルソンはおそらく視界を広く確保したいのでしょう、ボールをさばくとき大きくサイドに開いて中を見る格好になることが多いのですが、そこに他の選手が絡んでいけてないんですよね。特に今野は、まあ、好守とも、どこにも絡めてないというか……。

>なんと全て負け無し!!
>まさに夢のよう(笑)
素晴らしい。できれば来年は全試合観戦をお願いします(笑)。でも、ガンバ戦はともかくとして他の4試合はどれもシビレる戦いだったので、そこがホント良かったですよね。

>城福さんを、ぜひ男にしたいですね!
そう、今、まさに「男にしてあげたい男ナンバーワン」っつー感じですよ!!

>味スタから眺める夕やけに染まる山々
きれいでしたね~。ただ、ちょっとオレンジ色と濃い青の空で「アルビレックス色か?」と心配にもなったのですが、何とか大丈夫でした(笑)。

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)