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2008年10月11日

●メークなんちゃら目撃 (プロ野球 ヤクルト×巨人)


ここのところ山のようにあった仕事もようやく一区切りつき、昨晩は20時頃に仕事場を出ることができた。携帯のスポーツナビでプロ野球の速報を見てみると、巨人がヤクルトに2点差をつけ、阪神が横浜にリードを許している。そう、独走状態だったタイガースを猛追の末とらえたジャイアンツのマジックは「2」。そのままなら一気に逆転優勝の場面が訪れるというわけである。改修なった神宮球場が見たかったこともあり、さっそく地下鉄で駆けつけた。
 
 
「もしかしたらチケット完売かも」という心配は杞憂だった。普通に窓口に並び、「スリーイニングチケット」自由席1000円(!)で入場。最近は便利なサービスがあるんだね。わずか3回とはいえ雰囲気を楽しむには充分だし、だいたい僕が子供の頃は巨人戦なんて毎試合満員でチケット入手はかなり困難だったのだ。なんつーか、時代は変わったというか……まあ、ラグビーなんか、昔の方が後半になるとタダで入れてくれたりもしたんだけど。

とりあえずバックスクリーン裏の売店でソーセージ盛り合わせを購入。ここは「ホームラン出たから1本おまけ!」の名物店だが、どうもヤクルト不振の影響か店のオヤジさんも元気がなさげだった(笑)。ビールは売店や売り子さんごとに種類が違う(おまけに生も瓶も缶もある!!)ので迷うところだが、とりあえず一番絞りをチョイスした。オープンエアーの座席でつまみにビール、個人的にはこれで球場に足を運ぶ目的の50%は達成、といったところ。

さすがに巨人の「優勝決定試合」だけあって、レフトスタンド・3塁側はおろかネット裏や1塁側の大半までも巨人ファンが占めている。何となくその中には入りづらいので、一番空いている外野自由席1塁側の一番端、まったり観戦派とやさぐれ気味のヤクルトファンがパラパラと座っているエリアに腰をかけた。ジャイアンツの攻撃になるとレフトスタンド・3塁側ではオレンジのタオルがぐるぐると回され、なかなかに壮観である。まあ、お祭り気分だわな。
  
 
さて、肝心の試合。さすがに出足の遅さが響き、席に着いた時には既に7回裏が終了していた。巨人が3-1でリード。巨人の先発はなんと昨年ヤクルトの大黒柱だったグライシンガー。対するヤクルトのピッチャーは4番手、元巨人の「画伯」こと木田優夫。なんか因縁を感じてしまう顔合わせではある。さすがに終盤で若手を起用していることもあるのだろうか、ヤクルトのメンバーの大半は知らない名前。淡々と凡打を積み重ねていく感じ。

で、あっという間に9回の裏へ。「さすがにグライシンガーが神宮で胴上げ投手はまずいだろう」と思っていたら、2アウトになったところでクルーンが出てきた。その間にビール売りのお姉さんからキリンクラシックラガーを購入。カップを受け取りながら「このまま胴上げですかねえ」「まあ、しょうがないよね。グライシンガーにやられるよりマシじゃないかな」などと話していたら、最後のバッター青木宣親があっさりセカンドゴロに倒れて試合終了。

愉しかったのはその後である。横浜×阪神が終わっていないため、巨人は勝ってもまだ優勝が決まらない状態。すると、そこはさすがプロ野球、外野一杯に警備員が散らばると同時にバックスクリーンで横浜×阪神戦の中継を流し始めた。もちろん巨人ファンは阪神の打者がアウトになるごとにやんやの大歓声。最後まで見届けてやろうと居残っている一部のヤクルトファンは、にわかタイガースファンに豹変。これぞまさしく「代理戦争」(笑)。

6回裏に下柳が崩れて逆転された阪神だが、藤川が後続を抑えて1点差で食らいつく。9回も寺原を攻めたてて2アウト1・3塁のチャンス。そこで打席に立ったのが、新井。そう、広島市民球場最後の年を戦うカープを捨て、記者会見で意味不明の涙を流して阪神に移籍した新井である。北京五輪に日本代表として参加しながら、惨敗した後に「実は骨折してました」などとのたまったあの新井である。野球の神様ってのはなかなかお茶目というか……。

案の定というか、新井は次打者の金本につなぐこともできずライトフライ。この瞬間、球史に残る大逆転優勝劇が完成した。ベンチから巨人の選手たちが飛び出し、原監督を胴上げする。レフトスタンドからは「たつのり」コールとテープの雨。ヤクルト側からもさすがに拍手があったかな。これ以上の長居は野暮というもの。優勝監督インタビュー、ライバル阪神への気遣いと選手たちへの賞賛を繰り返す品の良い原監督の言葉を聞きながら、球場を後にした。
 
 

いや、なかなか面白かった。

今までフットボールで「優勝」の場面は幾度となく目にしてきたけど、実は野球でどこぞのチームが優勝する瞬間を現地で見るのは初めての経験だったのである。印象としては、選手にしろファンにしろ意外と大人しいんだな、と。140試合以上も積み重ねてきた結果だからなのだろうか、狂喜乱舞というよりホッとして「いやー、良かった良かった」という感じに見えた。劇的な逆転優勝だったのにね。クライマックスシリーズの存在も影響してるのかな。

今回巨人がひっくり返したゲーム差は実に「13」。96年の「メークドラマ」の時が11.5差だったから、数字的にはあれより凄いということになる。聞くところによると、今度は「メークレジェンド」とか。うーむ……。まあ、皮肉な目で見ると、そもそも圧倒的な戦力を持ってるくせにそんな苦戦しやがって、ということになるけど。それと、これで巨人はセ・リーグを連覇したことになるのだが、昨年CS惨敗の印象が強すぎて全然そんな感じがしないのはちょっと気の毒。

あと、印象に残ったのはやはり巨人ナインの豪華絢爛さと、対照的なヤクルトの地味っぷりである。9回のメンバー表を見ると福地、川端、青木、畠山、飯原、田中、梶本、川本、松岡。マジで青木しかわからない……そういえば僕がプロ野球を見始めた頃のヤクルトのエースといえば松岡弘だったな、とか(笑)。ラミレスとグライシンガーの件も含め、あまりのコントラストに「本当にこれでいいのか」と思ってしまった。せめて神宮で決めるなよ、ってか。

つーか、巨人、これでまたクライマックスシリーズで中日あたりにコロリとやられたりしたら大笑いではあるな。今年から優勝チームには1勝分のアドバンテージが与えられるそうだけど……果たしてナベツネの執念は実るのか(笑)!?
 
 
今回嬉しかったのは、リニューアルされた神宮球場が昔の風情をきちんと残していたこと。先日JSPORTSで流れていたリポートによると、両翼など外野は広くなり(拡張工事の最中に土中から昭和初年度建設当初のフェンスが出てきたとか)、人工芝は最新鋭のもの(吸水性抜群、外野の芝はエンタイトルツーベース帽子のために低反発になっているそうな)に交換されたそうだ。バックスクリーンも全面に映像が映し出せる高画質の機器になった。

でも、色調やアナウンス・音楽など場内の雰囲気はほとんど変わらないし、個性豊かな売店(食券で買うカレーライスも健在かな?)も、様々な銘柄が樽生・瓶・缶で揃えられている優秀なビール販売システムもそのままであった。小学生の頃から神宮球場に馴染んできた身としては、そういったことが何よりも嬉しいのである。元々ここは交通至便でオープンエアーの素晴らしいスタジアムだったのだから。良いものは良いものとして残す、それが大事だと思う。

今年はなんだかんだで平日忙しく、ほとんど生で野球を見に行かないまま秋を迎えてしまった。来年の春や夏には、またしばしば神宮のスタンドでビールを楽しみたいものである。そのためにも、もうちょっとヤクルトには頑張ってもらわないと(FC東京と提携しているチームだし)。大リーグや巨人の引き抜きにめげず、頑張ってヨ!!
 
 
[追記]
昨晩は秩父宮ラグビー場でトップリーグのNEC×クボタが行われていたので、早く仕事場を出られればハシゴ観戦も可能だったんだよね。残念。実際にやった谷口アナのblogにも書いてあるけど、秩父宮のメインスタンドからは神宮球場のバックスクリーンがよく見えるのだ。
 

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コメント

神宮はネット裏2階席がお気に入りです。

畠山は12球団一年俸の安い4番とか言われてたな。800万だか900万だか。
松岡は若手の期待の星でいいピッチャーだと思う。60試合くらい登板して防御率1点台。
ラミレス抜けて打線が小粒になりすぎたわな。
一番ホームラン打ってるのが青木の14本じゃあねぇ。

当の巨人ファンとしては、やっぱり去年のCSボコボコの件があるので、うれしいけどまだまだ油断できないな、という感じかな。
正直言うと、中日が出てきたら厳しいことになりそう。

>神宮はネット裏2階席がお気に入りです。
わかるわかる。子供の頃はネット裏1階の1番後ろで観ることが多かったんだけど、高い目線でグラウンドが一望できて観やすいよね。

>ラミレス抜けて打線が小粒になりすぎたわな。
それが全てだよねえ。別に巨人ばっかが引き抜いてるわけでもなく、岩村や稲葉もそうだもんな。まさに野球界のジェフ千葉というか、若手を育てて何とかするしかないのかな。ヤクルトに「オシム」は現れるのだろうか。

>正直言うと、中日が出てきたら厳しいことになりそう。
監督にも選手にも、去年の完敗のイメージがあるだろうからね。ただ、その分リベンジへのモチベーションも高いし、中日は中日で悪い材料盛りだくさんだから、今年は何とかなるんじゃない?でも、落合監督は食えないオッサン(笑)だからな。やっぱり油断はできんか。

うまねんサンは野球はどこが御贔屓なんですか?

私は子供の頃は父の影響でジャイアンツの大ファンでしたが、
自分で物を考えるようになったら、とんでもない球団だと気づいてアンチになりました。
味スタにいる小さい子供達には、ずっとずっと東京ファンでいてほしいと切に願います。
まあ、東京はあらゆる意味で虚塵(←パソコンが覚えてしまってます)のようになるとは思えないので心配する必要はないでしょうが。

「エンタイトルツーベース帽子」
ちょっと笑ってしまいました。

私も子供の頃は父の影響で巨人ファンでした。特に西本聖さんを応援してましたね。あと、みんなに「王や長嶋に比べると……」と言われ続けてた原さんも。ちなみに、母は阪神ファンでした(巨人阪神戦の日は食卓が険悪(笑))。

そんな私を巨人から引き離したのは、落合選手と彼が移籍した頃の中日です。やっぱり、全盛期の落合さんの打棒というのは別格でしたから。その「俺竜」に乗って高く舞い上がったのが星野仙一さんで……ああ、あの頃は燃えたなあ。

つーか、それがなくとも、おっしゃるとおり、やっぱり思春期になると権威的なもの、メジャーなものに懐疑な視線を向けがちなもので、自然と巨人からは気持ちが離れてましたね。西本さんが追い出されてからはもう完全にアンチ巨人。

まあ、その後は落合さんが巨人に移籍して長嶋さんを「男にした」あたりからはやたらめったらなアンチ巨人でもないですし(昔ほどの権勢はないし)、そうですねー、特にひいきがあるわけでもないのですが……やっぱり中日かな。落合監督がいる限りは。

来年あたりは、神宮にビール飲みに行きがてら、少し「頑張れヤクルト」しようかな、とも思ってますけど。いくらなんでもあれは引き抜かれすぎだし。ジェフじゃないんだから。プロ野球(ドラフト制度)の戦力均等化の理念をあまりにも無下にしすぎやろ、みたいな。


>「エンタイトルツーベース帽子」
あ、ホントだ、思いっきり誤字になってる。でも、面白いのでこのままにしときます(笑)。

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