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2008年11月04日

●「とりあえず」にしては熱い初戦 ('08-'09天皇杯 vsベガルタ仙台)


昨日の午後は、味の素スタジアムで天皇杯4回戦。FC東京 2-1 ベガルタ仙台。リーグ戦も佳境に差しかかったところで迎えた天皇杯の初戦は、J2でまさに厳しい昇格争い真っただ中の仙台が相手。両チームともこの試合に向けたモチベーションが心配されるところだったが、いざ蓋を開けると試合は期待を上回る激しい攻め合いに。仙台のパスワークに苦戦し一度は追いつかれた東京が、ロスタイム平山のゴールで突き放して初戦突破を果たした。
 
 
薄曇りの天気、やや寂しい数の観客が見守る中で試合開始。いきなり両チームにチャンスが生まれる。4分、関口が長友を振り切って右サイドを突破、中央の永井へラストパスを送るがわずかに合わず。5分、カボレの高速ドリブルから東京がCKを奪い、平山が頭で合わせるもゴールライン上でDFがクリア。8分、中島がボックス手前から左足でミドルシュート、際どくポスト右を抜けた。11分には左をえぐるカボレからニアの平山へクロス、シュートは枠の左。

リーグ優先の仙台はナジソンや梁、岡山らを温存。戦力的には落ちるはずだが、しかしボール争奪戦でのファイトやパスを素早くつなぐ攻撃はなかなかの迫力。特に関口の動きはキレている。12分、関口の左サイド突破からCKを獲得し、中原のヘッダーがバーを越えた。一方の東京は茂庭の不在以外はほぼベストの構成。動きは悪くないながら、カボレ・石川の走力頼みの攻撃が目立つ。16分にもDFの間に割り込んだ関口のシュートがわずかに枠外。

しかし、流れとは裏腹に先制点は東京。19分、仙台陣ボックス前で梶山がマークずれを見てボレーシュート一閃、バーに当たって跳ね上がったボールを詰めた平山が押し込んだ。1-0。続いて22分にはフォアチェックからボールを奪い、平山から追い越す長友へ展開、えぐって入れたマイナスのクロスをカボレが狙いすましたシュートでゴール右にゲット……と思いきや、オフサイドの判定。ここで追加点が奪えていたらはるかに楽な展開になったろう。

その後は精力的な仙台の攻守を前に東京も雑なミスが増え、主導権を握れないまま試合は膠着。33分、羽生のパスでカボレが左サイドを抜けるが、DFが粘ってシュートさせず。39分、仙台左サイドからのクロスが逆に抜け、フリーの中島がシュートするがバーの上。42分には仙台のパスワークに東京DFが振り回され、永井のミドルシュートに冷や汗。ポゼッションで上回られるホームらしからぬ展開に、東京側スタンドからは「動け!」の声も。前半終了。
 
 
後半立ち上がり、中盤で仙台が健闘。47分、左→右へきれいにつないで永井のクロス、中原が頭で合わせるが左に外れ。50分、右に流れた中島のクロスに中原が飛び込むが東京DFが何とか寄せて防ぐ。この時間帯、小気味よくつなぐ仙台に比べると東京は個々がバラバラな印象であった。53分、仙台の右CK、宮沢のクロスがゴール前の混戦の中を抜けてヒヤリ。58分にはクロスのこぼれから石川がミドルシュートを撃つが、力んで大はずれ。

60分頃になると東京もセカンドボールをとり始め、ようやく良い形を作れるように。61分、羽生が巧みな動き出しで右サイド突破、平山を狙ってクロスを入れるがDFかろうじてカット。さらに東京は石川OUTでエメルソンIN。エメのキープ力を生かして長友や徳永が上がり、攻めが俄然厚くなった。ただしその分リスクも増えるわけで、62分、仙台は一発のスルーパスで中島(?)が左サイドを飛び出し、一対一に。塩田が左手一本でシュートを防ぐ。あぶねっす。

65分、CKから佐原のヘッダーはGK林の正面。劣勢の仙台は宮沢を外してFW田中投入。東京は負傷のカボレに替えて鈴木達。鈴木は快足を飛ばして駆け回り、仙台の守備網を大いにかき回す。69分、左サイド鈴木のキープから追い越した長友のクロス、中央に平山……の場面だったがDFが絡んでシュートさせず。71分にはエメからの展開パスで徳永が駆け上がり、林の前を抜くクロスを通すがまたも平山あと一歩。得点の匂いは確実に増していた。

ところが。直後の72分。佐原が上がっていたところで仙台の逆襲速攻、東京がマーク合わせにバタついている間に左サイドを縦につながれ、最後はクロスして右に飛び出した中原がシュートをゴール右に突き刺した。塩田の横っ跳びも届かず1-1。さらに仙台は中原に替えて佐藤由紀彦投入、由紀彦はキレキレの動きで右サイドを脅かし、試合の行方は俄然分からなくなってきた。対する東京は疲れの見える羽生OUTで赤嶺IN。もう攻め合いである。

76分、右タッチ際を抜けた由紀彦が速いクロス、中島が合わせるも塩田ビッグセーブ。その直後、エメのクロスから赤嶺が撃ったヘッダーはバーに当たって外れ。79分、梶山から右のスペースへ走る平山へ展開、平山が切れ込んで放ったシュートは林の脇を抜くも、戻ったDF渡辺のカバーでゴールならず。86分にはボックス左のスローインから平山が落とし、鈴木が反転シュートを突き刺すがオフサイド。89分にも鈴木のミドルシュートがバーをかすめる。

ついにロスタイム。出足良くこぼれ球を拾った由紀彦が思いきったロングシュートを枠へ飛ばし、塩田倒れ込んで防ぐ。やるじゃないか。だが、その直後に決勝点。ボックス付近でのパス回しから梶山がDFライン裏に落とすラストパス、これをDFと併走した平山が撃ち抜いてゲット。ようやく決めた!!2-1。残りの時間は、中島のミドルシュートに少々肝を冷やしながら、平山とエメがコーナー付近で時間を使って逃げ切りに成功。まずは初戦クリア、である。
 
 
いや、勝ったことももちろん良かったけど、「天皇杯初戦」にしては充実した試合だった。

仙台は事前に予想していたよりもずっと良いチームだった。もちろんJ2で3位だから力があるのはわかっていたのだけれど、戦力の割にややもたついている印象もあるし、何よりリーグ戦が正念場のこの時期に天皇杯で良い試合をするのは難しいのではないかと思ったのだ。でも、統率のよくとれた守備や切れ味鋭いパスワークなどはJ1の中位以下と比べても決して劣るものではなかったし、ましてナジソンや梁がいれば冷や汗どころではなかったかも。

そのベガルタに今年移籍した元東京の2人も、この日は元気に出場。由紀彦は出場時間こそ短かったものの、クロスの切れ味は相変わらず、出足もシュートの積極性も目を見張るものがあった。最近出番がないのは調子のせいではなく、戦術的な理由ということがよくわかった。宮沢の方は……厳しいかな、というのが率直な感想。いずれにせよ、2人とも今のダイヤモンド型の中盤(梁を生かすための仕様だろう)ではスタメン張る余地はまずないかな。

まあ、仙台はリーグの方で頑張って上がってきてよ、と。牛タン好きの僕としては(笑)。

東京にしてみれば、難しい初戦、相手がいいサッカーをしたこともあって苦しかったが、どうにか勝ち上がれて良かった、というところか。後半途中まではやや動きが固かったような気もするが、終盤の攻勢は決して悪い感じではなかったように思う。ただ、後半頭あたりのバラバラ具合は気になるっちゃ気になるやね。石川1人のせいではないのかもしれないけど、「ハマる」時と「ハマらない」時での中盤の構成力の落差があまりに大きいように感じるのだ。

勝利の殊勲者は平山。鹿島戦に引き続いて動きは良く(停滞するとスタンドから「遅い!」と怒られちゃうのだが)、加えてこの日はゴールに向かっていく姿勢も向上していた。79分やロスタイムのような場面を増やせれば、単に「つなぎ役」ではない存在感を増していけるだろう。その他では、鈴木達也の運動量と動き出しは非常に効果的だったと思う。平山と並べるとまさに「緩急」(笑)。あとは長友、エメ、梶山、忘れちゃいけないのは好セーブ連発の塩田か。

ということで、無事「次」へ進出することのできた天皇杯はしばらくお休み、これでチームもファン・サポーターもリーグ戦に集中することができるだろう、と思ってたら、なんだ、5回戦はもう今月の15日にやっちゃうんだ!あらまあ……。その次の週の神戸に遠征する身としては、はっきり言って金がない!!相手はアルビレックスか。あちらはその時点でまだ残留が決まってなくてアレかもしれないので、ここは是非サクッと勝っていただきたいものである。

つーか、鹿島だけ次もホームなの?ずるーい(笑)。
 
 
[追記]
試合後、悔しさのあまり倒れ込んでしまった由紀彦(らしいよな……何度も目にした光景だ)が東京ゴール裏からのコールに応えてくれたのは嬉しかった。あと、両チーム挨拶の後に由紀彦が石川に話しかけ、別れ際に握手を交わしていたのもなかなかいい光景だったね。
 

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コメント

お疲れでした、他だとアレですが自分自身はそんなに悪い印象は無いんですよね。
(I Can't Get No) Satisfactionな平山を含め。
受け止める戦い方で突き放し切れなかったけど魅せる部分では此方が上だったかと。

元東京の二人は東京の変わって行った様をどう感じたか?は気に成ります。
東京のG裏へは苦笑してたみたいですが(笑
http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00073384.html
一芸に秀でてるだけだと使い難いのかなぁ、組む守備専ボラ次第だと思うのですが。
由紀彦と石川直のは良い風景でしたね。

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