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2007年12月14日

●クラブワールドカップ2007準決勝@霞ヶ丘


水曜日の夜は、国立競技場でFIFAクラブワールドカップ2007準決勝第1試合。ボカ・ジュニアーズ 1-0 エトワール・サヘル。興味を引かれながらもチケット代の高さゆえに及び腰になっていたこの大会、ありがたいことに某方面から招待券のお誘いがあり、カテゴリー2(バックスタンド上段)の最前列というとても良い席で観戦することができた。タダほど高いものはない、のかどうかはよく知らないけれど(笑)。


試合は、大いなる名誉と高額賞金のかかったFIFA公式戦らしく、「つばぜり合い」が延々と続くシブい展開に。ボカは個人の技術やパス回しでは明らかに上回りつつも、あくまでバランスを崩さず慎重な立ち上がり。一方のサヘルも自陣で守備ブロックを固め、逆襲で好機をうかがう構え。双方とも後方からの追い越しはほとんど見られず、ハーフウェーを挟んでひたすら少数の攻撃陣と多数の守備陣の攻防が繰り返された。

ようやく試合が動いたのは37分。中盤でこぼれ球を拾ったパレルモが突如反転してスルーパス、バラシオが左サイドDFライン裏へ抜け、DFと正対し一瞬間を置いてからボックス内へ走り込むカルドーソへのパスを通す。カルドーソはGKを見ながら素早くボールを持ち替えて強シュートをゴール上部へ突き刺した。ボカ先制。「緩」から「急」への切り替えとアタッカーの落ち着き、そしてカルドーソの選んだシュートコース。お見事である。

後半になると、両チームとも相手のやり口をわかったということなのか、前半に比べれば攻防はやや活発になったように見えた。サヘルも比較的守備の弱いボカの左サイドを突いて、何度かいい形を作った。そして65分、ボカのバルガスが2回目の警告で退場。この日のレフェリーはかなり神経質な笛を吹いており、やや気の毒ではあったが、無責任な野次馬としては「これで面白くなるぞ」と興奮したりして(笑)。

ところが、ここからが実力差の見える時間帯だった。お尻に火がついたボカは個々の運動量を増す事であっさりと形勢を押し戻し、むしろ前がかりになりかけるサヘルの逆を突いてチャンスを作る。見ていて人数的な偏りは全く感じられなかった。サヘルも相変わらず右サイドを中心に攻めるのだが、得点の香りはむしろボカの方に漂っていたように思う。結局、終了間際ジャーのシュートチャンスもボカDFがきっちり体を寄せて防ぎ、1-0のままタイムアップ。



実力通りの順当な結果ということになるのだろうか。サヘルはチュニジアのチームらしく、フィジカルよりも組織の固さを持ち味にしたチームで、ボカもかなり手を焼いていた。ジャーのヘッダーはほとんど紙一重でのプレーで、少なくとも延長に持ち込むチャンスは大いにあったように思う。残念だったのは、相手の実力を意識しすぎたか、やや消極的に過ぎる部分があったこと。いくらなんでも終盤はもうちょっと上がりの反応を早くしないと。

まあ、ボカの方も慎重さが前面に出たのと、あとコンディション的にもイマイチだったか、創造的なプレーが少ないのは残念だった。ただ、それでも、退場をものともせず接戦をものにしたことや得点の鮮やかさなど、やはり「さすが」と言いたくなるところはあった。もしかすると、この試合はいわば「暖気運転」だったのかもしれない(浦和と1点差だったミランも同じか?)。決勝は「ボカがミランのDFから得点を奪えるか」に尽きるのではなかろうか。


ともあれ、タイトルのかかったガチンコマッチだけにエンターテイメント性への事前の期待値が低かったこともあって、個人的にはけっこう楽しめる試合だった。冷えたチキンとポテトをつまみに飲んだ生ビールもそれなりに美味しかったし(笑)。しかし、スタンドの多くを埋めていた「一見さん」や、日テレで箱根駅伝風のしょーもない実況・解説付でこの試合を見せられた人々が楽しめたのかどうか、ちょっと心配にもなってしまった。

そう、この日の観客のうち、おそらくかなりの部分は(僕と同じように)招待券をもらった人々だったのだ。大勢の子供と引率者、若者のグループ、会社帰りのリーマン集団……。そりゃもちろんそういうお客さんが足を運んでくれるのは決して悪いことではないし、ボカの大旗の周りには熱いファンも集まっていたはずだ。でも、試合に集中しきらない雰囲気も感じられて……正直「クラブ世界一を決める会場がこれでいいのか?」と思ってしまった。

色々と、改善すべき点がある大会なんだね、今のところは。

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