●レトロとモダンが出会う街神戸、だそうな (その2)
振り替え休日のの月曜日。起床して外を眺めると、快晴の前日とはうって変わって雨模様である。朝食はホテルのレストランでブッフェ。写真は、てんこ盛りの皿が下品なので自粛(笑)。いや、俺、いわゆる「バイキング」が本当に好きなのよ。自分の好きなものを好きなだけとって食べれるなんて、まさに天国……今回も腹一杯になるまで食べてしまった。10時過ぎにチェックアウト。建物を出るとき、このホテルの1階で2002年にお茶を飲んだのを思い出した。
午前中は傘を片手に異人館巡り。チケット売り場のおばはんにそそのかされ(笑)、「9館特選入館券」を購入。まずは一番高台にある「うろこの家」(国指定文化財)。外壁の石のスレートが鱗のように見えることから来た通称らしいが、城のような立派な建物だった。中の意匠も展示されている調度品も見事で、カミさんはマイセンのコレクションに目が釘付け。これが個人の家だったっつーんだから、当時の異人さんたちの羽振りの良さが知れるというものである。
左の写真は「うろこの家」の2階から見た景色。あいにくの雨でよく見えないが、晴れていたら(ましてビルのない時代なら)神戸の街並みと港が一望できる素晴らしい眺望。異人さんたちがこの高台に家を建てたのも当然に思える。ただし、これまた当然ながら、そこに行き着くには急坂を上らなければならない。右の写真は「オランダ坂」。急傾斜が延々と続き、雨で滑るせいもあって足がきつかった。俺、クライマーじゃないし(カミさんはマイヨ・ヴェールだし)。
左の写真は「風見鶏の館」(国指定重要文化財)。トーマスさんというドイツ人の貿易商が自邸として建てものだとか。アール・ヌーヴォー様式、と言われてもどこがどうなのかはわからないのだが、設計は高名なデ・ラランデ氏の手によるらしい。ほー。昔NHKの朝ドラの舞台にもなったそうで、その展示もしてあったが、展示ものが多すぎて建物自体の良さがあまり強調されていないのはちと残念だった。あと、「9館特選入館券」が使えなかったのも残念(笑)。
ちなみに、「風見鶏の館」の隣にある「萌黄の館」もまた国指定重要文化財の美しい洋館だが、大震災の折には3本ある煙突が全て倒壊して屋根に突き刺さったとか。地震の多いこの国で古い建物を保存するというのは、本当に大変な事なのだ。
右の写真は「イングランド館」。夜にはバーになってギネスとかが飲めるとのことで、ちょっと興味を惹かれた。他の建物はまあ、「旧中国領事館」とか「外国人倶楽部」とか「旧パナマ領事館」とか「仏蘭西館」とか色々あったが、いくつも回っているうちに段々細かく見る余裕がなくなってやや流し気味になってしまった。元々休む場所が少ない上に、雨だからなおさらキツかった。建物自体はどれも見がいがあるだけに、もう少し快適な状況で回りたかったのう。
一風変わって面白かったのは、「ベンの家」という、その名の通り英国人狩猟家の家。いきなり身の丈3mのホッキョクグマ(の剥製)が立っているのには驚いた。次の部屋には既に絶滅したアメリカの国鳥ハクトウワシの剥製があり、さらにアメリカバイソンの巨大な頭が壁から生えているのにはびっくらこいた。その他もピューマやらトラやら狼やら……ワシントン条約のため現在では輸入不可能だそうだが、そらそうだろう。凄いアトラクションである(違うか)。
気がつけばとっくにお昼も回っていたので、「シティーループ」とかいうオシャレなバス(車掌さん付)に乗りこみ、三宮から元町へ。南京町の屋台で昼食を買い食い。アワビ入りフカヒレラーメン、チャイニーズバーガー(豚バラと高菜のまんじゅう)、北京ダック(その場で切ってクレープに巻いてくれる)、揚エビ団子、大根モチ、大粒タピオカ入りのココナッツミルク。だいたい100円~500円くらいで買えて、量もさほどではないので色々食べられるのが愉しい。
ただ、よく見るとどの屋台ももあまり置いてあるモノに違いはないようで、値段も変わらないし、どうせならもう少しバリエーションがほしいところではある。まあ、でも、一本買うごとにちゃんと暖め直してくれるし、ゴミもちゃんとお店で引き取ってくれるし(当たり前か)、そこら辺はちゃんとしていた。なんつっても、「南京町で食べる」というフェスティバル感がグーなのである。豚まんで有名らしい「老祥記」の大行列を横目に見ながら、満足して引き上げた。
で、三たび海岸線と西神・山手線を乗り継いで新神戸まで戻り、お土産を物色してから16時過ぎの「のぞみ」に乗って東京へ帰還。さすがに疲れたらしく、読みかけの文庫本を開いたままあっという間に爆睡してしまった。考えてみれば、神戸へ来たのは3度目とは言っても、ゆっくり(でもないが)観光したのは今回が初めて。適度にコンパクトな割に見どころが多くて下品なところも少なくて、「いい街だな」というのが率直な感想である。また来たいと思う。
あと、今回、行きの新幹線から現地の各所、そして帰りの新幹線に至るまで、至る所で東京グッズを身に付けた人々に遭遇したのが印象的であった。ホムスタでもスタンドの3~4割くらいは青赤に見えたし、どんだけ現地に行ったんだ青赤軍団、という。いや、僕らもか(笑)。