●『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』
昨日の午後は、六本木ヒルズのTOHOシネマズで『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』。『最後の聖戦』からなんと19年ぶり、ファン待望、というよりまさかまさかのインディシリーズ新作である。物語の舞台は前作からちょうど19年後の1957年、東西冷戦の真っ只中で「赤狩り」が吹き荒れた時代。宇宙人の死体と古代文明を巡る謎を追って、インディ一味とソ連特殊部隊がネバダで、そしてアンデス山脈で激しい追跡劇を繰り広げる。
いやー、楽しかった!面白かった!!感動した!!!
『レイダース』以来の「インディ・ジョーンズ」ファンである僕だが、実は実際目にするまでは続編制作に懐疑的だったのだ。昨今の(ハリウッドに限らないが)「続編粗製乱造」ぶりに加え、第3作『最後の聖戦』の出来が非常に良かったこと、そして何よりスピルバーグもルーカスもハリソン・フォードも60歳を越して今さらキレのよいアクション映画が撮れるのだろうかと。3部作は3部作で「良い思い出」にしておいた方が良いのではないかと。
だが、杞憂だった。序盤の「アトミック・カフェ」やスパイ云々のくだりこそややテイストに違和感を感じたものの、キャンパスでのKGBとのカーチェイスに始まって、ナスカへ飛んでからの荒野や密林、洞窟、遺跡におけるノンストップの物語進行はまさに“Indy is Back!!”であった。際どいアクションとボケ&ツッコミの連続、気持ち悪いミイラや虫、思わせぶりな謎、友情愛情にちょっとしたおセンチ、そしてお決まりの勧善懲悪と一件落着。
このシリーズ特有のスピルバーグ・ルーカスのサービス精神は今回も健在。つーか、これまで以上に悪ノリしているような感じで、もうお腹いっぱいという感じ。インディが冷蔵庫の中に隠れて核爆発から脱出するシーンとか(『ダイ・ハード』か(笑))、マット(シャイラ・ラブーフ)がおサルさんたちに導かれて蔦から蔦へ伝わりながら自動車を追いかけるシーンとか、まるで宮崎アニメ(実写版『カリオストロの城』(笑))かと思うような演出もあった。あ、でも、元からそうか。
で、そこまでだと単なる「よくできたアクション映画」なんだけど、ファンにとって喜ばしいのは、今作がこれまでの集大成的な作品になっていることだろう。「映画秘宝」では「同窓会映画」と書いてあったかな。エリア51の倉庫は『レイダース』のラストシーンの場所だし(「聖櫃」もチラッと見えるね)、前半のインディとマークのやりとりは『最後の聖戦』でのインディとシニア(ショーン・コネリー)の会話そっくり、とどめは『レイダース』のマリオン(カレン・アレン)の再登場……。
(次の段落、ネタバレ注意)
個人的に嬉しいのは、インディの息子マットが登場して、2人の関係性が映画の一つの軸を成していること。「世代を超えて紡がれていく父と子の物語」というのはルーカスが『スターウォーズ』で描くのに失敗した(と僕は思う)テーマだが、今回は最強コンビがしっかりやり通したな、と。インディがシニアの写真を見つめる場面、バイクに2人乗りした親子のやりとり、「お祖父ちゃんが笑ってるぞ」(だっけ?)の台詞、そして素晴らしすぎるラストシーン。ジーンときた。
まあ、冷静に考えればセルフパロディが多すぎて、一見さんが楽しめる映画かどうかは微妙かもしれない。ただ、元々のこのシリーズのファンにとって素敵な贈り物であることは間違いないだろう。制作者のシリーズへの愛がしっかり感じられるのが良い。ジョン・ウィリアムスのメインテーマに乗ってエンドクレジットが流れ始めた瞬間、大げさでなく震えが来た。ホントすげえよなあこのジイサンたち、という。「いやあ、映画って、ほんっとうにいいもんですね~」。
僕は、あと2回くらいは映画館で観ようと思う。みんなも、今すぐ映画館に走れ(ついでに『レイダース』と『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』も観ておけば楽しさ2倍だ)!!