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2008年01月02日

●「あの」鹿島が帰ってきやがった (`07-'08天皇杯決勝)


明けまして。本年もよろしくお願いします。

2008年元日の午後は、国立競技場で天皇杯決勝。サンフレッチェ広島 0-2 鹿島アントラーズ。正月恒例のシーズン最終戦は、終盤の大逆転劇で1部リーグ優勝を成し遂げたチームと入れ替え戦に惜敗して2部降格が決定したチーム、という非常に興味深い顔合わせとなった。試合は決勝戦らしい少数得点を巡る攻防となったが、リーグ王者・鹿島が安定した実力と試合巧者ぶりを発揮、見事優勝を飾った。


立ち上がりから広島は両サイドが大きく開いた陣形をとり、ワイドな展開で攻めたてようとする。しかし鹿島はタイトなマークで縦のボールを入れさせず、ボールはなかなか前へ進まない。一方の鹿島はFW・MFが互いに入れ替わりながらパスをつないで隙をうかがう構え。と、8分、右サイドをするすると上がってきたSB内田がマルキーニョスとのワンツーでボックスへ突入、思い切りのいいシュートが逆サイドネットに突き刺さってゴールイン。

先制点を得た鹿島は、慌てずじっくり回す余裕の試合運び。対する広島はビルドアップに苦労し、サイド頼みの攻撃に。駒野が幾度か右サイドを突破するも、いずれもクロスをDFに当ててしまい、もしくは中の人数が足りずに逸機。逆に終了間際、カウンターからロングパスを受けたマルキーニョスがゴール前へ飛び出すが、ストヤノフが粘ってシュート撃てず。前半はそのまま終了。比較的静かな展開で点差もわずかながら、確実に鹿島の流れだった。

後半に入ると、一転して攻防が激しくなった。広島は駒野のドリブルに槙野のオーバーラップが加わり、アーリークロスも交えながら右サイドから攻めたてる。が、鹿島DFの寄せは厳しく、寿人や平繁がもうちょっと、という場面でシュートを撃ちきれない。鹿島は敵陣で巧みな倒れ込み(笑)によりセットプレーを獲得、小笠原→マルキーニョスのホットラインでチャンスを作る。53分、マルキーニョスのヘッダーは下田が横っ跳びで際どく弾き出した。

めまぐるしかったのは62分前後。まず槙野のアーリークロスを逆サイドの服部がボックス内へ落とし、高萩がシュートチャンス……も宇宙開発。その直後に鹿島は広島ゴール前の混戦から田代が決定的なシュートを撃つが、下田が鋭い反応でビッグセーブ。さらにその直後、森崎浩司のゴール上角に飛ぶ強烈なミドルシュートを、曽ヶ端が大きな体を伸ばしてファインセーブ。結果として、ここで得点できなかったことで広島の勝機は完全に失われた。

残り15分は鹿島の老獪さがいかんなく発揮される時間帯となった。自陣に強固な守備ブロックを形成して広島のパス回しを遮断し、サイド攻撃にも慌てず中を固めてはね返す。広島は李・高柳と投入してさらには盛田や槙野を前線へ上げるも、形勢を変えるには至らない。ボールを持てばスペースへ動かしてキープし、相手が寄せてくれば巧みに倒れてFKを獲得。選手交代でも着実に時間を消費……いかにも鹿島らしいプレーの連続である。

駄目押し点はロスタイムに入ってから。ライン際のボールを森崎がスローインにしようとしたところ、投入されたばかりの柳沢が突っかけて奪い、本山とのパス交換からスルスルとゴール前へ。「おお、移籍前のお別れゴールか!撃て!」と思わず叫びそうになった場面だが、案の定というか、柳沢はパスを選択(笑)。どフリーになっていたダニーロが豪快に突き刺して0-2。場内に大きな柳沢コールが響く中、試合終了の笛が鳴った。



試合後にペトロヴィッチ監督もコメントしたとおり、広島にとって柏木の欠場はやはり相当な痛手だったのだろう。森崎兄弟やストヤノフがいくらボールを動かそうとしても中に有効なボールの引き出し手がおらず、駒野の突破力に終始依存して鹿島に中盤の主導権を握られてしまった。まあ、個々の選手云々というよりチームとしての成熟度や層の厚さ、それらの表れとしてのリーグ順位を考えれば、準優勝という成績は「健闘」には違いない。

一方の鹿島は、まだ記憶に新しい劇的な「10冠」達成がチームに大きな自信を与えている様子であった。この試合にしても、広島の攻撃はほぼ完璧に封じ込めたものの、マルキーニョスや野沢が決定機を逃すなど、決めきれないもどかしさがあったのも確かである。だが、そんな局面においても鹿島の選手から感じられたのは焦りや混乱ではなく、勝利を確信してひたすらタスクを遂行していく強靱さであった。つまり、あの、「常勝時代」の鹿島。

他のJリーグチームのファンとしては、オリヴェイラ監督は何ともやっかいなチームを復活させてくれたもんだなと、忌々しさとともに感嘆を禁じ得ない。試合の主導権を決して渡さない老獪さ。相手の足下をすくうクレバーさ。そして無駄のないソリッドな「勝負サッカー」ぶり。個人的には、来年はガンバよりも鹿島の方が脅威ではないかと僕は思っている。となると、浦和と鹿島の2強時代になりかねないということか……うーむ、目の前が真っ赤だ。

ともあれ、堂々たる優勝であったと思う。おめでとう!

つーか、柳沢はやっぱり良くも悪くも柳沢なんだね、という(笑)。それなりに結果は出しちゃうし「間違っている」と言い切れないところが罪深い選手ですな。

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コメント

初めて拝見しました。面白いですねー、声に出して笑ってしまいました。又拝見させてください!(鹿島ファンですけど・・・)ちょっと前のガンダムネタも興味津々。私は劇場版もテレビ版も解説しながら夫に見せました(笑)

>もりさちさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
このブログはFC東京関係が中心ですが、今回のようにその他の試合をとりあげる事もありますし、もちろん東京×鹿島戦もレビューしていきますので、よろしければまた見てください。

>私は劇場版もテレビ版も解説しながら夫に見せました(笑)
あなたは……エライ(笑)!!

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