●がんばっていただけに、残念 （'08ナビスコ準々決勝2nd テレビ観戦）
ナビスコ杯準々決勝はスカパー！の中継を録画で。大分トリニータ １－１（計３－２） ＦＣ東京。１ｓｔレグで敗れた東京にとっては２得点以上の勝利が必要だった試合。開始早々にカボレのゴールで先制するもその後は大分の堅守をなかなかこじ開けられず、前半終了間際にエジミウソンの同点ゴールを許す。後半も大分の逆襲速攻に悩まされながら、終盤には怒濤の攻勢でチャンスをつかんだが、惜しくもあと１点が奪えず無念のタイムアップ。
よくがんばったな、勝たせてあげたかったな、という印象の試合。
大分のＤＦはやはり堅かった。中盤にはホベルト・エジミウソンがガッチリと鍵をかけていてほとんど中央突破はできず、３バックも森重の穴を感じさせない堅実ぶり。東京は浮き球でＤＦラインの裏へＦＷを走らせるパターンがはまって先制点こそ奪ったものの、２点目はいかにも遠く、後半はむしろ金崎を軸に鋭い逆襲を見せた大分の方に得点の香りがしていた。まあ、自らまいた種とはいえ、この相手に２点差勝ちが必要な状況はしんどかったか。
それでも、東京の出来も決して悪くはなかったと思う。茂庭・藤山をはじめとして守備はおおむね安定しており、攻撃で主導権を握りきれないながらも最後まで崩れなかった。攻撃陣も局面では健闘を見せ、カボレの先制ゴールの他にも幾度か決定機を作った。前半の最後にパス展開からフリーの羽生がボレーで狙った場面、後半半ばにカボレが左サイドを抜けたカウンター、そしてポストを叩いた赤嶺の反転シュート……あと１本、決まってればなあ。
まあ、とにかく、なかなか結果が出ないことで変に焦らないことだろう。
心配なのは、春に比べてもアタッカーのコンビプレーが少なくなっていること。もちろんチーム全体としてのムービング（ポゼッション？）サッカーなんてのは突然できるものではなく、徐々に意識と動きを高めていくしかない。でも、攻撃においてはやはり複数の連動した動きこそが東京の生命線のはず。パス＆ゴー、オーバーラップ、ワンツーリターン。暑さの中で頻度が下がるのは仕方ないとして、「ここぞ」という場面で出ないんだよね。ちとバラバラな感じ。
あと、梶山不在の影響は、パッサーの不足というより羽生やエメルソンの負担増という形でチームに影を落としているように見える。足下でボールを持てるエメはともかく、羽生は中盤以降に下がると狙われがちだし守備に引っ張られることが多くなるし。たおたけ先生、このままだと過労死しちゃうよ（笑）。もっと伸び伸びスペースを狙わせてあげたいんだけどね。言い方を変えると、今野が「つなぎ役」を果たせてないのが相変わらず苦しいところ。
大分は、さすがリーグでも上位に食い込んでいるだけあっていいサッカーをやっていた。ハードワークな堅守がベースにあって、逆襲速攻もきちっと整理されていて。マンＵ＞アーセナルな僕としては、こういうソリッドなサッカーは好きである。毎年毎年あれだけ選手を引き抜かれてインスタントなチーム作りを余儀なくされているのに本当に大したものだ。シャムスカの存在は、Ｊの地方チームに夢と希望を与えているとさえ言えるかもしれない。
金崎夢生はいいね。技術的なレベルはもちろん、ゴールに向かって勝負していく意識の高さに魅力を感じる。今に大分はもちろん、日本代表を支える選手の１人になるかもしれない。再来年くらいに赤いユニフォームを着ているのだけはご勘弁を（笑）。他にも鈴木慎吾（同点アシストのクロスは素晴らしかった）や高橋大輔、それに五輪代表の西川や森重もいるし、外国人のレベルも高いし、トリニータがナビスコで優勝してもおかしくはないよな。
ということで、残念ながら東京はナビスコカップ敗退となってしまったのだけれども、無理矢理ポジティブに考えればこれでリーグ戦に集中できるわけで、まあ後半戦じっくりとチームを熟成させていくには好都合かもしれない。でもナビスコは「１年目」で狙うには手頃なタイトルだったな……（泣）。つーか、次の名古屋戦はさっそく３日後に来てしまうわけで、肉体的にも精神的にも引きずらないといいな、と思う。調子的には最悪の時期を脱したように見えるだけに。
もうリーグ戦は２ヶ月近く勝っていないのか。名古屋では勝利の美酒を味わいたいものである。つまみは手羽先でね。
