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2008年03月16日

●価値の大きい冷や汗、になれ (アルビレックス新潟×FC東京 テレビ観戦)

昨日の夕方、e2byスカパー!でJ1第2節を観戦。アルビレックス新潟 2-3 FC東京。前節で印象的なデビューを果たした「城福東京」の第2戦は、オレンジ色のスタンドでおなじみ、FC東京にとっては苦手のビッグスワンスタジアムにて。試合は開始早々にスコアを重ねて大勝の雰囲気も漂う展開となったが、後半は一変して新潟が反撃して1点差まで詰め寄り、東京は大いに冷や汗をかくこととなった。しかし、なんとか初勝利をゲット!


両チームともに不安定な立ち上がりが一つの鍵だったかもしれない。3分、新潟内田の際どいアーリークロスを塩田が鋭い飛び出しで防ぎ、さらにループ気味に狙った寺川のミドルも塩田が反応良くセーブ。6分、相手のパスミスを中盤で拾った梶山がDFの間に走り込む石川へスルーパス、これを石川がワンタッチで折り返し、フリーになっていたエメルソンがゴール左隅にゲット。「攻撃で好プレーが3つつながればゴール」の見本のような得点だった。0-1。

早々の先制で東京は勢いに乗る。直後の8分、左ショートコーナーのコンビネーションから石川が思いきったミドルシュート、GK北野が前へはじいたボールを詰めるカボレが押し込んだ。よく練ったセットプレーにカボレのゴールゲッターらしい動き(来日初得点!)が加わった追加点。0-2。さらに11分、塩田のロングキックを永田と北野がお見合い状態になり、反応よく寄せた今野がつま先でちょん蹴り、北野の頭を越した。0-3。笑いが止まらない。

その後も東京は優勢を保つ。つないでくる新潟の攻撃は「ここ」というポイントに3~4人が殺到するプレス守備で押さえ込み、たまに上がるクロスも塩田の安定したセービングと今季初先発吉本の高さ、そして茂庭のカバーで問題なく対処。攻めては、動き回るエメと羽生を軸に軽快なパス交換で、神戸ほどきつくない新潟守備の寄せをかいくぐる。左サイドに追い詰められた場面、羽生、今野、石川のパスワークであっさり突破した場面には驚いた。

もっとも、カボレとその他のアタッカーがやや噛み合っていないように見えたこともあって、攻勢にも関わらず4点目は奪えず。カボレのシュートはGKの正面を突き、34分に石川が中央でDFを引きつけてエメルソンがフリーになった場面も、ラストパスがぶれて逸機。この時間帯、「意図するサッカー」という意味では序盤よりもできていたように見えたのだが、スコアに反映されないのがサッカーの難しさ。0-3のまま前半終了。
 
 
後半、ホーム開幕3万5千観衆を前に、このまま終われない新潟が猛反撃。東京のパス回しに前目からプレッシャーをかけ、ボールを奪うとMFやSBがどっと攻撃参加してたたみかける。東京陣ボックス周辺での攻防が続いた。52分、内田のクロスをゴール前どフリーの本間が頭で狙うが、ポスト右に外れ。東京も54分に逆襲からエメの惜しいシュートがバーを越え、56分にもパスワークで右サイドを崩すも、徳永のクロスに飛び込むエメはわずかに届かず。

新潟の1点目は57分。こぼれ球を拾ったダヴィが浮き球で裏へ入れ、走り込む内田がカットインで長友をかわしてから左足で鋭いミドルシュートを突き刺した。1-3。さらにその直後、新潟のパス回しにスルスルと前進を許し、寺川からのスルーパスが徳永を振り切りながら走る矢野へ。矢野が右足アウトで塩田を破ってゲット。2-3。いずれの失点も、長友・徳永がどうこうというより、その手前で全くプレッシャーがかかっていないのが問題であった。

これを見て城福監督はエメルソンOUT、浅利INの交代。ところが新潟は東京が中盤の底を固めてきたと見るや、今度はFW目がけて早めに蹴り込むようになった。競りかけてはね返し続ける東京DF。吉本がいてよかった。68分、松尾のクロスがアレッサンドロに合いかけるが、塩田がジャンプ一番かろうじてカット。70分、中央コンビパスで突破を図る本間を長友が倒してしまい、ボックス正面のFK。ダヴィのシュートはわずか左に外れてくれた。もうヒヤヒヤ。

ここで東京は石川に代え川口投入。「とにかく状況を沈静化させたい」という感じの交代である。そして、その願いが通じるかのように、後半半ばを過ぎると新潟の攻撃ペースが急降下。精力的につっかける浅利・川口が入ったことで守備の強度が持ち直し、新潟のパスミスが増えた。78分、梶山から長友へサイドチェンジが通り、長友のシュート(枠外)。80分には東京ボックス内で混戦となったが、集まったDFがラグビーのラックのようにボールを運び出す。

終盤になると東京は落ち着きを取り戻し、タッチライン際を中心に丁寧なつなぎで時間を使っていく。85分、千葉のロングシュートは塩田が正面でがっちりキャッチ。新潟のパワープレイも吉本・茂庭がはね返し、ロスタイムには新潟陣でミスパスを拾った羽生がGKと一対一になるも足つりでチャンスを逃し(しかしきっちり時間は使い)、結局2-3のまま試合終了となった。今季の東京の、そして城福監督の初勝利である。
 
 
いやー、なんともスリリングな試合をしたものだ。

前半は完全に東京優勢、後半は一貫して新潟の攻勢、とわかりやすい展開だったわけだが、東京にしてみれば開幕戦以上に成果と課題がよく見える内容だった。試合中のペース配分、組織守備の向上、カボレを生かす攻撃の構築、DFからのビルドアップ……やるべきことはたくさんありそう。ただ、前節に続くセットからの得点や、高さ対策としての吉本起用、浅利と川口の起用法など、城福監督が観念的でない「手当て」をしてくれているのは心強い。

守備については、個々の選手云々ではなく、相変わらずCB-SB-ボランチの連携に不安が残る状態。特に左サイドはこれからも狙われそうな気がする。嬉しかったのは、吉本が1試合しっかりと活躍して勝利に貢献してくれたこと。昨季開幕戦であんな使われ方をして潰されかけて、よく戻ってきてくれたと思う。茂庭も今日は良かった。「茂庭が出て藤山がカバー」よりも「吉本が出て茂庭がカバー」の形の方がバランスは良さそうに思える。

攻撃陣では、エメルソンは開幕戦以上にフィットして活躍していた。90分使ってほしいような気もするが……。石川は判断が去年までより格段に速く的確になったように見える。問題はカボレで、初得点の場面は見事な動きだったし前線でポイントを作ってラストパスも出すようなプレーもできるのに、「1人で別のところにいる」場面がちょっと多いんだよね。まあ、単騎でも脅威(驚異)を与えてくれる存在としてはそれでもいいのかもしれんけど。

一番心配なのは中盤。3ボランチのうち羽生はかなり自由に動き回る存在なので、残りの2人が攻守をつなぐ要として機能しなければならないのだけれど、ここがイマイチ頼りない。今野は開幕戦よりは存在感があって、持ち味の得点に絡むセンスも発揮。ただ、梶山の方が……攻撃でも守備でも、どうしても判断が遅れて後追いになってしまってるんだよね。チーム全体が判断を加速させていこうというサッカーだけに、一層それが際だってしまう。

まあ、とにかく勝てて良かった。ここ2年の失敗経験もあってチームもファン・サポーターもそれなりに忍耐強くなっていることが予想されるとはいえ、3点差をひっくり返されるとなるとショックは大きいだろうし、やっぱり早めにそれなりの結果が出てくれるのに越したことはないから。「負けて沈む」のと「勝って反省する」のとでは大違いである。

しかし、今年は(今のところ)実に楽しい。観戦記もつい長くなってしまう……困ったな(笑)。
 

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コメント

新潟戦は、携帯で試合経過を確認してました。

前半15分で3:0、後半15分で3:2。映像を見れないので、残り30分はドキドキものでした。

そんなに盛り上げなくともいいのに、ハラハラドキドキの試合運びは、このチームのDNAでしょうか。(苦笑)

他のチームを見てみると、優勝候補(ガンバ・浦和・川崎)が出遅れる一方、中位以下と予想された緑組・シャチ組がかなりいい内容に仕上がっています。

代表組が多数いる東京としては、取れる時に勝点を積み上げたいところです。

まあ、今回はとにかく勝点3が取れて本当に良かった。

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