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2008年04月06日

●1点差は心臓に悪いっす(笑) (FC東京×コンサドーレ札幌)


昨日の午後は、味スタでJ1第5節。FC東京 1-0 コンサドーレ札幌。「中2日3連戦」の3戦目は、前節リーグ初黒星を喫した東京にとって「勝たなければいけない」札幌との一戦。前半はラブリーなパス回しと個人能力の違いで圧倒したものの、足の止まった後半は一転低調なサッカーに。札幌のサイド攻撃に苦しめられながら何とか守りきって勝点3をゲット。開幕から約1ヶ月、待ちに待ったホーム初勝利である。


開始直後は札幌が攻勢をとり、いきなり右FKからのクロスに曽田が頭から飛び込んでシュートがポスト左を抜け、ヒヤリ。その後も佐原のミスから攻め込まれる場面があり、どうもピリッとしない立ち上がりであった。それでも、次第に力の差が表れはじめ、東京のパス攻撃が形になっていく。7分、梶山の長く正確なフィードから徳永が縦に突破、カボレを狙ったクロスはDFカット。10分には右サイドのパス交換からまた徳永が前進、平行パスを受けた梶山がループ気味にゴールを狙うもGK佐藤キャッチ。

その直後、カウンターから大竹のスルーパスで羽生が抜け、シュートをDFが必死のブロック。非常にいい流れであった。そして先制点が生まれたのは12分。中盤の争奪戦から浅利が縦にフィード、カボレが曽田に絡まれながら倒れず、巧みにバウンドに合わせて左足を振り抜く。佐藤の横っ飛びも届かず、ボールはゴール右隅に転がり込んだ。完全にミートしたシュートではなかったが、とにかくコースが最高だった。「決定力」の3文字が頭に浮かぶプレー。1-0。

その後も東京の攻勢が続く。守備のケアを精力的にこなす浅利の助けもあり、この日の梶山は問題ないボールさばき。で、ちゃんとパスが出てくるものだから引き出す方もよく動き、という好循環。18分、左サイドのパス交換から羽生のスルーでカボレがボックス内に突入、ヒールで戻したボールに今野が走り込むが遅くもシュートできず。ゴール裏からは「セクシー、とうきょう!」のコール。20分にはCKのこぼれ球がゴール前で曽田の足下に落ちるピンチとなるが、シュートは浅利がブロック。

この時間帯、中盤は東京の圧勝であった。よくパスがつながり、札幌を押し込んでいく。25分、今野がボールを奪ってカウンター、中央でパスを受けた大竹がフェイントでDFをかわしてミドルシュート、GKキャッチ。札幌の方はBKラインでうろうろ回してから味のないロングボール、というシーンが目立つ。29分、カボレの重厚なドリブルから梶山が右へ展開、徳永が低く速いクロスを入れるが惜しくも中の選手に合わず。32分には浅利がカボレとのワンツーで突破を図るという驚きの光景が。

35分には決定的な場面。浅利が入れた楔のパスをカボレがボックス内へ流して今野が突入、戻したボールをカボレが左足で叩くが、強烈なシュートは佐藤が横っ飛びで弾き出す。これは完全に決まったかと思えたが……その後はベタ引きのような形の札幌DFを攻めあぐみ、大竹がドリブルで仕掛けるが得点は奪えず。内容で圧倒した割にはわずか1点差でハーフタイムを迎えることになった。


後半も立ち上がりは東京ペース。46分、カボのキープからオーバーラップの今野が抜け、狙いすましたクロスを入れるがDFカット。その直後にはCKで佐原のドンピシャヘッドが枠をとらえるも佐藤がはじき、詰めていた羽生はシュートしきれず。さらに梶山が浮き球でフィードし、羽生がボレーで狙うもバーの上に外れる。54分にはボックス前左でFKを獲得し、「徳永か、大竹か、羽生か、それともトリックで梶山か」とワクワクしたものの、徳永のシュートがあっさり壁を直撃して拍子抜け(笑)。

ここまでは東京の完勝ペース。だが、岡本OUT砂川INの交代あたりから雲行きが怪しくなってくる。東京は攻め疲れに加えて連戦の疲労もあるのだろう、早くも足が止まり始め、つないで互いにパスを引き出しながら前進していく形が見られなくなる。14分、大竹のポストプレーから梶山がミドルを撃つもはるか上空へ。一方札幌は交代によりサイドから崩す方向で意識が統一され、キレキレの砂川が右を駆け上がってクロスを連発。61分、中山のヘディングシュートが枠を襲うも、塩田がはじき出す。

62分、ロングボールをカボレが落として大竹がDFの間をボックス内へ走り込み、角度のないところからシュート!ポストに当たって惜しくもゴールならず。目を見張る俊敏さと確かな技術、そして何よりゴールを目指す意欲。ある意味、カボレの得点以上にシビれたかもしれない。しかし、このプレーも試合の流れを変えるには至らず、攻め込まれてクロスをボックス内でかろうじてクリア、という場面が続く。攻めても雑なロングボールが多く、トップに収まってもフォローがない、という低調ぶり。

東京は67分にカボレOUT赤嶺IN、その4分後には大竹OUT長友INの交代策。おそらく前にフレッシュな選手を入れることで、追加点を奪うというより相手の攻勢に歯止めをかけたい、という意図だったのだろう。直ちに流れが変わったわけではないが、札幌のクロスの精度の低さにも助けられ、なんとか1点差をたもったまま試合は終盤へ。77分、坪内の浮き球で砂川がゴールライン際まで前進してクロス、幸いFWには合わずに逆サイドへ流れてくれた。

78分、徳永の縦パスから長友がDF2人相手に勝負、クロスに赤嶺が合わせたがヘッダーはバーを越える。82分には羽生から長友へのスルーパスが通り、クロスを入れるも中の人数が少なく逸機。ここでゴール裏から「シュート撃て!」コールが起こったのだが、その直後に今野が本当に強引なミドルシュートを撃ったのには笑った(いい奴やのう)。さらに今野が浮き球をゴール前に入れて赤嶺が飛び込むが、GKと接触してファウルの判定。

終了間際になっても札幌のクロス攻撃をブルーノや佐原の強さではね返し、赤嶺や長友が逆襲で札幌陣に入る、という構図は変わらない。ただし、東京はもはや追加点は難しいという判断をしたのだろう、ゴールを狙うというより時間稼ぎの動きがメインになっていった。赤嶺も長友も期待に応えてコーナー近くで幾度か頑張り、44分にはDF2人相手にツインキープの荒技も。結局、4分間のロスタイムも耐えきった東京がなんとかホーム初勝利をものにした。



しかし冷や汗ものというか……とにかく1点差は心臓に悪いな、というのがミもフタもない感想(笑)。もちろんサッカーの世界で1点差なんてのはフツーのことなんだけど、やはり札幌あたりからしっかり勝点を稼いでおかないと後で苦しくなるしのは間違いないし、まして、前半は完全に圧倒して幾度か決定機も作ったのだから。もし勝てなければ、ショックは非常に大きかったかもしれない。とにかく、今日のところは最低限必要な結果は出してくれた、というところか。

内容的には、開幕戦や新潟戦、京都戦と同じく「やりたいサッカーがある程度できた時間帯」と「その後」とがはっきり分かれていた。55分くらいで攻勢限界点に到達、みたいな。まあ考えようによっちゃ、怪我人続出でしかも連戦の後なのに開幕戦と同じくらいまでムービングタイムがもった、というのは進歩かもしれないが。走力・持久力の向上には限界があるから、いくらなんでももう少しペース配分といい意味での「手抜き」が必要になるのだろう。ま、言うは易し、か。

全体的には、浅利が入ってケアに奔走した分中盤は安定したように見え、梶山や今野もここ2試合よりはよい働きができていた。ただ、その分アタッカーの枚数が少なくなってバランス的に前がかりになりきれなかったかな、と。カボレや羽生もトップフォームまであともう少しという印象。後半はサイドを狙われて金沢あたりかなりキツい状況だったが、札幌も単純なクロスが多く、こちらが高さのあるCBを揃えていただけに帳尻は合った。「単に相手が強くなかったからだ」という説もあるけど(笑)。

個々に目を向ければ、初登場のブルーノさんは強さと足下の巧さを兼ね備えたDFで、今後も普通に使えそう。不満に思ったのは佐原の方かな。守備の不安定さもさることながら、パスの方がちょっと……。浅利は今のやり方に合っている様子で、J2やJFLの頃みたいにパスの起点になってるのが嬉しい。攻撃陣では、カボレの重厚感と大竹の軽快さのコントラストは見ていてとても楽しい。石川やエメルソンが帰ってくると、監督的には嬉しい悩みになるかも。

そんな感じで、繰り返しになるが、内容的には不満が残りながらもとにかく勝てて良かった、という試合だった。次は1週間後に「東京ダービー」が待っている。お客さんもそれなりに入るだろうし、新生東京のプレゼンテーションとしては絶好の舞台である(その翌週は「多摩川クラシコ」だが、そちらは正直まだ勝つ自信がない(笑))。ぜひいい内容で快勝して、GWの連戦に向けて上昇気流に乗ってもらいたいものである。フッキさえ抑えれば何とかなる……かな?


 

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コメント

両軍とも連戦の影響でグタグタプレイになってましたが、カボレの決定力が勝敗を分けました。

内容はともかく、結果は出ました。この勢いで東京ダービーにも勝利したいところです。

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