●何だったんだ、あの雨は(笑) (U23日本×U23アルゼンチン)
火曜日の夜は、国立霞ヶ丘競技場でキリンチャレンジカップ。U23日本代表 0-1 U23アルゼンチン代表。オシム爺が監督を辞めてからはや半年、ふがいないことに未だに代表応援モードに入りきれない僕だが、今回はリケルメが(チケットを買った段階ではメッシも!)来日するということもあり足を運んでみた。テストマッチとはいえ本番間近、なかなか熱のこもった攻防を楽しむことができたが、まさかの夕立(?)で最後はとんでもない状況に。
キックオフ後、まず目についたのはアルゼンチンの流れるようなパス回し。滑らかにポジションをずらす選手たちの間を、ボールが滑るように、それも手渡すような正確さで移動していく。特にリケルメのボールキープの懐の深さと視野の広さは絶品。左右への揺さぶりからグラウンダーのクロスにアグエロとラベッシが飛び込み、またリケルメの絶妙FKがきわどく外れるなど、危ない場面がいくつか。日本は自陣に押し込まれながら戦うことになった。
しかし、試合が進むうち、日本の選手たちもそのパススピードに慣れていき、押されながらも安定した守備で持ちこたえていく。特に中央を塞ぐ本田拓や森重らは粘り強く食い下がり、容易な突破を許さない。逆に、梶山と本田圭の配球から、内田・安田の鋭い飛び出しで良い形も。ただ、全体的に押し上げができないため肝心のゴール前で合わせる駒があまりにも少なく(ほとんど豊田1人)、チャンスは散発的にとどまった。前半はスコアレスで終了。
後半になるとアルゼンチンは攻撃のギアを一段上げてきた。前半はあれでも慎重に回していたということなのだろう、ワンツーやドリブルでの突っかけなどチャレンジングなプレーが増え、日本DFは対応に追われるように。CKやFKが連続し、ボックス内のシュートをDFがゴールライン上でブロックする場面も。そんな59分、突如香川の持ち上がりから本田圭の「やられっぱなしではいないぜ」的なミドルシュートがバーを叩く。おお、やるじゃないか!
ところが、この面白くなってきた時間帯。後半開始直後からポツポツと降り始めていた雨がここでにわかに強くなり、シャワーのような豪雨がピッチに降り注ぎ始めた。空には稲光も。ピッチ状態が良好なためかさほどプレーに影響はなかったようだが、観戦には大きな影響が出た(笑)。カミさんが早々にレインコートを買ってきてくれて助かったのだが、それでも靴の中もズボンもびしょ濡れである。つーか、当たると痛いほど大粒の雨って初めてかも。
そんな中、ゴール前の混戦で梶山の足下にボールが落ちる。ボレー、決めろ!しかしDFに当ててしまった。64分、日本は森本投入で勝負に出る。だが、68分、日本のFKのチャンスからアルゼンチンのカウンター。ボックス付近でアグエロの反転パスを足下に収めたディ・マリアがフェイントで安田をかわし、ゴール右隅にゲット。ここぞという局面で見せた質の高い動きはさすが、セットプレーの後で森重が戻れなかった日本は対応できず。0-1。
その後はますます雨が強くなり(聖火台の炎が消えるかと思ったよ(笑))、雷鳴もかなり頻繁に。アルゼンチンの側は時間を潰しにかかり、日本側は岡崎・長友を投入してテンポを上げようとするがどうも噛み合わない。で、ピカッドドーンとでかい雷が轟いたところでレフリーが試合中断。競技場のコンコースは避難する観客でごった返して大変なことになっていたが、数分とたたないうちに「試合中止でーす!」との声が聞こえてきた。やれやれ……。
僕のさほど長くないフットボール観戦歴において、試合が途中で中止になったのは初めてであった。天気予報では雨などと一言も言っていなかったのに……。ただ、これが冬だったら目も当てられなかっただろうが、夏の雨だから「濡れてもいいや!」と開き直ってしまいさえすればさほど辛くはなかったし、むしろ滅多にできない経験だけに実はちょっとワクワクした。先日の「ファイヤーワークス」じゃなくて「レイン&サンダーワークス」ってか。
予期せぬ豪雨の中やけくそ気味に大声で歌ってた人も多かったし、上半身裸で踊っている連中もいた。気のせいか、ゴール裏の応援もいつもより盛り上がっていたように思えた。『台風クラブ』みたいな(笑)。個人的にも、これだけ盛り上がった「代表戦」は5年前のUAE戦以来である。これで森本がゴールを決めて勝ったりしたら、それこそ一生忘れられない思い出になったろうけど、そこはちと残念。まあでも、忘れられない試合には違いないか。
そういや、国立競技場で「日本五輪代表」と「アルゼンチン五輪代表」の試合を観るのはこれが2度目なのだった。前回は98年のU21代表戦で、確か柳沢や稲本、宮本といった黄金世代の日本をトルシエが率いた最初の試合だったのではなかろうか。俊輔のまぐれっぽいループシュートが決まって1-0で勝ったのを覚えている。あの世代は結局シドニーでベスト8まで行ったけれど、今度はどうだろう。タレント的には遜色ないと思うのだが。
この試合、良かったのはまず森重。今季急成長の印象がある選手だが、今回も優れたポジショニングとカバー防御が光っていた。本田拓と水本も地味にいい働きをしていたと思うし、守備は及第点だろう。攻撃では、内田の切れ味は存分に通用。本田圭の技巧もさすが。梶山はよくバランスをとりながら(特に守備で)体を張っていた。安田は軽いプレーが多くてちと残念。つーか、結局、このチームはやっぱり攻撃の組織力が課題なんだよな……。
試合後は信濃町の某店でサッカー飲み会。普段梶山について厳しい意見を書いている某講釈師さんがこの日の梶山については絶賛していて、逆に何人かいた東京ファンが「いや~、まだまだこんなもんじゃ信用できない!」とか言ってるのが可笑しい。まあ、確かに、今季のGW以降はかなり安定してきたと思うけど、それまではあまりに浮き沈みが激しすぎたからねえ。そういや、「リケルメと10番対決だ!」とか勝手に思ってたのに、リケルメ8番だったのな。
あと、そのお店ではいつもモニターでサッカー関係の映像が流れているのだが、昨晩はアトランタ五輪ブラジル戦のダイジェストだった。いや、懐かしいというか……西野さんも能活も前園も伊東テルもロベカルもリバウドもジッダも、とにかく若い、若い!!今にして思えば、あれは本当に重要な試合だったんだよね。当時僕は大学生だったけど、いまだにあの勝利の感動は忘れられない。メキシコ五輪銅メダルの快挙を知らない僕にしてみれば。
反町ジャパンが北京でもたらしてくれるのは、メダルだろうか、それとも感動だろうか。何も持ち帰れなかったりして、なーんて今から言うのは不吉だな(笑)。とにかく、ガンバレ。