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2008年09月24日

●カボレ父さんと息子たち (FC東京×ジュビロ磐田)


秋分の日の夕方は、味スタでJ1第26節。FC東京 5-1 ジュビロ磐田。等々力での激戦クラシコから中2日で臨むホームゲーム。相手は降格危機にある必死の磐田、おまけに赤嶺・羽生・今野の欠場と、東京としてはやや嫌な状況であった。が、頼れる子供たちの不在にカボレお父さんが大ハッスル、彼の助けで次々に東京の子供たちが得点を重ね終わってみれば4点差の圧勝。ファン・サポーター大満足の「味スタ祭り」となったのであった。
 
 
前節から間隔がなく久々のデーゲームということもあったのか、ややまったりとした立ち上がり。ジュビロは3-5-2の布陣で駒野・村井が左右に張り、広く回してくる感じ。一方欠場者の多い東京は慎重な戦い方で、4バック+浅利はほとんど攻撃参加せず、攻撃は縦のボールでカボレ・石川を走らせるパターンが多い。4分犬塚のミドルシュートがバーの上、13分に左CKから茶野のダイビングヘッドがポスト右、と散発的に磐田のチャンス。

14分、東京に先制点。左サイドエメルソンの縦パスでカボレがタッチ際を突破、そのままDFを置き去りにしながらボックス角まで持ち上がって左足でシュート、きれいに逆サイドネットへ突き刺した。体調不良も囁かれていたカボさんだが、持ち味のスピードとシュート技術をいかんなく生かした圧倒的なプレーだった。1-0。いきなり不利な状況になった磐田はパス回しを加速させるが、22分、ボックス手前横に流れるカレン・ロバートのミドルシュートは枠外。

相変わらず東京の方は無理せず梶山の足下で落ち着けてからリスクの少ない攻めを狙う。23分、ロングボールのはね返りを石川→平山→右サイド初めて上がる長友へ、ニアを狙う低いクロスに平山がダイビングヘッドするも枠外。27分、FKからこぼれ球を拾ったカボレのボレーシュートがバーを越える。その直後には徳永のクロスのはね返りを浅利がシュートするが、DFがブロック。堅いサッカーだが、時折梶山が不用意にボールを失うのが気がかりだった。

30分頃になると磐田は右サイドにボールを集中するように。駒野や犬塚のクロスを茂庭がはね返す。駒野のクロスを塩田が抑えきれず、ゴール前ジウシーニョの足下に落ちて冷や汗の場面も。しかし33分、ボックス前へ持ち上がる梶山から右へ展開し、石川が低く速いクロス、平山がつぶれて逆サイドに抜けたボールをいつの間にか上がっていた佐原(ゲームキャプテン!)が冷静に押し込んだ。受け身になりかけていただけに大きな追加点に思えた。2-0。

ところが、直後の34分、自陣で石川が中途半端なバックパスをジウシーニョにさらわれる。塩田が前に出たところでジウシーニョはボックス外の前田へ戻し、佐原のカバーも届かずシュートがゴール左に突き刺さった。何とも「冷や水」の失点。2-1。その後はエメや梶山がバラバラに前へ出て奪われる姿が目立つようになり、佐原がジウシーニョとのドッグファイトを制すなど守備陣の奮闘でしのいだものの、やや雰囲気が悪くなったまま前半終了となった。


後半開始直後、いきなり前田のポストプレーから村井が左サイドをえぐり、ニアを狙うクロスにロバートが飛び込むピンチ。塩田が交錯しながらセーブ。東京は前半早々と同じく「5人で攻め、5人で守る」体勢だがどうも中盤の連携が悪く、守備圧力もかからない中で磐田がスイスイとパスを回すように。浅利が梶山に注意するシーンが多い。55分、梶山の不用意なミスパスから磐田のチャンス、駒野のクロスにジウシーニョが合わせるもヘッダーは塩田正面。

ここで早くも城福監督が動く。エメOUT大竹IN。どちらかと言えばよりミスが目立つのは梶山の方だったのだが、持ち駒との相談でエメを外すことになったのだろう。この策は成功し、東京の攻撃は活性化(スイッチ・オン)。大竹がボールを持つたびにスタンドが沸いて選手たちを後押しする。59分、大竹のピンポイントフィードで石川が右サイドを抜け、カボレ狙うクロスはDFにブロックされたものの、直後にショートコーナーから長友の左足シュートが惜しくもポスト左。

決定的な3点目が入ったのは61分。左タッチ際で茂庭が粘りのプレーを見せボール奪取。パスを渡された大竹から左へ流れるカボレへ好展開、カボレは中央へグラウンダーのクロスを送り、詰める石川と追いすがる茶野がもつれ合った次の瞬間ボールは左隅へゴールイン。記録はオウンゴールだが、逆球気味ながら諦めずに足を伸ばした石川の頑張りが生んだ得点であることは間違いない。ともあれ、これで再び東京の圧倒的優勢となった。3-1。

追い詰められた磐田はロバートに替えてゴン中山投入。64分には駒野がボックス内へ突入してクロスを上げ、塩田が何とかおさえる。だが、前がかりになれば当然後ろは空きがちになるもので、ここから東京は効率的にチャンスを作っていく。たびたび平山の足下にボールが収まり、浅利までもが機を見てオーバーラップを仕掛けるように。67分にはボックス前でFK、大竹のクロスにファーで平山が飛び込むも、ヘッダーはバーの上。

そして70分、ボックス左手前でパスを受けたカボレがグングン加速するドリブルでDFをちぎって突入、狙いすました折り返しを猛然と走り込む石川がゲットした。まるで3点目を「取り直した」ような得点。カボさんと石川の抱き合う姿がまぶしい。4-1。ここで東京は鈴木達投入に動くのだが、なぜか石川がOUT。腰に手を当ててキツそうなカボレ。「おいおい」と思っていたら、2分後に金沢投入でようやくカボさんはお役御免に。先に替えてあげなさいってば(笑)。

一方の磐田は怪我の田中マコに替えて松浦を入れるのみ。他人事ながら「それでいいのか」と思わされるベンチワークであった。32分、大竹とのコンビで長友が右サイドを突破、クロスはかろうじてDFが止めたものの、若い奴らは容赦がない。35分には東京DFのクリアボールが磐田陣で跳ね、DFが処理をミスしたところを鈴木がさらってゴール前へ運び、飛び出す能活をかわして冷静に左足で決めた。「やめて!もう死んでるわ!!」という感じか。5-1。

その後は磐田が必死に反撃しようとするものの、バラバラにアタッカーが仕掛けるばかりで奏功せず。はね返してスペースに蹴り出せばチャンスになるのだから戦いやすい。4分のロスタイムは、平山が2度のダイビングヘッドを決められなかったり(しかも一度はハンドで警告)、まだ満腹じゃない大竹と長友がピラニアのように磐田の選手に群がったり(笑)と、変な見どころ満載だったがスコアは動かず。東京ファンうっとりの雰囲気のまま試合終了となった。
 
 

色々な意味で「おいしい」試合だった。(笑)が、じゃなかった、笑いが止まらん。

赤嶺・羽生・今野と主力3人を欠く布陣。おまけにカボさんの体調がイマイチとなれば不安がないはずもなく、実際立ち上がりは守備的な戦いぶりだった。城福監督としては「前半同点ならよし」くらいの気持ちだったのではないだろうか。それが、カボさんの鋭いプレーで先制、時間を置いて追加点と期待以上の展開に。で、一旦はミスでペースを失ったものの、交代策で流れを引き戻して3点を追加。派手な割にはリーズナブルな勝点3でもあった。

反省点としては、石川のミスによる失点が挙げられるだろう。相手がプレッシャーをかけてきた場面だけにGKへのバックパスは選択肢としてもちろんあるし、他のコースがなかったとすれば味方の責任もあるかもしれんけど、いかにも中途半端で悪いパスだった。単に1点失っただけではなく、チーム全体がリズムを失うことになったのだからきちんと検証して繰り返さないようにしないと。まあ、逆に言えば、勝って反省できるのは喜ばしいことやね。

個々の選手では、まずカボレの活躍にシビれた。あの時間帯に個人技でスコンと決めてくれたことでどれほど戦いやすくなったことか。そして、その後の石川への実質2アシスト。キープもできるし守備もある程度してくれるし、ホントよく働く選手だ。後ろ姿は有楽町のガード下でホッピーとか飲んでそうな「ちょっと疲れた」風だけど、赤嶺や石川をアシストして抱きしめるシーンなんかは「いいお父さん」という感じである。まだ28歳なんだけどね(笑)。

石川もよく頑張ってくれた。流れを失う原因になったパスミスは残念だったけど、2点目のアシストに加えて実質2得点で、取り返してお釣りが来るくらいではなかろうか。「ここぞ」という場面でゴール前へ飛び出せるようになったのがグー。働き者の鈴木達也は初ゴールおめでとう。梶山はあまり良くなかった。エメルソンはちょっと割食って気の毒だったかな。大竹は展開パスを出せるようになってきたのがよし。あと、平山は……がんばれ!!

守備陣では佐原の活躍が光った。一対一でジウシーニョを抑えた時の歓声はもの凄く、川崎戦の活躍と合わせて完全にファンの気持ちを捉えた様子である。ちょっと小峯にも似てるんだよな、雰囲気が。茂庭はすっかり回復完了。長友もだいぶ体調が戻ってきたみたいでファンとしては嬉しい。浅利は東京のへそ。浄さんは地味に良かったような。徳永は良くも悪くも目立たなかった。塩田は、ちょっと心配なところがあるんだけど、それはまた別途。

なんか、圧勝に気分を良くしてすっかり饒舌になってしまった(笑)。別に内容が超良かったわけでもなく、むしろ相手の絶不調ぶりに助けられたとも言えるわけで、本当なら「勝って兜の緒を締めよ」なんだろうけどね。しかし磐田はどうしてしまったのだろう。J1に上がったばかりの頃のジュビロなんて、目標であり憧れであり立ちはだかる壁だったのに。少なくとも、今のあのチームに対する処方箋として「オフト」が正しいとは思えないのだが……。
 
 
 
[余談]
試合中、突然後ろの席の子が親御さんに向かって「ねえ、オフトってメタボだよねー!!」と大きな声で話しかけたのを聞いてウーロン茶吹いた。この日のピッチ上もそうだったけど、小さい子って容赦ないね(笑)。
 

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コメント

雨のジュビスタ1-6惨殺劇を知ってる身としては、このな日が来るとはにわかには信じがたいんだけどねw

>「やめて!もう死んでるわ!!」

じゃ平山は完全なむくろに向かって連発して一発も当たらなかったってことですか?
かっこ悪すぎ・・・

秋の夕暮うろこ雲が鈴木達也のまゆ毛のようでいいですね。
(!ゴルゴと並んでるところを写真撮りたいな)

>後ろ姿は有楽町のガード下でホッピーとか飲んでそうな

飲んでる飲んでる(笑)
ブラジル人のわりにメンタルがあまり強くなさそうだから、サイドよりなほうがフィットするような気がします。(ブラジル人がみんなメンタル強いと思い込んでる自分w)。かなり効いてます。ぶっちぎれる。

お疲れ様でした。

>カボレ父さん
シンプソンズのホーマーみたいな感じですかね?(笑)
やる気に成ると凄い、
点が入らない時は声優が○ジョージだったり。
しかし平山は運が無いと言うか、まぁ決まらない時はこんな物って事かと。
サリのコメント格好良すぎ。
浄さんは効いてましたね。


>佐原
>小峯に似ている
スクランブル時はキーパーですか?(笑)ガッツマンなのは同感です。
佐原(と藤)のおかげでモニも戻って来ましたしね。
大沼町に家を買って欲しいっす。

>じゃ平山は完全なむくろに向かって連発して一発も当たらなかったってことですか?
心優しい相太君は、きっと死者に鞭打つようなまねをしたくなかったのだよ。
まあ、こういう試合で無駄打ちするのではなく、次の試合で決めてくれれば……とか思ってたのだが、あのハンドで出場停止ってか!!間悪すぎ。

>ブラジル人のわりにメンタルがあまり強くなさそうだから
よく考えたら凄い物言いだなあ。いやあ、ブラジル人だって、○ーカスとか○ャーンみたいな人たちもいるわけですから(笑)。

>ぶっちぎれる。
今年は観戦記を書いていて「ちぎる」「置き去りにする」という表現をよく使っているような気がします。キモチイイ。

>浄さんは効いてましたね
渋く、地味~~にね(笑)。

>スクランブル時はキーパーですか?(笑)ガッツマンなのは同感です。
ああ、冗談抜きで、3人交代した後でGK痛んだら、きっと佐原がやるんでしょうね。「ガッツマン」というのはまさにその通り。容姿は10光年ほどかけ離れていますが、もはや私の目にはコミネにしか見えません(笑)。

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