●キング・カズよどこへ行く (横浜FC×川崎フロンターレ)
日曜日の午後は、霞ヶ丘で横浜FC×川崎フロンターレ戦を観戦。お目当てはもちろん、伝説のゴールゲッターであり、日本代表のレジェンドであり、Jリーグの至宝であり、漢の中の漢であり、俺たちサッカーファンの兄貴であり、そして名実ともに日本サッカーの王様であるキング・カズの勇姿を観るためだ(と言いつつ、川崎側の席に座っていたのはナイショだ(笑))。
試合は大方の予想通り、立ち上がりから川崎ペースで進む。ただ、やはりACLの疲れのせいだろうか?全体的にどことなく元気がない。いわゆる「無難な」パス回しが多く、仕掛けるのはジュニーニョばかり。憲剛お得意の持ち出しからのキラーパスもなく、森の突破もほとんどが失敗。甲府戦と同様、ボールは支配しても得点の香りがしない状態が続く。
それでも26分、パスワークでボックスへ突入した谷口のヒールパスを大橋が右足でシュート、GK菅野が弾いたボールを詰めていたジュニーニョが頭で押し込んで川崎先制。しかし、その後数分は一時的に勢いの出た川崎がチャンスを作るものの、それらを決めきれないと再び微妙に膠着した状態に。この日は天気も良く、あくびをしながらの観戦となった。
肝心のカズ様はと言えば、2トップの一角として元気にプレー。DFラインの前でボールを持つと必ず例のまたぎフェイントを見せるあたりがエンターテイナーなんだが、やはり全盛期に比べるとキレのなさは否定しようがない。しかし、何度はね返されてもあきらめずに仕掛け続ける姿は、横浜FCの置かれた状況を考えればグッと来るものがあった。魂だ、魂。
ハーフタイムは、前夜の酒のせいもあって思いっきり昼寝してしまった(笑)。
後半になると、驚くことに横浜FCの攻勢に。降格決定を目前にしてさすがにケツ、失礼、お尻に火がついたのか。目を見張る華麗なプレーやパス回しなど望むべくもないのだが、とにかくボールを奪ってスペースへ展開してはアタッカーがどんどん仕掛けていく。反応の鈍いフロンターレは横浜の出足の鋭さに押され、頼みのセットプレーも憲剛が壁に当ててしまい不発。
55分頃だったか、横浜の10番内田が左からボックスへ突入して箕輪を抜き去り、GKの脇を抜く決定的なクロスを入れる場面があった。そこにフリーで飛び込んだのがカズ。「蹴れば入る」状況だけに「キングゴール!キタ!!」と飛び上がったのもつかの間、カズの足をかすったボールは逆サイド枠外へ……個人的には、ここで横浜FCの今シーズンが終わった(笑)。カズは58分に平本と交代。スタンドからは暖かい拍手……。
その後も横浜の懸命だが単調な攻めと、川崎のはね返すばかりで全く攻撃を組み立てられない戦いぶりがあくびを誘い続けたのだが、終盤には横浜が平本・オらフレッシュなアタッカーを入れ、逆に川崎の選手たちの足が止まって試合はかなり面白くなった。川崎ファンはヒヤヒヤだったろうが。
横浜は10番内田が活躍。何分だったか、カウンターから切れ込んで決定的なシュートを飛ばすも川島が横っ跳びでビッグセーブ(10/11追記:内田ではなく、西山だったようです)。さらにロスタイムにはボックス左手前のFKで直接ゴールを狙い、見事川島の逆を突いたものの、ボールはバーを直撃してゴールせず。非常に良い動きだったけれども、最後は運もなかったか。結局、どうにかこうにか川崎が逃げ切りに成功。
まあ、なんつーか、試合的にはイマイチなれど、興味深い一戦ではあった。
横浜FCについては、実は「生ける屍」みたいな状態を想像していたんだけど、意外と(と言っては失礼なんだが)元気に勝ちに行っていた。マルコス・パウロも好守に馴染んできたし、9月に国立で東京と対戦した時に比べても「戦える」チームになっていると思う。ただ、残念なことに、時既に遅し。次節か、遅くてもその次にはJ2降格が決まってしまうのだろう。
で、気になるのはカズの去就である。この試合を見る限りJ1でやるのは難しいかもしれないが、使い方を間違えなければまだチームに貢献できる選手に思える。となると横浜残留?キャリアの「最後の花道」的な発想をすると、J2の上位チームでレギュラーで出られずとも昇格に貢献して終えるのがキレイなんだけどな……城パターン。いや、余計なお世話か。
一方川崎の方は、このヨレヨレな感じはシーズンが終わるまでちょっとどうにもならんかな、という印象を受けた。ACLは負けたしリーグも中位に沈んでしまったが、幸いナビスコは勝ち残っているのでそこに絞って狙いに行くしかないんだろうな。「ベストメンバー規定」も守りながら、ね(笑)。どっちにしろ、次の「多摩川クラシコ」は東京が勝てるのではないか。