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2008年04月17日

●こんなこともあるよ、ってか ('08ナビスコ杯第3節vs磐田)


昨晩は、味スタでナビスコカップグループB第3節。FC東京 1-1 ジュビロ磐田。劇的な「東京ダービー」逆転勝利のわずか4日後、今度は平日の夜にナビスコ予選。いかにもモチベーションと調子の維持が難しそうな状況だったが、案の定というかイマイチ感の残る90分。それでもスクランブル出場の赤嶺の活躍により勝利まであと一歩の状況へたどり着いたのだが……ロスタイムにリードを守りきれず、ちょっぴり残念な「勝点1どまり」の結果に。


観客1万1千の寂しいスタンドに合わせるように、立ち上がりは静かだった。羽生・エメ・石川を欠く東京はダービーの反動か、それとも怪我人続出・連戦の中でペース配分を意識したのか、全体的にどこかおとなしい印象。対する磐田は短いパスを手早く回してボールを支配し、攻め立てようとする。だが、東京も守備については開幕の頃に比べて組織的な動きやバランスが改善されている。互いに中で攻撃を組み立てられず、サイドの淡泊な攻防が目立つ展開。

13分、ロングボールを巧みにDFの間で受けた長友が中へ切れ込んで低いミドルシュート、能活が押さえる。ボランチ・金沢のカバーを当てにできる状況とはいえ、ゲームを「動かす」プレーができるのはさすがである。ここから東京ペースに。17分、中盤で栗澤が出足良くボールをかっさらい、持ち上がってのミドルシュートがポストの左を抜けた。19分にはドリブルから梶山が、25分にはサイドチェンジから長友が、いずれもミドルを撃つも能活セーブ。

シュートを撃ってはいるものの、その割には得点の香りがしない東京。この日は梶山が中央下がり気味でさばき、今野・金沢が脇を固めるような位置取りが多かったのだが、栗澤は動き回る割に仕掛ける動きが少ないため、どうも4枚ボランチがFWと分断されているような感じで、前で絡み合う攻撃がなかなかできない。まあ、メンツ的に仕方のない部分はあるのだろうが、連動しないパスと個人技に頼った仕掛けではチャンスメークは難しい。

30分頃になるとさすがに「これではいかん」と思ったのか、ようやく縦パスを入れてフォローに入る(あるいは追い越す)動きが増え始めた。32分、ぎこちないパス交換から平山とのワンツーで金沢がボックスに突入し、DFもかわしてシュートするが、能活がストップ。さらにこぼれ球を平山が狙うも、能活の正面。34分には相手陣でミスパスを拾ったカボレがそのままシュート、惜しくも左に外れる。いずれも決められなかったが、上向きの流れであった。

ところが、そのプレーでカボレが負傷。カボレが外れている間に磐田が攻勢に出て、東京は勢いを失ってしまう。37分、FKから駒野が強烈なロングシュート、さらにはね返りを拾った河村が上げたクロスを塩田がファンブルするが、幸いファウルの判定で命拾い。39分には右に流れた鈴木秀からのクロスをCBの間でフリーになっていた中山が頭で合わせ、シュート自体の威力はなかったが一瞬ヒヤリ。この時間帯はちょっとペースが狂った感じであった。

そんなチームに活を入れたのは、カボレに代わって入った赤嶺。40分、ロングボールに反応してうまくDFの裏へ抜け出し、角度のないところから撃ったシュートがポスト左を抜ける。このワンプレーで息を吹き返した東京は、44分にも梶山のキープからオーバーラップする今野にパスが通り、持ち上がってミドルシュートを撃つ(能活キャッチ)。結局、先制点こそ奪えなかったものの、赤嶺の仕掛けのおかげで悪くない雰囲気のままハーフタイムに突入。


後半立ち上がりは、ネジを巻き直した両チームの攻め合いになる。開始直後にはボックス内で粘る平山が倒されたがノーファウル。50分、東京陣中央でのFKから駒野のシュートが壁に当たってCKとなり、そのこぼれ球を成岡が狙うが枠外。そして51分、中盤の奪い合いから金沢が縦のフィード、走り込む赤嶺が鈴木秀の空振りしたボールをうまく足下に収めてすかさずシュート、ゴール左隅に突き刺さった。無駄がなく、それでいて鮮やかな得点。1-0。

チームが盤石の状態でないだけに、ここは東京としては一旦落ち着かせたいところ。しかし、試合はむしろせわしない攻め合いへ。55分、ロングボールを中山が落として走り込むジウシーニョに合いかけるが、ブルーノがカット。56分、ショートコーナーから今野が折り返して栗澤が狙うもDFブロック。57分には駒野からジウシーニョにスルーパスが通って冷や汗をかき、58分には平山・栗澤と頭でつないで赤嶺がゴール前へ突入するもDFを倒してファウル。

ここで東京は栗澤OUT大竹IN。うーん、微妙。大竹は「前へ」だけの選手ではないとは思うが、栗澤を外すと中盤でバランスをとりながら「周りの面倒をみる」駒が減ることになるから。一方の磐田はジウシーニョに代えて萬代。65分、カウンターの場面でパスを出し損ねた平山が相手に襲いかかってボールを奪い、赤嶺が迷わずミドルシュート、能活がはじき出す。66分に磐田は成岡に代えて犬塚。前向き&フレッシュな選手を投入して状況打開を図る。

中盤を作れない東京は梶山が持ちすぎになるか、結局平山目がけて縦のボールを蹴り出してしまうことが多い。せっかくドリブルとパスの能力を兼ね備える大竹が入ったのに、「もったいない」というのが正直な感想であった。大竹も時折足下に入るといい持ち出しやパスを見せかけるのだが、ターゲットが平山だとどうもテンポが合わない。70分には金沢→池上の交代。これは意図の見えづらい交代だったけれども、金沢が体力的にキツくなったのだろうか。

後半の半ばを過ぎると中盤がユルくなる一方で、前線では赤嶺・平山・大竹が猛チェイスを繰り返す。苦しいバックパスを能活がCKにしてしまう場面も。しかし、FWだけの頑張りでは長続きするはずもなく、主導権は磐田の側へ。75分、中山隊長が右へ流れながらロングボールを落とし、交差した萬代がフリーでシュートするもふかしてしまう。77分、中山OUT名波IN。あっぷあっぷの時間帯では、冷静に相手の弱点を突ける名波ほど嫌な選手もいない。

79分、磐田陣中央で得たFK、大竹が狙うものの右に外れ。82分、ボックスに突入した平山が豪快なフェイントでDF2人をかわそうとするが、あえなく轟沈(笑)。驚いたのは85分で、犬塚の思い切ったミドルシュートが西に当たってコースが変わり、塩田の逆を突いてゴールへ吸い込まれていった。「あ~あ」。しかし、よく見ると副審の旗が上がっている!一見オフサイドには見えなかっただけに、ゴール裏からは「いいぞレフリー!」なる珍しいコールが(笑)。

そして89分、競り合いで茂庭を倒した西が2枚目のイエローで退場。平山・赤嶺・長友が時間稼ぎで健闘していたこともあり、何とか逃げ切るかと思えたが……。ロスタイム、磐田はボックス前のパス交換で左右に揺さぶり、左サイドの名波から追い越す加賀へ素晴らしいパス。クロスは塩田がはじいたものの、こぼれ球を駒野にボレーで叩き込まれる。1-1。結局、その後徳永の突進からつくったチャンスも平山のヘッダーが外れ、勝点2が逃げていった。


こうして文字で長々と書くと内容満載なようにも思えてしまうが、どちらのチームもパンチに欠け、雑なところも目立つゲームであった。リーグ戦の狭間の平日だから、多少テンションが落ちるのは仕方がないところではある。ただ、そんな試合だからこそ、勝点3がとれればとりあえず満足だったのだが……あとちょっとが持ちこたえられなかった。そこはちょっぴり、いや実はかなり(笑)残念である。最後の場面はDFの多くがウォッチャーになっちまった。

東京にしてみれば、作り直しのシーズンでまだ開幕1ヶ月余り、主力に怪我人が続出する状況にあって、連戦の中での勝点1はそう悪くない結果にも思える。だが、相手が札幌帰りの不調ジュビロであり、試合を優位に運んで赤嶺のセクシーなシュートで先制もできた、おまけに相手が勝手に10人になってくれた、という展開を考えれば、決勝ラウンド進出に向けてここは勝っておきたかったようにも思う。まだ勝ちきる力が足りないんだね……。

敗因は、1点とってからの試合運びに尽きるだろう。試合後の選手コメントからもうかがえるように、時間帯や状況に応じて意識を合わせるところまではまだまだ行ってないみたい。前でFWが猛プレスかけてる間もDFラインを上げる意識は少なかったし、交代カードは「MF2枚」だったのにその頭越しにガンガン蹴っちゃって、最後は今野もDFに吸収されて真ん中は梶山1人で守っているような状態だった。そりゃやられるわな。点が入るのが早すぎたかな。

もちろん、展開によっては前からの猛プレスもロングボール作戦もありに決まっている。だけど、それはあくまで「11人」で遂行していくようにしないと。そうでなくても安定して勝てるほどの力は、今の東京(の選手たち)にはないのだと思う。また、この試合は40分を残した時点で、崩した形でないゴールで先制したのだから、やはりあそこは中盤を作って落ち着かせたかった。そこら辺は経験を糧にしながら、鹿島あたりを見習ってほしいものだ。

まあ、少なくともこの試合については駒を何枚も欠いていたという事情もあるから、やっぱり仕方ないっちゃ仕方ないのかな。エメルソンと羽生の両方がいないとチームとしてはさすがにキツい。問題は3日後に迫った「多摩川クラシコ」(倉敷アナ曰く「タマクラ」)で、カボレも戻ってこれるかどうかわからないし、ジュニーニョは復調みたいだし、一体どうなるのか正直不安である。城福さんはちゃんと対策を立ててくれるとは思うのだが……浅利、君の出番だ。
 

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コメント

リーグ戦なら浅利投入でしょうが、池上を使ったという事は、 川崎戦を見据えて浅利のコンディション確保と池上のモチベーションアップを狙ったのではないでしょうか。

残念な引分けでしたが、新体制が始まったばかりの現時点では、実戦での貴重な経験が出来たと、前向きに考えたいです。

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